【G大阪】日本代表の僚友が「キレキレ」と激賞!若き“将軍”井手口陽介が面白くなってきた

「ヤットさんに『残念、2万1やった』みたいな感じで」。

[J1リーグ第8節]G大阪6-0大宮/4月21日/吹田S

ピッチ上で示した圧倒的な存在感。はたして、あのハイパフォーマンスをどんな言葉で表現したらいいだろうか。

4-4-2システムの2ボランチでコンビを組んだ倉田秋は、こう証言してくれた。

「もうキレキレやったんで、自由にやらせてどんどん行かせるのがいいやろうと。思う存分やってましたね。僕はとにかく中盤のバランスを第一に考えて、今日は前に行きたいところでもグッと我慢してました(笑)」

4月21日のガンバ大阪対大宮アルディージャ戦は、まさに井手口陽介の独壇場だった。

この日のガンバは、直近のACLや大阪ダービーで採用していた3-5-2システムを見直し、心機一転を図る意味合いも込めて、4-4-2をスタート布陣とした。今季初だ。今野泰幸、ファビオ、アデミウソンと不動のセンターラインを怪我で欠き、遠藤保仁は週明けのACLを睨んでベンチに控え、長谷川健太監督は堂安律、泉澤仁、藤本淳吾を先発に登用。フレッシュな顔ぶれで悪しき流れを断つべく、ちょっとした賭けに出たのだ。

不安と期待が入り混じるなか、キックオフ直後からエネルギッシュに躍動したのが背番号8だった。

ここぞと決めたら一気にボールを奪い切れる機動力、守→攻の迅速かつ丁寧な切り替え、敵DF陣を翻弄するスペースへの効果的なフリーラン──。“俺がやるんだ”という決意に満ちたプレーで、鋭いフォアチェック&ショートカウンターの急先鋒となり、大勝を呼び込む原動力となった。

「久々の4-4-2で、自分としてはやりやすかったし、チームとしても攻撃、守備ともに切り替えが非常に上手くいきました。考えが共有できてましたね。すごくやりやすかったと思う」

16分には、ゴールラッシュの口火を切る先制ミドルを叩き込んだ。本人は「枠に入ったらいいかなくらいの感覚で撃ちました」と謙遜するが、抑えの利いた鮮やかなグラウンダーショットだった。

惜しくも数分の差でJリーグ2万ゴールのメモリアル弾とはならなかったが(個人的に前田雅文氏の1万ゴールも目の前で見たので達成してほしかった)、その事実は思わぬ人物からハーフタイムに告げられたという。

「(2万ゴールが懸かっているのは)知ってましたけど、特に意識とかはしてなかったですね。ハーフタイムにロッカールームで周りに『2万ゴールちゃうん?』とか言われましたけど、ヤットさんに『残念、2万1やった』みたいな感じで。がっかり? いや、そんなんは全然ないです」

当然、自身のゴールには別次元の価値を見出していた。

「先制点を取られる試合が多かったんで、今日はこっちが先に取れたので良かった。そこから、早い時間帯に2点目(41分)も取れましたしね。結果につなげたという意味では、あれがすごく大きかったと思います」

和製ジェラード? それともデル・アリ?

 プレミアリーグ好きの筆者による勝手な解釈だが、若き日のスティーブン・ジェラードを彷彿とさせ、井手口と同じ1996年生まれで言えば、我がトッテナム・ホットスパーの躍進を支えるイングランド代表MF、デル・アリのスタイルともどこか重なる。広範囲を絶えずカバーして攻守両面に貢献する、良質な「ボックス・トゥ・ボックス型」だ。

いずれはガンバのみならず、日本サッカー界を背負って立つ好タレントだ。ハリルジャパンのボランチ陣は、お世辞にも選手層が盤石とは言えない。パートナーを選ばない柔軟性や国際試合向けのメンタリティーを含め、井手口にはもっとチャンスが与えられて然りだろう。

遠藤と今野の二本柱がいないピッチで、じつは今季のガンバでもっとも欠かせない存在であることを示した若き“将軍”。どこまでも観る者を熱くさせるダイナモだ。

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