G大阪の今季を占う MF斉藤未月が変革の象徴となるか リーダーの資質持つ“ガンバっぽくない”23歳

サッカー・J1リーグは18日に川崎―FC東京戦(等々力)で開幕。関西は、京都が12年ぶりに昇格し、神戸、C大阪、G大阪と4クラブになった。担当記者が、各クラブの注目の新戦力を中心に、今季の行方を占った。

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G大阪は変わろうとしている。6年間もタイトルから遠ざかり、昨季は残留争いにも巻き込まれた。そんな現状から脱却しようと、片野坂知宏新監督を迎え、「G大阪のサッカーはこれだ!」と言えるスタイルを作り上げようとしている。そんな中で今季ロシア1部ルビン・カザンから期限付き移籍(保有権は湘南)で加入した23歳のMF斉藤未月は、“変革の象徴”になり得る選手ではないか、と予想している。

湘南では17歳でプロデビューし、U―20日本代表ではキャプテンも務めてきた。10代のころから強いリーダーシップを発揮し、高い評価を得てきた選手だ。子供のころにはインターナショナルスクールに通い、英語も堪能で「自己主張の部分や、気づいたことを他人に発信する力は、そこで学びました」という。昨季途中まで監督を務めた宮本恒靖氏のように、若くしてリーダーとしての資質を備えており、近年のG大阪にはいなかったタイプ。「発信、発言する部分や、主張するところも求められているなと思う」と語るように、年齢に関係なくチーム内の議論をリードしてくれそうな存在だ。

一方で「気持ちを前面に出したプレーが、一番得意とする分野」と語るように、ピッチ上での持ち味はスマートというよりは泥臭いプレー。ボール奪取力を武器に、両ペナルティーボックスを縦横無尽に駆け回る。湘南時代にチョウ貴裁監督(現京都)の“湘南スタイル”下で磨いてきた武器は、同タイプのMF井手口が海外移籍したG大阪の中盤において重宝されるに違いない。

しかしそのプレースタイルが、片野坂監督のサッカーとマッチするかは未知数だ。これまでの所属クラブでは相手に主導権を握られる中でのプレーが多かった。指揮官が目指す「しっかりボールをつないで、攻撃を構築したい」という狙いの中で、どんなプレーができるのかが課題になるだろう。

本人は、それを承知でG大阪へとやってきた。「まずは守備でボールを奪いきる、攻守においてチームのために走る。プラス、片さん(片野坂監督)がやりたいボールを握って動かし、点を奪いに行くことは中盤の選手として求められている」と語る。負傷もあって結果を残せなかったロシアでは、自身の課題とも向き合った。攻撃面では目の前のひとりをはがして、ラストパスやシュートに持ち込むプレーなどを増やす必要性を感じたという。守備だけではなく、攻撃にも関与する「BOX TO BOX」(両ペナルティーボックス付近で攻守に関わる)を理想像とし、片野坂監督のスタイルの中で、自身を成長させようとしている。

「片さんのサッカーのスタイルは、僕が今後もっと、もっと成長し、クラブを勝たせる存在になる為には必要になると感じてます」と語る斉藤。変わろうとするチームの中で、課題解決のための議論を恐れず、自らも進化を受け入れていく姿勢を持った斉藤が、鍵を握るのではないか。“ガンバっぽくない”23歳のMFが、どんな存在感を示していくのかに注目したい。

◆主な加入・退団選手

【IN】

MF斉藤未月←ルビン・カザン(ロシア)

MF権敬源←城南(韓国)

MF石毛秀樹←岡山

DF福岡将太←徳島

【OUT】

MF井手口陽介→セルティック(スコットランド)

DF金英権→蔚山(韓国)

DF菅沼駿哉→町田

MF矢島慎也→大宮

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