持ち味発揮で先制点演出の宇佐美「もっと代表のど真ん中でプレーしたい」

「今日は本当に勝ちたかった。負けて悔しい」

敗戦を告げるホイッスルをベンチで聞いた直後、テレビ中継のインタビューで率直に胸中を明らかにした宇佐美貴史(ガンバ大阪)。だが、この日のピッチで背番号11が確実な輝きを放ったことは間違いのない事実だ。

7日に行われたキリンカップサッカー2016の決勝でボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表に1-2で逆転負けを喫した日本代表。宇佐美は得意とする2列目の左サイドで先発出場し、28分に清武弘嗣(ハノーファー)の先制ゴールを完璧な形でアシストした。

森重真人(FC東京)からの縦パスを左サイドで受けると、果敢にドリブルで仕掛けて左足でクロス。これをニアサイドに走り込んだ清武の足下にピタリと ボールを送り届け、見事に先制弾を演出した。自分で強引にフィニッシュまで持ち込む選択肢もあったはずだが、そこは「キヨくんがフリーだったので」と冷静 にパスを選択。自身が本拠地として戦う市立吹田サッカースタジアムに歓喜を呼び込んだ。

ゴールシーン以外にも「前半は本当にやっていて楽しかった」と言うとおり、宇佐美は次々とチャンスを創出した。12分にこぼれ球を拾って際どいミドル シュートを放つと、続く25分には左サイドからのクロスで浅野拓磨(サンフレッチェ広島)の好機を作り出し、前半終了間際にもペナルティエリア内での鋭い ドリブルからあわや得点というシーンを作った。左サイドから仕掛ける彼の存在が、日本代表に怖さをもたらしていた。

「前半はいい形でパスが来ていたし、いいテンポでやれていた。シンプルにボールを動かしながらポゼッションもできていた中で、あれほど多くボールが回ってくれば、いい形でプレーできる。一対一にも持ち込みやすいし、(長友)佑都くんも上がってきてくれるので」

そう手応えを口にする宇佐美だが、後半はチームとともにペースダウン。チームが66分に逆転を許すと、彼は74分に小林祐希(ジュビロ磐田)との交代で ピッチを後にした。試合後には「いい時のテンポを90分続けないとこういう結果になる」と唇を噛み、自身のスタジアム初弾も先送りとなってしまった。

収穫と課題を手に入れた吹田スタジアムでの初の日本代表戦。ポイントはこの試合を大きな糧として、9月から始まるロシア・ワールドカップ アジア最終予選で輝きを放つことができるかだ。

「今はまだ代表の中での立ち位置に全く満足していない。もっと代表のど真ん中でプレーしたい」。

アジアで、そして世界で結果を出すために――。どこまでもどん欲に高みを目指す宇佐美の戦いは、まだまだ続いていく。

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