【J1採点&寸評】FC東京1-0G大阪|縦横無尽に駆け抜けた内田がMOM。バラバラなガンバは辛めの評価
FC東京――右SBへのコンバートが成功した内田を高評価
[J1第15節]FC東京1-0G大阪/5月22日/味の素スタジアム
【チーム採点・寸評】
FC東京 6.5
1分の先制点でペースを握り、守ってカウンターを狙うペースで試合をコントロール。往時の堅守というには被シュートの本数が多いものの、最終盤にG大阪が決行してきたパワープレーにも耐え抜き、2戦連続の無失点勝利。復調の兆しが見えてきた。
【FC東京|採点・寸評】
GK
13 波多野豪 6.5
連敗中は個人としても不本意なプレーが目についたが、前節から気迫あふれるセービングが復活。41分にL・ペレイラの強烈なシュートを防ぐなど随所に好プレーを見せた。
DF
MAN OF THE MATCH 14 内田宅哉 7
卓越した個人技で相手ディフェンスをかわし、1分の先制点をアシスト。このゴールで苦しむG大阪をノックアウトした。縦横無尽に駆け抜けるダイナミックなプレーで右SBに定着しそうだ。
DF
4 渡辺 剛 6
落下点での跳ね返しが安定。以前の調子を取り戻しつつあるようだ。G大阪がパワープレーを仕掛けてきた最終盤の時間帯も、森重とのコンビで安心できた。引いて構え、耐える時間帯の多い試合となったが、背後を消しつつしぶとく守った。
DF
3 森重真人 6
34歳の誕生日を迎えた翌日に完封勝利。アンカーからCBに戻ってみて、やはり本職だと選手寿命はさらに伸びるだろうと実感させられる出来。フィード、ラインコントロールで試合運びを制御した。
DF
6 小川諒也 6
守備意識が高まり安定感を増したことが代表入りの一因だが、この試合では攻撃面が目についた。特に今シーズンのテーマとしている、中に入って周囲と連動しての攻撃参加が目立った。
MF
21 青木拓矢 6
前節の柏戦から顕著になってきた、サイド前方へと進出しての攻撃参加がこの試合でも見られた。加入当初と比べて強度も向上し、中盤の底を任せられる状態になってきたことは間違いない。
MF
31 安部柊斗 6
昨シーズンの絶好調時とまではいかないが、守備のタスクを全うしながら攻撃でチャンスを作る循環に入ってきている印象。後半開始直後に田川を狙ったクロスは素晴らしかった。
MF
27 田川亨介 6(75分OUT)
U-24日本代表に選ばれた直後の試合ということもあり、気合いが入っていた。得点こそなかったが、切れ込んでシュートを打つ姿には迫力がある。9分にクロスバーを叩いた一撃は惜しかった。
MF
8 高萩洋次郎 6.5(80分OUT)
ピンチと見るや自陣に戻りボールを奪い取る姿は柏戦同様。チームを第一に考えたプレーでペースを自チームに引き寄せた。12分に裏へと抜け出して送ったクロスはアダイウトンに合わなかったが、良いプレーだった。
MF
15 アダイウトン 6(80分OUT)
柏戦のようにゴールやアシストはなかったものの、気持ちよさそうに走り抜けるプレーがチームを優位に立たせたことは確かだ。残り15分になっても強引に突破できるタフさが頼もしい。
FW
9 ディエゴ・オリヴェイラ 6.5(90分OUT)
内田がお膳立てした最高の場面、丁寧なタッチでゴールへとボールを落とし、貴重な先制点を奪った。その後も終了直前の90分まで勤勉にプレーし、ウノゼロの勝利に導いた。
途中出場
MF
7 三田啓貴 6(75分IN)
投入されてからの10分間で2回のチャンスに絡み、チームが守勢一方に陥ることのないよう、前への推進力を維持し続けた。
MF
10 東 慶悟 ─(80分IN)
ロンドン五輪コンビの永井と同時投入。幅広い仕事に追われる先発の時と異なり、終盤の出場では要所を押さえた相手にとっては嫌な動き。先発の水準を落とさないプレーで逃げ切りを成功させた。
FW
11 永井謙佑 ─(80分IN)
相手の最終ラインに仕掛けて守備陣を疲弊させ、相手ボールとなるとディフェンダーに圧力をかける。終了直前、菅沼にプレッシャーをかけてボールを保持させなかった場面はお見事。
MF
18 品田愛斗 ─(90分IN)
まったくJ1に絡めない状態から4年目、ターンオーバー対象の試合に出るだけでなく、終了直前の交代カードとして送り込まれるところまでやってきた。場数を踏んでさらに主力の地位を目指したい。
監督
長谷川健太 7
必ずしも良いところばかりの内容ではなかったが、前に圧力をかけて序盤に先制するスタイルで2戦連続の勝利を収め、この方向で行くのだとチームをまとめた手腕は評価に値する。今後は勝ちながら細部の手入れをしていってほしい。
G大阪――キックオフ直後の失点で涙を飲む
[J1第15節]FC東京1-0G大阪/5月22日/味の素スタジアム
【チーム採点・寸評】
G大阪 4.5
開始直後の失点で早々にゲームプランが破綻。そのショックが尾を引いて前半の間は混乱するも、結局その後は無失点で乗り切っただけに立ち上がりの守備崩壊がもったいない。反面、シュート数は多いもののまだ堅実とは言えない相手の守備を崩しきれず無得点に終わった攻撃に課題が残る。バラバラの状態だが、なんとかしてまとまっていく必要がある。
【G大阪|採点・寸評】
GK
1 東口順昭 6
GK単体としてのプレーはこの日も安定していた守護神だが、相手のエースにどフリーでシュートを撃たれては、なすすべなし。後半開始直後、田川に詰め寄られた場面では泥臭くボールに飛びつき失点を防ぐガッツを見せた。
DF
5 三浦弦太 4.5
アダイウトンと小川が攻めてくるFC東京の左サイドに蓋をするべく右SBでの起用となったが、前半は容易に入れ替わられ、裏をとられて厳しい出来。後半は落ち着きを取り戻し、アダイウトンにボールを譲らない場面も。ただ攻撃面ではなかなか機能しなかった。
DF
3 昌子源 4.5
先制点を許した場面で三浦のフォローがないことを確かめないままD・オリヴェイラのマークを離してしまったことは致命的。その後は比較的安定、長い時間帯を無失点に抑え、ゲームを五分の展開に持ち込んだ。
DF
13 菅沼駿哉 4.5
左CBで出場したが最初の失点で内田にかわされてしまい失点に直接絡む結果に。期待された地上戦で効果的な働きができず、後半も永井についていけない場面があるなど、ストッパーとしてはやや物足りない。
DF
24 黒川圭介 5.5
積極的な攻撃参加で倉田や宇佐美と連動したが、それが結果に結びつかないのは前節同様。58分にはボックス内で浮き球を上げたものの、これも得点には至らなかった。右SBが定まらないだけに、左からのサイド攻撃の砦としてめげずに頑張ってほしい。
MF
30 塚元 大 5.5(60分OUT)
右サイド奥のスペースを突いてウイング的な役目を果たし、シュートもラストパスもあり好印象。しかし反面、1点を先行された状況を覆し流れを引き寄せるには至らず、勝負をかける残り30分での交代はやむなしか。
MF
15 井手口陽介 5(82分OUT)
先制点により守ってカウンター狙いを明確化してきたFC東京の速攻をタックルで阻止する場面もあったものの、高萩がカバーに入り青木が攻め上がる相手の中央部分を抑えきることができなかった。
MF
21 矢島慎也 5
バランスをとろうと広い範囲に奔走するのは分かるが、捌きのパスや決定的なパスの仕事が目立たない。ボール奪取が強くないのであればコースを消したり相手のスピードを遅らせることと、攻撃面での貢献とに意識を向け、つなぎ役になりたいところ。
MF
10 倉田 秋 5.5(71分OUT)
前節はトップ下だったが、今節は左SHでの起用。ポジションにこだわらず中央や右にも流れ、守備にも戻って貢献する姿勢はうかがえた。それがかえって平均的な仕事ぶりになっている印象。波多野に止められたシュートのように決定的な場面のプレーを増やしたい。
FW
9 レアンドロ・ペレイラ 5.5(60分OUT)
41分に放った強烈なシュートは右ニアで止められてしまったものの、相手が波多野でなければ決まっていたかもしれない1点もの。ポテンシャルは間違いなく高いだけに、周囲との連動でもっと関わる決定機を増やしたい。
FW
39 宇佐美貴史 5(82分OUT)
隙あらばシュートを狙っていく姿勢は脅威になりかけたが、それ以外がやや淡白。単発のプレーが目につき、攻撃陣全体で畳み掛けていくような迫力を出すことができなかった。
途中出場
MF
8 小野瀬康介 5.5(60分IN)
3試合の離脱から復帰して1点ビハインドの後半に途中出場、流れを変えるべく塚元のあとを受けて右SHに入った。しかしチームとしてまとまりにかける状況で個の力を十分には発揮できず、消化不良の30分に。
FW
20 一美和成 5(60分IN)
同点に追いつくべくL・ペレイラとの交代で前線に。攻略できそうでできない相手の最終ラインを攻略しきれず、最後のパワープレーでも力強さを見せられなかった。京都時代のストライカーぶりを取り戻したい。
MF
28 ウェリントン・シウバ 4.5(71分IN)
前節同様、後半半ば過ぎからの投入。左サイドを突破しかけた場面に個の力の片鱗は垣間見えたが、終盤、対峙するFC東京の右SB内田にボールを奪われ、サイド攻撃の槍としての役目を果たしきれなかった。
MF
6 チュ・セジョン ―(82分IN)
パトリックとの同時投入。ウノゼロで逃げ切ろうとする引いたFC東京の最終ラインに仕掛けていくべく、その手前の段階で動きを作りたかったが、時間も短く効果的な働きは確認できなかった。
FW
18 パトリック ―(82分IN)
アディショナルタイムも含め残り約10分、なんとしても1点が欲しい状況で投入された。だがパワープレーになってもしぶとく身体を張って守る相手の最終ラインに打ち勝つだけの何かを示せない。深刻な無得点に陥った攻撃陣を象徴するかのように出力が上がらなかった。
監督
松波正信 4.5
三浦を右SB、菅沼を左CBで起用し最終ラインの配置を入れ替えたFC東京対策だったが開始早々の失点で破綻。守備のテコ入れという狙いは明らかだったが、そのせいで前半の序盤はちぐはぐな内容となり、相手ペースの試合運びに結びついた。ただ、代行にあれこれと求めるのはやはり酷。一刻も早く正式な監督の就任が待たれる。