【J1分析】ガンバ大阪「バラバラになってしまった」4連敗!FC東京対G大阪
【明治安田J1リーグ 第15節 FC東京vsガンバ大阪 2021年5月22日 19:01キックオフ】
長谷川健太監督が試合後「もっともっとアグレッシブに戦いたかった」と語ったように、東京の調子は決して良くはなかった。試合開始早々に先制点を奪ったものの、その後は決めきれずにいると徐々にトーンダウン。ラインも下がってしまい、ガンバの攻撃を受けながらロングカウンターで応戦することになったが追加点は奪えなかった。
しかし、ガンバの反撃も時間が経つにつれてトーンダウンしてしまった。 浦和戦と同様、チームとしての動きを見せないガンバの攻撃は東京の守備を上回ることができなかった。「ボールを動かしているだけでは怖さにつながらない」と松波正信監督が言うように、個の力だけで勝ちきることができる状態ではなくなってしまっている現在のガンバは怖さがない。
それを補うためには使い使われの関係性が欠かせないが、左サイドを黒川圭介が上がっていっても倉田秋からパスが出ない場面や宇佐美貴史が低い位置から1人で攻撃をする場面が目立ち、その場その場で個人ができることをやっているだけ、という印象は前節と変わらないままだった。
■「何かもうバラバラになってる」
誰がどこでボールを持ったら周りがどう動く、という約束事がないことに危機感を抱く選手もいる。矢島慎也は試合前「今は自分がやりたいようにやっている感じ」とし、小野瀬康介は試合後に「何かもうバラバラになっている」と口にしている。
矢島は「チームとして崩す、と変わってこないと点は生まれない」とも言っているが、試合中に全員がその選手を見てプレーする、ということがない今の状況からチーム全体で生まれ変わるまでにはどうしても時間がかかってしまう。
それまでに少しでも結果を出し、少しでも自信を取り戻すために、どこでどう個の力を出せると効果的なのかという原点に立ち返ることも必要だろう。
そういうとりあえずの結果を出すためには、ゴールに直結する場所で個の力を出せるようにプレーすることで強引に1発を狙うやり方があるが、この日のガンバはそれも上手くいかなかった。
■ついに4連敗
後半、積極的な選手交代をしたものの、一美和成はゴールから離れた場所でボールをキープするしかなく、ウェリントン・シウバは仕掛けで使いたいスペースが空かず、パトリックはゴールに背を向けて競り合うしかなかった。
前線を入れ替えて必死に追いかけているはずなのに、後半に記録されたシュート数は井手口陽介の1本のみ。個の力で現状を打破しようとしても、最低限の約束事や理解が伴っていなければ最終盤のパワープレーさえ怖さがなくなってしまう。一美やパトリックにどこでどうプレーされると相手は怖いのか、ということを選手たちが理解していないということは絶対にありえないのにもかかわらず、それさえもシンプルに実行できなくなってしまっている様子が、ガンバの現状の深刻さを表していた。
4連敗となったガンバはここからどうやって立て直すことができるだろうか。この状況で誰が音頭を取るのか、という部分に注目したい。
■試合結果
FC東京 1―0 ガンバ大阪
■得点
1分 ディエゴ・オリヴェイラ(FC東京)