【G大阪】遠藤保仁は“レッズ戦完敗”をどう受け止めたのか。「自分たちがなにをしたいのかを…」
「中から攻撃する機会を増やさないといけない」
[J1リーグ第11節]G大阪 1-3 浦和/8月19日/パナスタ
1-3というスコアからは推し量れない完敗だった。
ガンバ大阪は水曜日、本拠地に“宿敵”浦和レッズを迎えてJ1リーグ第11節を戦った。序盤から小気味良いショートカウンターを炸裂させて敵を押し込み、井手口陽介や宇佐美貴史が立て続けに好機を掴んだが、相手GK西川周作のファインセーブなどもあって得点には至らない。
すると徐々に浦和の激しいプレッシングの餌食となり、ポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)でミスが増えはじめる。24分、三浦弦太のパスミスから最後は関根貴大に先制点を決められ、34分には藤春廣輝のハンドでPKを献上して、レオナルドに2点差とされた。
良いところなく前半を終えると、宮本恒靖監督は後半頭から遠藤保仁とアデミウソンをダブル投入して、3-1-4-2から4-4-2にシステムを変更する。攻撃に枚数を掛けるアグレッシブな采配に打って出たが、57分にまたしてもミスが絡んで決定的な3点目をねじ込まれてしまう。直後に井手口がCKからスーパーミドルを叩き込んだが、反撃もここまで。パトリックを軸としたパワープレーも実らず、チームアタックは浦和の狡猾なディフェンス網を打破できずに敗れ去った。
試合後、リモート会見に登場した遠藤がゲームのインプレッションを明かした。0-2で折り返したハーフタイムには「ビルドアップの部分では大きな問題はなかった」と感じていたという。そして「リードされてたんでフォーメーションも変わった。やっぱり、相手のエリアに入ったときにアイデアが欲しいと感じていて、バイタルエリアで(自分が)ボールに触る回数を増やせば、相手の守備ラインは崩れると思っていた」と続けた。
だが、依然として浦和の選手たちの鋭い出足に四苦八苦し、なかなか効果的にボールを前に運べない。失点はすべてG大阪DF陣のミスから生まれたが、攻撃の閉塞感がもたらした産物とも言える。
この点について遠藤は「今日の試合に限らず、相手のエリアの近くでもっとアイデアを出さないといけない」とキッパリ。「スルーパスを出してのゴールとか、ワンツーからのゴールとか今年はあまりない。そういうプレーが増えれば相手も嫌だろうし、サイドの選手がよりフリーになる可能性もある。中から攻撃する機会を増やさないといけない」と、神妙な面持ちで提唱した。
先制されると3戦全敗。引いた相手を崩す術が…
今季のG大阪は、浦和戦を終えて6勝1分け3敗という戦績だ。ここ数年では最高のスタートで、先制すると5勝1分けと圧倒的な結果を誇る。だが、先制されると1勝3敗。逆転勝ちは第5節の大分トリニータ戦(2-1)のみだ。
リードを得るか拮抗した試合展開のなかでは、攻守両面で生き生きと選手たちが振る舞う。相手を釣り出してハイプレスを決め、ショートカウンターを炸裂させて勝ちを拾うのだ。その一方で、先手を取られてしまうと一気にゲームが難しくなる。守備に比重を置く相手に対してバリエーション豊かな攻撃を構築できず、結果的に寄り切られてしまうのだ。敗れた相手が絶好調の川崎フロンターレ、セレッソ大阪であることを差し引いても、つまりは遅攻が不得手なのである。
ヤット自身も、そこに課題があると認める。
「どちらかというと今季はオープンな試合が多い。ボールをしっかり握りながら、選手のアイデアを出し合うというところが足りていない。今日の試合でもかなり出ていた部分だと思う。自分たちがなにをしたいのかをもう少し示せないと、今日のようなゲームは難しい。もっと選手間でコミュニケーションを取って、練習のなかからアイデアを出し合って、ミスをしてもいいのでどんどんトライしていく必要がある」
宮本政権3年目にあって、スタイルや勝負強さに磨きはかかってきたものの、やはり不足しているのはチームとしての「創造性」か。J1リーグはここまで10試合を戦って、まだ連敗がない。日曜日に敵地で行なわれる鹿島アントラーズ戦で、ふたたび真価が問われる。