【G大阪】松波新監督 チーム浮上へカギは「一人ひとりの良さを出す意識」

J1リーグ下位低迷で宮本恒靖監督の契約解除を発表したガンバ大阪で、後任監督が決まるまで指揮を執ることになった松波正信監督は、チーム立て直しのポイントは「一人ひとりの良さを出す意識」にあり、選手の思考の切り替えが重要になると話している。

「シンプルに、ゴールを目指すためにどういうサッカーをしたらいいか」 不振にあえぐガンバで、急遽指揮を執ることになった松波監督は5月15日の取材対応で、ゴールを奪うというサッカーの基本に選手の視線を戻し、意識を変えることで変化をもたらしたいと語った。

昨シーズンはJ1で2位に入り、4年ぶりにAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権も獲得したガンバだったが、今季は20チーム中18位と、自動降格する下位4枠に低迷している。

シーズン開始早々、1試合を終えたところで新型コロナウィルスへの集団感染で活動休止を余儀なくされ、3月の6試合が順延となる難しい時期もあり、開幕からここまでの成績は1勝4分け5敗。中でもネックになっているのが、10試合で3得点という攻撃だ。今季新たに挑んだ4-3-3システムにも苦戦した。

今月14日の会見でガンバ大阪の小野忠史社長は、10試合での監督交代の判断について「1勝止まりの成績で得点力が課題だが、なかなか改善の様子が見られない」と説明した。

強化アカデミー担当兼普及部長を務める和田昌裕締役も、「消極的でミスを怖がるプレーが非常に多くみられた。ボールを失わないという宮本監督のサッカーに、選手がボールを大切にすることばかりを意識しているが、本来サッカーはゴールを目指すもの」と指摘した。

松波監督は、Jリーグ発足初年度1993年にガンバ大阪でプロデビュー。それ以来、2005年シーズンまでガンバのFWとして活躍し、リーグ戦280試合で45得点、カップ戦でも53試合で14得点をマークした。 現役引退後は2006年からガンバのユースチームのコーチ、2010年には西野朗監督の下でトップチームのコーチ、2014-2015年にはガイナーレ鳥取の監督、セレッソ大阪U-18チームのコーチなどを経験。

2018年から古巣のガンバで強化アカデミー部長を務めてきた。 現状打破とチーム浮上へ、松波監督は「ゴールを目指すところから逆算してパスやコントロールがある」と話し、選手たちには「シンプルにボール奪い、ゴールを目指す。一人ひとりの強みを出すという思考に変えてくれと伝えた」と話した。 チームにはブラジル出身FWパトリック選手や今季加入したFWレアンドロ・ペレイラ選手、FWチアゴ・アウベス選手らをはじめ、FW宇佐美貴史選手、MF倉田秋選手、MF井手口陽介選手ら攻撃能力の高いタレントが揃い、チームのベースとなる守備陣にもGK東口順昭選手、DF昌子源選手、DF三浦弦太選手を含めて日本代表経験者は多い。

松波監督は、「思考を変えるだけで、やれる選手は多い。そこの変化を見てみたい」と話し、選手のポテンシャルと覚醒に期待する。 就任にあたっては、宮本前監督を支える立場だったとして「責任は感じている」と複雑な心中も明かしたが、「何とかしたいという気持ちで引き受けた。ガンバのために自分ができることを100%やるだけ」と決意を口にした。 松波監督のシーズン途中での登板は2012年に次いで2度目。

当時も成績不振でシーズン途中で解任となったジョゼ・カルロス・セホーン監督の後を受けて、急遽指揮を執ったが、降格を避けることはできなかった。 それから9年。49歳になった松波監督は「いろいろな仕事をやらせてもらって、視野が広がった。俯瞰して見ることができるようになったかと思う」という。 クラブはACLへは新監督の下で臨みたいという意向を示しており、後任が決まり次第、松波監督からバトンタッチとなる予定。

後任監督には「日本人」で、「ACLの経験」があり、「選手を同じ方向に向かわせることができる」などの選考基準を挙げているが、シーズン中という時期もあって、難しい作業になる可能性もある。 ちなみに、今年のACLはコロナ禍の影響でグループステージが各組ごとの1都市集中開催となり、ガンバが入ったH組は6月25日から7月11日まで、ウズベキスタンで行われる予定だ。 韓国の全北現代や豪州のシドニーFC、シンガポールのタンピネス・ローバーズFCと対戦する。

チームは14日の練習から松波体制でスタートした。初陣は16日のホームでの浦和戦で、その後はJ1では27日に徳島戦、30日に横浜FC戦とホーム戦が続き、6月2日にアウェイで湘南と対戦。また、6月16日には天皇杯2回戦が予定されている。 DF昌子選手は、「僕ら選手も変わらないと意味がない。これを再出発と受け止めて、気を引き締めてやらないといけない」と言う。

J1で18位という現状についても元日本代表センターバックは、「いるべき順位ではないし、まだあきらめる試合数でもない」として、「勝ちに行く、勝ち続ける姿勢を見せないといけない。戦う集団になっていかないといけない」と、力強く語った。

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