【藤春廣輝インタビュー】「移籍を考えたことは1回もない」――ガンバ大阪で迎える勝負の12シーズン目

片野坂ガンバでの役割

「ケガ明けでも100%の力でプレーします」

――2011年に大阪体育大学からガンバ大阪に加入後、今年で12シーズン目を迎えます。振り返ってみて、同一クラブで長くプレーできた要因をどのように分析していますか?

「運が良かったこともあると思いますけど、常に意識していたのは『監督が求めるプレーを理解する』ということ。毎年、新しい選手が入ってきますし、監督が求める動きができないと試合に出られない。特に新監督が就任した時は、監督が目指すサッカーを体に覚えさせることを徹底的にやりますね。過去には監督のサッカーを否定する選手も見てきましたが、まず受け入れた上で自分の色をプラスアルファで出すことで生き残れたのかなと思います」

――ケガが連続したここ数年も復帰後すぐにスタメンで起用されることが多く、監督からの信頼が厚いことが分かります。

「スタメンで起用してもらった時は、その期待に応えるために、ケガ明けでも100%の力でプレーします。繰り返しですけど、監督とのコミュニケーションを大切にして、分からないことは聞いたり、苦手なプレーも練習でしっかりと取り組んだり、そういう姿勢は持ち続けてきましたね」

――コミュニケーション面に関しては、昨シーズンは試合中に藤春選手からチームメイトに声をかけている場面をよく見ました。

「確かに試合中にだいぶ喋るようにはなったかな。崩されそうなシーンがあった時は自分からチームメイトに守り方を提案することは増えてきたと思います」

――年齢的にもチームを牽引する立場だと思いますが、若手選手とは普段の練習中も含めてコミュニケーションを積極的に取るタイプですか?

「多分、ガンバのベテラン選手の中で(自分が)いちばん話やすい存在じゃないですかね。 自分もそれを良しとするスタンスでいるので、若手も馴れ馴れしく話しかけてきますし(笑)。自分も若手の時に先輩にガツガツいくタイプだったので、年齢差は関係なく、自然に受け入れられる部分はあります。コロナ禍ではコミュニケーションの機会が限られてしまうのですが、練習中とか(会話の)チャンスがあるタイミングで声をかけるようにしています」

――そのスタンスは、同じポジションでレギュラーを争う相手であっても変わりませんか?

「ライバル心とか、そういうのは全然ないですね。同じポジションの選手とも仲良く喋れますし、プレーのアドバイスをすることもあります。経験はあるので、それを若手選手に伝えていきたいという考えもあります。同じポジションじゃない選手も含めて、チームのほぼ全員と気軽に喋ってますね」

――「経験を伝える」という考えは20代の頃にはなかったものだと思います。年齢を重ねると共にプレーするモチベーションも変化するものでしょうか?

「いや、やっぱりタイトルを獲ることが最大のモチベーションであることは変わらないですよ。何個か獲ってますけど、J1でタイトルを目指してプレーすることは毎年変わらない目標ですね」

――答えにくい質問だと思うのですが、過去にはガンバがJ1にいないシーズン(2013年)もありました。藤春選手個人のキャリアとしては、日本代表に選出され(2015年)、リオデジャネイロ五輪にもOAとして出場しています(2016年)。そうしたタイミングで海外も含めて、他クラブへの移籍を検討したことはありませんでしたか?

「移籍を考えたことは1回もないです。2012年はJ2に降格しましたけど、攻撃的なチームのスタイルは自分に合っていると思っていたので。(2012年リーグ戦の)得点数も確か1位(67得点)ですよね。やっぱり、純粋にガンバのことが好きという理由もあります」

――「ガンバのことが好き」……J2優勝時(2013年)にピッチで涙したシーンをはじめ、クラブ愛を感じさせる言動が時々あるのは、藤春選手がファン・サポーターから長年愛される理由の1つなのかもしれません。そんな藤春選手を応援している方々へ、最後に今シーズンに向けた一言をお願いします。

「個人としては、自分の特徴である上下運動を守備面でも攻撃面でも繰り返すこと。そして、得点やアシストという数字にもこだわってきたいですし、その結果としてチームがタイトルを獲って、カタさんにトロフィーを掲げて欲しいです」

藤春廣輝プロフィール

HIROKI FUJIHARU

藤春廣輝

大阪府東大阪市出身。東海大仰星高校、大阪体育大学を経て、2011年にガンバ大阪に加入。豊富な運動量と圧倒的なスピードを武器にガンバ大阪の左サイドを支える。2015年に日本代表に初選出され、2016年にはオーバーエイジとしてリオデジャネイロ五輪にも出場。2021年、J1リーグ250試合出場も達成している。

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