JFL枚方移籍元日本代表二川孝広、軽やかなボールタッチ健在 鈴鹿カズとの対戦も実現間近
かつてガンバ大阪の黄金時代を支えたベテランが、22年シーズンの第1歩を刻んだ。5日に京都・亀岡市のサンガスタジアムで行われたプレシーズンマッチで、J1京都サンガがティアモ枚方と対戦した。当初、京都はガンバ大阪と対戦する予定だったが、G大阪側に新型コロナウイルスの陽性者が出た影響で急きょ、JFLの枚方が呼ばれる形となった。
多くの報道陣が集まったのは、12年ぶりにJ1に復帰する曹貴裁(チョウ・キジェ)監督率いる京都の仕上がり具合を確認するためである。ただ、試合時間が残り10分を切って、枚方のベテラン選手が登場すると場内に拍手が起こり、その選手の動きに視線を奪われるようになっていた。
G大阪時代と同じ10番を背負う枚方の元日本代表MF二川孝広。今年6月に42歳になる。記者席から見える姿は、少しふっくらと丸くなったようでもあった。
ただ、ピッチに入ってすぐに見せた軽やかなボールタッチは、G大阪時代を知る人にかつてを思い出させた。絶妙なタイミングでタテパスを入れる。中央から右前方へ出したスルーパスはFWとの意思疎通がかみ合わずチャンスには結びつかなかったが、時折、粉雪が舞うとても寒い日に集まった目の肥えたファンからは、ため息が漏れた。
後半42分には自陣でボールを奪って前線へつなぐ。幾分のひいき目はあったとしても、0-3で京都に完敗した枚方にとっての見どころの1つだった。
G大阪ユースから元日本代表FWの大黒将志氏(現G大阪下部組織コーチ)とともに、99年にトップチームに昇格。西野体制で05年リーグ初優勝、08年アジア・チャンピオンズリーグ制覇など黄金時代を過ごした。長谷川体制の14年度に3冠を経験し、16年途中からJ2東京Vへ。栃木を経て当時関西1部の枚方に移ったのは、19年からだった。
既に大黒氏は現役を引退したが、同じG大阪ユース出身で1学年上のMF稲本潤一は現役にこだわって南葛SC(関東1部)入り。MF遠藤保仁は磐田でJ1に戻ってくるし、移籍先を探しながら練習に励んでいたMF橋本英郎は関西1部のおこしやす京都に選手兼ヘッドコーチとしての加入が7日に決まった。
5日の京都戦後に行われたリモート取材に二川が出てくることはなかったが、かつて名古屋などで活躍した枚方の小川佳純監督(37)はこんな話をしていた。
「今年、カズ(三浦知良)さんが鈴鹿に入ったことで、JFLの存在が認知されるようになった。活躍すれば、Jリーグに引き抜かれたり、上のカテゴリーに行くチャンスも出てくる。JFLが注目されることは、サッカー界の底上げにもつながると思います」
JFLは3月中旬に開幕を迎える。
各チームにはJリーガーを目指すギラギラした若手とともに、年老いた今もサッカーを愛し、ボールを追い続けるかつてのスター選手もしのぎを削る。
「二川vsカズ」
こんな対戦も実現するだろう。 再び輝く瞬間を求めて。



