FC東京戦、意図的でないG大阪DFのハンドからPK。同様のケースに長谷部誠ら海外組はどう対応?
気になったジャッジを徹底解説する「Jリーグジャッジ リプレイ#15」がDAZN(ダゾーン)で配信中だ。今回は、明治安田生命J1リーグ第13節でFC東京がガンバ大阪に3-1で勝利した一戦から、72分にFC東京がPKを獲得したシーンを取り上げる。
番組には、Jリーグの原博実副理事長、Jリーグウォッチャーの平畠啓史さん、FIFA・AFC・JFA審判インストラクターの深野悦子さんが登場。桑原学さんMCのもと、SNSで反応が多かったシーンをピックアップして議論を行った。
海外組は割り切った対応
今回話題になったのはFC東京vsG大阪の72分のシーン。右サイドに抜け出したアダイウトンがクロスを上げると、至近距離でスライディングにいったキム・ヨングォンの腕にボールが当たって笛が鳴る。FC東京がPKを獲得するとG大阪の選手たちが抗議したが、判定は変わらなかった。
映像を確認した平畠さんは「ハンドをとられてもしょうがない」としつつも、キム・ヨングォンのプレーが意図的なものではないということを加味して「じゃあ、どうやってスライディングすればいいの?」と疑問を呈す。
原副理事長は、これに対して「後ろ手にやるしかないという話になってしまう」とコメント。平畠さん同様に「意図的ではないのではないかと思うので僕はとらなくてもいいかなと思うけど、難しいね」と、キム・ヨングォンに落ち度がなかったことにも理解を示した。
一方、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されている海外でプレーする日本人選手たちが、割り切った対応をしていることも紹介している。
「長谷部(誠)と前に話した時も『VARが入っているのもあるし、もう後ろ手です』、『色々と言われるのであれば後ろにやります』と割り切ってそうやっていました。吉田麻也もそんなこと言っていたかな。だとすれば、そういう練習をDFなんかはしなくてはならないんだろうなと思ってしまう」
G大阪選手の抗議音声が拾われていた
桑原さんはこのシーンではG大阪の選手が抗議する声が中継に拾われていたと説明する。選手たちは「故意に触れていない」という点を強調していたようだ。
「『腕が体にくっついてたでしょ』という(G大阪の選手による)アピールが最初にあって、それはおそらく目視の時点で事実を誤認しただけだと思いますが、そのほかに『故意じゃないでしょ』というのと『ボールとの距離があんなに近いんだから故意に触れないでしょ』みたいな抗議もあった」
これについて、深野さんはルール上の観点からハンドの判定が正しいとの見解を述べた。
「肩以上の位置に腕があったので、ハンド。(選手が主張するように)条文の中には『意図的にボールに触れる』っていうのもある。それではないのは確かですが…。私も逆に、『どうやってDFプレーすればいいんだろう』と思っていましたが、ハンドはハンド」
なお、競技規則第12条には問答無用で適用されるハンドの反則として「手や腕をボールの方向に動かす場合を含め、手や腕を用いて意図的にボールに触れる」と記載。限定的なシチュエーションとして、意図的なもの以外で「手や腕でボールに触れたとき」の反則になるプレーが「手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくした」、「競技者の手や腕が肩の位置以上の高さある」と定められている。
意図的かどうかは関係なくハンドだと説明した深野さんは、至近距離からのクロスという点についても「確かに近いですが実際足は出てますので、セオリー的にあそこにセンタリングが上がるというのは当然分かってて足が出ている。やっぱりそこで腕も上がった」とも口に。平畠さんは「ルールに対して選手が理解を高めないと損ですね」と、選手側も適応していく必要があると述べた。
今回のジャッジリプレイでは、このほかにも第26節(前倒し分)のFC東京vs鹿島アントラーズでアルトゥール・シルバの肘や腕が相手に当たった場面、第13節の北海道コンサドーレ札幌vs名古屋グランパスの後半ATに札幌が獲得したPKについても議論されている。