[MIXゾーン]ベルマーレを苦しめたハイプレス&堅牢な守備ブロック ガンバが見せた“したたかさ”
要所を押さえた戦いぶり
明治安田生命J1リーグの第31節が6日に行われ、ガンバ大阪が湘南ベルマーレに2-1で勝利した。
ガンバを率いる宮本恒靖監督は、この試合で[4-4-2]という布陣を採用。GKは東口順昭、4バックは右から高尾瑠(高ははしご高)、三浦弦太、昌子源、藤春廣輝。両サイドハーフに福田湧矢と倉田秋、2ボランチに山本悠樹と矢島慎也が起用され、最前線にパトリックと渡邉千真の2人が配置された。
一方、ベルマーレの布陣はこの日も[3-1-4-2]。GKは前節と同じく後藤雅明、3バックは右から舘幸希、石原広教、大野和成。アンカーに柴田壮介、両ウイングバックに畑大雅と岡本拓也が配置され、金子大毅と茨田陽生の2インサイドハーフに松田天馬と中川寛斗の2トップという陣容になった。
ビルドアップ能力に長けるベルマーレの3バックに対し、ガンバ陣営がキックオフ直後からハイプレスを敢行。左サイドハーフの倉田が舘、右サイドハーフの福田が大野に対して素早く寄せ、高尾と藤春の両サイドバックがベルマーレの両ウイングバックをマークする形をとっていたが、この戦法がいきなり功を奏する展開に。前半6分、高尾が敵陣で大野のパスをカットすると、ペナルティエリア内にいたパトリックへ楔のパスを供給。パトリックからのパスを受けた福田がミドルシュートを放ち、先制ゴールを挙げた。
ベルマーレの浮嶋敏監督、及びガンバの宮本監督は試合後に行われたオンライン会見で、前半の自軍のパフォーマンスについて言及。宮本監督は試合序盤の自軍の守備に満足感を示し、浮嶋監督はガンバのハイプレスをかい潜れなかったことを反省点として挙げている。
宮本監督 「その守備(ハイプレス)に関しては今日の試合の狙いのひとつではありましたし、それを選手たちがしっかりとパフォーマンスとして出してくれました。あのような守備があってこその先制点ですし、スタートの良さに繋がったと見ています」
浮嶋監督 「相手が前から来ることは分かっていたので、(相手最終ラインの)背後をとることを狙っていました。ただ、良い背後のとり方をするためのボールの質が悪くて、ボールが全て(ガンバの)センターバックのところに行ってしまいました。そこでセカンドボールを取られるということを繰り返してしまって、逆にプレッシャーが掛かっているところに入れたボールで失点をしてしまいました。本当に試合の入り方が悪かったなと。これは私の最初のプランも含めて、非常に反省すべき点だなと思います」
連動性溢れるプレスで幸先の良いスタートを切ったガンバにとって厄介な存在となったのは、最終ラインの背後への果敢な抜け出しと、力強いドリブルでベルマーレのサイド攻撃を活性化させていた畑。前半33分すぎには畑に自陣右サイドのスペースを突かれてペナルティエリア内にクロスを送り込まれると、中川のシュートが昌子の手に当たり、ハンドの反則によるPKという判定に。
このPKを中川に物にされたガンバは時間の経過とともにプレスの強度が落ち、後半も畑を起点に何度かチャンスを作られたものの、倉田と福田の両サイドハーフがプレスバックすることで“4-4”の守備ブロック(4バックと中盤4人)を自陣で形成し、センターバックの昌子と三浦もゴール前で体を張り続けたことで、ベルマーレの猛攻を凌ぐことに成功。後半21分には敵陣左サイドでのパスワークから藤春がクロスを上げ、このボールにパトリックがヘディングで反応して勝ち越しゴールを挙げてみせた。
「できる限り長い時間、前からプレッシャーをかけるということはやりたい部分ではありましたが、後半はボールの失い方が良くなくて、もう少し自分たちでボールを保持する時間、相手陣内でボールを動かす時間があれば、(陣形が)整ったなかで前からボールを奪うようなシチュエーションに繋がったと思います。そう至らなかったのはやはり、われわれが簡単にボールを相手に渡したことが原因かなと思っています」
宮本監督はこのように試合を総括していたが、相手に押し込まれる時間帯が長かったなかでワンチャンスを物にし、勝ち点3を得たことは、ガンバの面々にとって収穫と言えるだろう。当初のゲームプランが崩れたなかでも堅牢な守備ブロックをベースに勝利をもぎ取れるという、ガンバのしたたかさが窺える一戦だった。