「遠藤ファースト」とFW奮起がV奪還のカギ G大阪、序盤戦で見えてきた課題

今季Jリーグで3年ぶりのV奪還を目指すG大阪が、序盤戦で勝ち点を伸ばしていく足がかりをつかんだ。5日のアウェー柏戦で2-1で今季初勝利を手にし、年間4位に終わった昨季からの反撃ののろしを上げた。チームの生命線として浮かび上がってきたのは、「遠藤ファースト」のシステムと相手陣の最前列で身体を張るストライカーの奮起だ。

柏戦で2ゴールを決めてチームを勝利に導いたのは28歳の大型FW長沢駿。これで、2月上旬に行われたACLプレーオフのジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)戦から公式戦5戦で4得点の荒稼ぎだ。一昨年に清水から移籍した192センチの長身で、昨季はブラジル人FWのアデミウソンとともにチームトップの9得点を挙げた。今季は攻撃の大黒柱としての期待がかかっており、序盤戦で着実に結果を残している。

長沢の成長にハリルホジッチ監督も熱い視線

快調に得点を重ねていることに、長沢は「去年からクロスのタイミングに合わせることができている」と自己分析。さらに、両サイドから「どんどんクロスを上げてくれればいいし、要求していきたい」と話しており、2年目に入り、味方選手との呼吸があってきたことに自信を深めている。

5日の試合を視察した日本代表のハリルホジッチ監督も長沢に関心を示しており、「クロスに対してパワーを発揮できる。ポジショニングやテクニックも向上してほしい」と注文した。

長沢、アデミウソンが年間通して出場し続けられれば、1シーズン制に戻った今季リーグ戦はある程度、勝ち星を計算できそうだが、問題は攻撃陣の選手層の厚みだ。

昨季9得点のFW2人以外では、シーズン途中で海外移籍した宇佐美貴史(現アウクスブルク)の5得点、守備的MF勢の今野泰幸(34)、井手口陽介(20)がそれぞれ4得点。長沢、アデミウソンがけがなどで長期離脱すれば、選手起用のやりくりも長谷川健太監督(51)の腕の見せ所となる。

一方で、ゲームメークの点では、今年も中心にいるのが、プロ20年目のベテランMF遠藤保仁(37)。リーグ開幕戦では歴代2位の新人から20年連続の開幕戦出場を果たしたJリーグのレジェンド。今季得点を決めれば、自身が持つJリーグ最長記録である、プロ1年目からの連続ゴールを更新する(2位は横浜FC・三浦知良の18年連続)。

やはり遠藤がG大阪のキーマン

日本代表として経験も豊富で、フィールド全体を見渡して攻撃を組み立てるセンスは随一。今季、長谷川監督は「遠藤を生かすためにはどうすればいいかということを考えた」と話しており、遠藤を中盤の最も低い位置に入る「アンカー」のポジションにあてた。

ボールを預かり、2手3手先の場面を読みながら長短のパスを供給し、攻撃を組み立てていく重要な役割。遠藤自身も「頭を使う必要がある」とやりがいを感じている。

しかし、指揮官のもくろみは思惑通りに効果が現れず、課題も浮き彫りになった。1-4で敗れたACL済州戦の4失点目。遠藤の後ろにいるセンターバックのDF三浦弦太(22)との連絡が雑になった。センターラインより前方で遠藤がパスを受け取るところで、マークしていた複数選手にボールを奪われた揚げ句、ペナルティーエリアの前方に飛び出していたGK東口の頭の上を越されるロングシュートを決められた。

長谷川監督は「遠藤も含めて後ろの選手が、スムーズにボールを運ぶすっきり感が足りなかった」と連係の甘さを嘆いた。

「アンカー」のすぐ後ろはDFの最終ラインとなる。パスを出す際も受ける際も、お粗末な1つのミスは命取りになる。遠藤の負担を補う上でも、中盤の今野や井手口にはボールを奪われた際に相手に食らいついて、奪い返す粘りのプレーが求められる。

その井手口は1日のACL済州戦で右足首を痛めて柏戦は欠場。代わりに柏戦で今季初先発して決勝点をアシストするなど活躍したDF初瀬亮(19)らによるレギュラー陣の押し上げやチームの新陳代謝も、1年間を乗り切る上で欠かせないだろう。

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