【J1採点&寸評】G大阪×鹿島|完勝を収めた三冠王者。浦和との勝点差を「7」に縮めて“逆転優勝”に望みをつなぐ SOCCER DIGEST Web 6月3日(水)22時59分配信
出場停止明けの今野が攻守に躍動。CB&2トップも随所に存在感を見せる。
【試合内容】
序盤は鹿島の2列目に手を焼いたG大阪だが、徐々に主導権を握り返すと、藤春の上がりを活かしてチャンスを創出。一方の鹿島は、中央で撥ね返してゴールを死守し、時に鋭い縦パスからG大阪のゴールへ迫る。41分、遠藤のFKを鹿島のGK佐藤がパンチングではじくも、今野がこぼれ球をダイレクトで押し込み、ホームチームが先制した。
後半早々には宇佐美のサイドチェンジから右サイドを崩すと、クロスのこぼれ球に反応した宇佐美が突破を試みてPKを奪取。これを遠藤が冷静に沈めてリードを2点に広げた。以降は鹿島が反撃に打って出るも、G大阪は堅守からのカウンターを徹底。両者ともに見せ場は作ったがスコアはそのまま動かず、G大阪が勝利を収めた。
【チーム採点・寸評】
G大阪 6.5
CBコンビを中心とした守備は堅く、中盤でも今野がこぼれ球を回収するなど躍動。崩し切る形は少なかったが、要所で相手を上回り、守備でも隙を見せなかった。
鹿島 5
CFとトップ下に良い形でボールが収まらず、徐々に金崎とカイオの突破力に頼る場面が増えて、攻撃の形をなかなか構築できなかった。一方の守備面でも、藤春の突破に苦しめられて後手を踏んだ。
【G大阪|採点・寸評】
GK
1 東口順昭 6
キャッチ後の素早いキックでパトリックにつなげ、カウンターの起点として機能。後半に自身のクリアミスからピンチを招いたが、最終的に大事には至らなかった。
DF
4 藤春廣輝 6.5
10分にスピードを活かした絶妙な上がりで左サイドをえぐり、正確なクロスから宇佐美のシュートチャンスを演出。終盤になっても運動量が衰えず、守備でも穴を作らなかった。
5 丹羽大輝 6.5
鋭い出足で攻撃を食い止め、16分には的確なカバーリングでカイオのシュートをブロック。セットプレーでも脅威となり、オフサイドながらゴールネットも揺らした。
8 岩下敬輔 6.5
藤春の突破力を活かそうとポジショニングを常に意識。身体を投げ出したスライディングでシュートを防ぎ、クロスに対してもソツなく対応した。
14 米倉恒貴 6
金崎とマッチアップする形が多く、“次期代表候補同士の攻防”は見応え十分。攻撃を援護する機会は少なかったが、守備では身体を張って突破を阻止した。
MF
7 遠藤保仁 6
前半のプレー中断時に岩下へ指示を送り、“ピッチ上の指揮官”としてチームを落ち着かせる。何気なく通す気の利いた縦パスはさすがで、GKの逆を突いたPKの冷静さも光った。
11 倉田 秋 6.5
ギャップに顔を出して序盤から攻撃の起点に。藤春との連係も良く、左サイドを何度も打開。最後まで全力疾走の守備は衰えず、その運動量で守備陣を大いに助けた。
13 阿部浩之 6
ヒールキックで米倉を走らせる形はあったが、前半は右サイドの攻撃が機能せず。ただ、ボールロスト後の切り替えは素早く、47分に中央でカイオを止めた場面などは特筆に値。
15 今野泰幸 6.5
41分にはこぼれ球に反応して先制ゴール。カウンターを受けかけた際には卓越した予測力でピンチの芽を摘み、1対1の守備でも相手に巻き付くような嫌らしい対応ぶりが光った。
FW
29 パトリック 6.5
62分、宇佐美のパスにフリーで抜け出してGKと1対1を迎えるも仕留め切れず。ただ献身的なランニングは最後まで衰えず、ボールの収まりどころとなった。
39 宇佐美貴史 6.5
前半終了間際、強引に中央を突破したドリブルは圧巻。60分には正確なサイドチェンジで起点となり、直後にPKを奪取。58分、金崎の突破を止めた全力疾走でのスライディングは見事だった。
交代出場
MF
38 堂安 律 -
ロスタイムからの出場ながら、16歳にしてJリーグデビュー。ボールを触る機会はなかったが、左MFに入ってボールを追い、終了後に先輩たちとハイタッチを交わす。
監督
長谷川健太 6.5
序盤から終盤まで危なげない試合運びで、攻守に「隙のないサッカー」を見せた。ロスタイムには、16歳の堂安をJリーグデビューさせる粋な計らいも。
藤春の上がりに西が苦戦。攻撃陣も最後まで不発に終わる。
【鹿島|採点・寸評】
GK
1 佐藤昭大 5
遠藤のFKにパンチングで対応するも、目の前の今野にボールを渡す形となり、こぼれ球を直接叩き込まれる失態。その一方で、宇佐美のシュートを片手ではじく好プレーも見せた。
DF
3 昌子 源 5
前半は自身のサイドを崩される場面はなかったが、攻撃にまったく注力しなかった点を考えれば当然か。後半途中からCBにスライドするも、1対1で後手を踏む展開が続いた。
5 青木 剛 5.5
陣形が間延びし始めた後半は裏を突かれる形が増加。オフサイドをかけそこなって大ピンチを迎えるなど、守備の組織が大きくぐらつき、最終ラインを統率し切れなかった。
22 西 大伍 5
藤春に裏のスペースを何度も突かれてピンチを招く。劣勢となってから積極性を取り戻すが、クロスの精度を欠くなど特に見せ場を作れず。最終的に左SBに回された。
23 植田直通 5.5
チーム一の高さを駆使して空中戦で存在感を発揮。パトリックとも互角の攻防を繰り広げる。ただ後半に入るとスペースが生まれ、スピード勝負となってからは分が悪くなった。
MF
7 カイオ 5.5
13分にエリア内で裏に抜け出し、シュートを放つも左へ。後半早々にもチャンスを作ったが、見せ場はそれぐらいか。守備では同サイドの藤春の突破に苦しみ、体力を削られた。
8 土居聖真 5.5
中央で嫌らしいポジショニングを取るも、周囲との連係は今ひとつ。カイオの交代などに伴い左MFに回り、時折ドリブルで切れ込むが、ブロックの外側で動き回るばかり。
20 柴崎 岳 5.5
無難に散らす形が多くなり、ダイナミックな上がりも見られず。75分にフリーでクロスに合わせるも、シュートは枠を捉え切れず。崩しの局面で意外性のあるプレーもなかった。
33 金崎夢生 5.5
前半は果敢に仕掛けたかと思えば、タイミング良く中央に入り込んでコンビネーションでの打開。後半途中からFWに回ったが、ボールがなかなか入らずに突破力も活きなかった。
40 小笠原満男 5.5
中盤の底でボールを捌きながらリズムを作ろうとするも、G大阪の陣形を崩せず。後半はカウンターを受ける回数が増えて、守備の負担増加に伴い活動量がガクッと落ちた。
FW
18 赤崎秀平 5
中央で身体を張り、コンビネーションから良い形も作ったが、その回数も片手で数えられるほど。前線でボールを収め切れず、G大阪の守備陣からすればやりやすい相手だった。
交代出場
MF
25 遠藤 康 5.5
右MFに入ってボールを引き出し、攻撃の起点となる。左足の正確なキックからボールを供給するも、相手の最終ラインに撥ね返されて効果的な崩しには至らず。
DF
24 伊東幸敏 6
西を左に回す形で、“藤春対策”として右SBでプレー。同サイドの守備を安定させながら、遠藤をサポートして攻撃に厚みを加えるなど一定のパフォーマンスを披露した。
FW
15 高崎寛之 5
金崎と2トップを組んで反撃を試みたが、G大阪のCBコンビに封殺される。手を上げてもなかなかボールが入らず、最後まで存在感は希薄なままだった。
監督
トニーニョ・セレーゾ 5.5
序盤から主導権を明け渡し、なかなかリズムを取り戻せないまま2失点。3枚の交代カードを切って藤春対策は一定の効果を得るも、攻撃も最後まで不発だった。