G大阪、総力戦で「2位」死守!(2)事前に準備していた「両サイドのタスク」
■12月6日/J1第31節 湘南―G大阪(BMW)
1日早く行われた名古屋の試合の結果、暫定ながら「2位」の座を譲った状態で行われた湘南―G大阪の一戦。
戦列を離れているMF井手口陽介、MF小野瀬康介と謹慎処分となっているFWアデミウソンに加え、前節・鳥栖戦で先発したFW宇佐美貴史とMFキム・ヨングォンもこの試合を欠場。総力戦で上位争いに挑む状態だった。下位に沈む湘南を相手に決定機を何度も作られ、さらには一時同点に追いつかれるなど苦しい時間帯もあったが、MF福田湧矢のJ1発ゴールとFWパトリックの決勝弾で勝利を掴んだ。
ただ、下位チーム相手にただ押し切ったわけではなく、ガンバはしっかりと策を準備してこの試合に挑んだ。その一つが、両サイドのプレスだ。
湘南は3バックを敷き、右から舘幸希、石原広教、大野和成と並ぶ。G大阪は4-4-2。2列目は右に福田湧矢、左に倉田秋が入ったが、この福田と倉田が。スタート時から対面するセンターバックに対してプレスをかけてビルドアップを阻害した。
6分のガンバの先制点は、福田ではなかったが右サイドバックに入ったDF高尾瑠が右サイドで出足鋭くボールを奪い、そこからゴールにつなげたものだった。ペナルティエリア内にいたパトリックの落としも、福田が前への意識を持つことが共有されていたからこその判断でもあったはずだ。
宮本恒靖監督も、「守備に関しては今日の試合の一つの狙いではありましたし、それを選手たちがしっかりとパフォーマンスとして出してくれたと思います。やはりああいう守備があってこその先制点ですし、スタートの良さにつながった」と胸を張った。
すでに述べたように、前線でアデミウソンと宇佐美、中盤で井手口と小野瀬を欠き、本来、攻撃的なポジションで選手層に問題を抱えていた。この試合で右サイドで先発した福田は今季ここまでサイドバックでの出場が多く、2列目で先発したのは川崎戦など数えるほどしかない。
しかし、これは決して突発的な起用ではなかった。川崎戦より以前から福田の2列目の準備を進めており、練習ではすでに行っていた形だった。
その福田がJ1初ゴールを決めてみせ、「今季、ずっとああいう形を練習してきたので、やっとそれが報われたと思います」と振り返った。
白星を掴んだことで、再び名古屋に勝ち点差「3」をつけ、2位を死守したガンバ。残り2試合で自力での2位を維持することができ、今度は逆に名古屋にプレッシャーを与える立場となった。
J1の2位チームに与えられる天皇杯出場権。それを確実につかみ取り、天皇杯決勝で、目の前でのJ1優勝を果たした川崎にリベンジを果たす心構えはできている。