【番記者の視点】G大阪、コロナで7人離脱も“守り勝ち” 緊急事態で生きた競争力
◆明治安田生命J1リーグ第13節 柏0―1G大阪(14日、三協F)
意地と粘り、そしていくばくかの運が勝ち点3を手繰り寄せた。柏に18本ものシュートを許し(G大阪は6本)、ポストに救われたシーンも2度。それでも最後までゴールは割らせず、セットプレーから奪った虎の子の1点を守り切った。試合後、ぐったりとピッチに倒れこんだDF昌子源は「後半はかなり、しんどかったです」と苦笑いもみせていたが、その表情には充実感も見て取れた。
試合4日前から2日連続してコロナ陽性者が発覚し、その数は計7人に及んだ。主力の複数人がメンバー表から消え、ベンチメンバーはDFが4人、GK、MF、FWが一人ずつというバランスの悪さに。さらに急きょ招集されたユース選手の2人(FW南野、DF桑原)もベンチ入りという緊急事態だった。
前半は洗練された柏のカウンターに、何度もピンチにさらされた。2シャドー(MFサヴィオ、戸嶋)を捕まえきれず、カウンターを恐れてボールを後方で回してもなかなか縦パスを差し込めない展開に。不安を抱えながら終えた45分だった。
しかし後半、片野坂監督はDF三浦を投入し、韓国代表DF権、昌子、三浦を並べる3バックに変更。シャドーの選手がやや下がった際にも、CB3枚の一人が対応することで、カウンターの起点をケアした。さらに後半途中、権が足をつったアクシデントには、大卒2年目のDF佐藤を投入して対応。コロナの影響を受けた中で、ゴール前の砦となるセンターバックには離脱者がおらず、計4人がピッチに立つ交代策もはまった。昌子は「真ん中がしっかりしていればやられない、という思いだった。最後はおれたちが、という意識があった」と胸を張っていた。
絶好調のGK一森に加え、センターバック陣をコロナで欠かなかった不幸中の幸い。さらにマークのずれが生じていた前半とは違い、後半は3トップ気味の相手を3バックで監視したことで、各々は責任の所在がはっきりとした。基本的には4バックを採用するG大阪では、ここ2試合は三浦、3試合前は昌子がベンチスタートだったように、代表経験のある実力者でもレギュラーは保証されていない。後半から入った三浦が完璧なタックルで決定機を防ぐと、昌子も売り出し中の柏FW細谷を封殺。ポジションを争うふたりがその能力を発揮すると、1点リードの難しい状況で入った佐藤も高さという武器で完封に貢献した。
敵はもちろん、味方にも負けられないという競争原理が、集中の糸を緩めないプレーと、あと一歩の粘りにつながったようにも見えた柏戦。さらに前線でもパトリック不在の中でフル出場したFWレアンドロ・ペレイラが、最後までチームのために献身的なプレーを見せるなど、緊急事態が責任感を呼び覚ました感もあった。チャンスは数えるほどで、決定機がポストに救われる幸運もあった。ただ不格好でもつかんだ今季初の連勝は、発展途上のチームにとっては何よりの自信になるはずだ。