【G大阪】入団会見の昌子が語った古巣への思いと“鹿島イズム”「顔と名前とオーラで守る」
フランス1部・トゥールーズからG大阪に加入した日本代表DF昌子源(27)が5日、パナソニックスタジアム吹田で加入会見を行った。会見では古巣・鹿島への思い、さらにジュニアユース時代を過ごしたG大阪での思い出など、約40分にわたって告白した。
約半年にわたって苦しんでいる右足首の負傷を、日本のメディカルの下で完璧に治したいという思いで、日本復帰を選択した昌子。その中で、古巣・鹿島ではなく、ジュニアユース時代を過ごしたG大阪に加入した理由を「以前は鹿島でお世話になっていたので、恩義を感じていましたが、タイミングとかあって、ガンバ大阪さんが獲得に興味を示してくれた。僕の中では大切なことですし、大事にしたいなと思います」と説明した。
決断の前には、鹿島時代の先輩にあたる小笠原満男氏ら「何人かの偉大な先輩方には相談させてもらいました」という。その上で、最後は自ら決断。複雑な思いはあったはずだが「鹿島、鹿島、といっても、ガンバに失礼。鹿島にも失礼だと思います。もうガンバ大阪の昌子源になったので、これからはガンバのために、体を投げ出すだけ」と言い切った。
G大阪のジュニアユース時代は、宇佐美と同級生でFWとしてプレーしていた昌子。しかし当時は天才・宇佐美のプレーに、自身との埋められない差を感じていた。「ドリブルセンスだったり、ちょっと生意気なところだったり。ユースの選手にいきなりタメ語で話して、追っかけられてるのを覚えてますけどね。今でも思いますけど、その当時は逆立ちしても勝てないなと」。そして中学3年でG大阪ジュニアユースを退団。空白期間を経て、米子北高へ進学し、センターバックに転向してプロへの道を切り開いた。
「正直、(G大阪ジュニアユースでは)悔しい思いしかしていない。それがよかったのかな。だからガンバへの思いもあったのかな。挫折ですよね。俺があっさり負けを認めた。今回は反骨心じゃないですけど、あの時とは違う俺だぞ、というところを見せたい」。かつては成し遂げられなかったG大阪で活躍するという夢を、時を経てかなえるチャンスをつかんだ。
鹿島で数々のタイトルを獲得した日本屈指のセンターバックは、G大阪で自らが担う役割も具体的にイメージしている。「なんで鹿島って強いの、っていわれると説明できない。僕も小笠原満男さんの背中を見て育って、言葉、背中で伝えてきたつもりではありますけど、特別なにかをしてきたわけじゃない。僕の持っている言葉、態度、雰囲気で伝えていきたい」。どういった状況で、チームを引き締める言葉や振る舞いが必要なのか。常勝・鹿島で学んできたことを、G大阪でも伝えていく考えだ。
さらに会見では昌子が鹿島で学び、G大阪に伝えようとしている要素の一端が、コメントからにじんだ。
「何かをもたらすというより、僕がひっぱる覚悟を持っています。それに関しては1年目だろうが、1日目だろうが関係ない」
「鹿島の時は岩政大樹さんとか秋田豊さんに言われていたのは、顔と名前とオーラで守れ、と言われていた。顔やオーラで守るというのは、実力を認めさせているということ。みんなに実力を認めさせて、敵にはやりづらい、味方には心強い、と思わせたい」
「結局は優勝したチームか、していないチームに分かれる。2位以下は一緒。優勝あるのみ」
15年以来、タイトルから遠ざかっているG大阪。鹿島で数々のタイトルを獲得してきた昌子が、チームにどんな変化をもたらすのか。まだ右足首は万全ではなく全体練習への合流時期は未定だが、一日も早い“完全復活”が待たれるところだ。