「彼らの活躍が刺激に…」明大FW佐藤凌我、東京V内定直後の慶應大戦で2発! 東福岡OBの躍動にも発奮

「ぬるいプレーはできない」公式戦2連敗の中で内定後初のリーグ戦に臨み、2ゴールを叩き出す

8月24日、明治大からまたJリーガーが2人誕生をした。FW佐藤凌我とMF持井響太がともに来季から東京ヴェルディに加入することが内定した。

「周りからの目は変わったと思っています。プロ内定選手として見られるので、ぬるいプレーはできません」

こう語った佐藤は、178cmのサイズに加え、豊富な運動量と駆け引きのうまさをベースに、前線でターゲット、ストライカー、セカンドアタッカーなど多くの役割をこなせる器用なストライカーだ。

名門・東福岡から明治大に進み、1年時から出番を掴んできた佐藤は、内定後初のリーグ戦となった29日の関東大学リーグ1部・8節の慶應義塾大戦で2ゴールを叩き出して、さっそくその自覚を結果で示した。

前半は慶應大の5バックを敷いた堅い守備の前に攻めあぐねた。しかし、「1点入れば流れは変わると思っていた。自分が来たチャンスを必ず決める気持ちでいた」と佐藤は冷静だった。

48分、右CKからMF住永翔が蹴ったボールを中央でMF須貝英大がヘッドで合わせると、ポストに当たって跳ね返ったボールに佐藤が反応し、ゴールに蹴り込んだ。2-0のリードで迎えた60分には、右サイドを突破した須貝のクロスに反応。「ダイレクトでシュートを打ちたかったけど、相手DFの前に入りきれていなかったので、トラップに切り替えた」と、ゴール前の状況を冷静に捉え、ボールを一度収めてからゴールを射抜いた。結果は後半だけで4点を奪った明治大が4-0の勝利を収め、首位の座をガッチリと守った。

「慶應大戦を前に4年生全員でミーティングをしました。下級生に明治大としてのハードワークだったり、精神をしっかりと伝え残すことが僕らの役目。あと半年でそれをきちんと示さないといけないので、今日もその気持ちで臨みました」
試合後、佐藤がこう語ったように、明治大にとってこの試合は今後を占う重要な一戦だった。

明治大は8月15日の7節・国士舘大戦で前半の攻めあぐねが影響し、後半になってもゴールをこじ開けられず、逆に60分の失点を皮切りに一気に崩れて0-3の敗戦を喫し、開幕からの連勝が7で止まる今季初黒星となった。さらに内定が発表された24日には、「1番の目標としていた」(佐藤)はずの天皇杯への出場権へと繋がる東京都予選・学生の部準決勝で、中央大に0−1の敗戦。2試合連続ノーゴール、公式戦2連敗と、個人としても、チームとしても悪い流れが続いていた。

そうした流れを断ち切らなければならない慶應大との一戦に対し、進路が決まったことによる安堵感も、目標をひとつ失った喪失感も、一切持たずに臨めたからこそ、佐藤もチームも結果を出すことができた。

佐藤はこれでチーム最多のリーグ6得点。リーグの得点ランキングでも2位に躍り出た。

「(4得点のFW小柏)剛が(内定が決まった)コンサドーレに帯同して何試合か抜けていたので、チーム内得点王だとは思っていませんが、自分が引っ張る気持ちは日に日に強くなっています。FWとして得点はもちろん、それに至る動きや守備をもっともっと高めていきたい」

「大卒は高卒と違って入ったらすぐに即戦力にならないと厳しいと思う。来年頭から戦力になる意識を持って」

そう語る佐藤には、プロ入りが決まった今だからこそ、強く思うことがある。出身校の東福岡の歳の近いチームメイトたちが、Jリーグで活躍している。同級生の藤川虎太朗(ジュビロ磐田)、高江麗央、小田逸稀(ともに町田ゼルビア)の3人が高卒プロでプレーし、1学年下には福田湧矢(ガンバ大阪)、阿部海大(ファジアーノ岡山)が、2学年下では中村拓海(FC東京)が高卒2年目で躍動。1学年上には佐藤と同じく大学を経由して、今季からV・ファーレン長崎に入り、早くもJ1クラブが注目する存在となった毎熊晟矢がいる。

「今年で言うと年代は被っていませんが、荒木遼太郎選手が高卒で鹿島に入って活躍しています。やっぱり高卒からプロが多いなかで、遅れを取ったとは思っていませんが、彼らの活躍は刺激になっています。晟矢くんが入ってすぐにスタメンで出続けているのを見ると、大卒は高卒と違って入ったらすぐに即戦力にならないと厳しいと思うので、自分も来年頭から戦力になる意識を持って、明治大でしっかりと取り組みたいと思っています」

先輩、同級生、後輩からプラスの刺激を受ける。それは東福岡のチームメイトに限らず、明治大でも一緒だ。1学年上であるDF安部柊斗、中村帆高(共にFC東京)、森下龍矢(サガン鳥栖)、瀬古樹(横浜FC)らはすでにJ1で主力の座に定着しており、同期の小柏もすでに札幌でJデビューを飾っている。

佐藤は常に刺激に溢れた環境でサッカーに打ち込んでいる。今度は自分が刺激を与える立場になるべく、将来を見据えてストライカーとしてのポテンシャルを磨き上げている。

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