G大阪を相手にJデビュー組が躍動! 5大会ぶりのU-20W杯出場の鍵を握る“経験値”

エースの小川航基が存在感を発揮。2ゴールで勝利に導く。

 2017年に韓国で開催されるU-20ワールドカップの出場権が懸かったU-19アジア選手権(@バーレーン)を控えるU-19日本代表は、4月11日 から13日までの3日間、大阪で合宿を行ない、最終日には若手主体のG大阪と45分×2本のトレーニングマッチを行なった。

ここで存在感を示したのが、昨年の1次予選参加メンバーと、今年に入ってから招集された新戦力だった。1本目、G大阪は若手に加え、MF二川、DF岩下、GK藤ヶ谷といったベテラン選手を起用。その相手にアタッカー陣が大きく躍動した。

エースストライカー・小川航基と2トップを組んだ森晃太、左MFに入った遠藤渓太、そして長らくメンバーから漏れていた右MFの三好康児の4人が、積極 的なプレーで攻撃を牽引。神谷優太と市丸瑞希のダブルボランチも、正確なパスで4人をコントロールし、攻撃を活性化させていた。

前半、彼らが織りなす攻撃でG大阪を押し込み、17分には遠藤のドリブルからのミドルシュートを、GK藤ヶ谷が弾く。そのこぼれを小川が詰めて先制点を 挙げると、27分には三好がカットインから左足ミドルを放つ。これはGK藤ヶ谷のファインセーブに阻まれるが、34分には左サイドを突破した遠藤のマイナ スの折り返しを、小川が冷静に決めて追加点を挙げた。

38分には右サイドで森がボールキープから、中央の小川へパス。小川のポストを受けた三好が強烈なミドルを放つが、これはゴールポストに直撃。積極的な攻撃で45分間を戦い抜いた。

CB冨安健洋以外、総入れ替えとなった後半は、思うように攻撃の形を作れず、ミスからカウンターを受けることもあったが、冨安と森下怜哉のCBコンビを中心にゴールを許さず、2-0の完封勝利を飾った。

攻撃の形がはまっての2ゴールと、久しくなかった完封。これには「1次予選から失点がずっと続いていて、1試合を通じて無失点で切り抜けたのは評価でき ます。もう一度共有の部分のトレーニングができて、新しいメンバーも含めて、新しい発見もできた有意義なキャンプで終われた」と、内山篤監督も及第点を与 えた。

シーズン佳境に入った時に試合に絡んでいけるかが鍵。

 破壊力のある攻撃を展開した1本目のメンバーのうち、1次予選メンバーは小川のみで、三好と市丸は再招集。神谷、遠藤、森は今年に入って初招集した選手 たちだ。三好、神谷、遠藤、森はすでにJ1リーグデビューを飾っており(小川もナビスコカップでデビュー)、チームでの好調をU-19代表に持ち込んだ。

とりわけ三好はチーム立ち上げ時は主軸候補だったが、昨年川崎で出番に恵まれず、コンディションを落とし、1次予選メンバーから落選した。だが、今年に入り、川崎ではナビスコカップでフル出場を経験するなどして、一気に再浮上してきた。

ゆえに今後も所属チームでの活躍によって、抜擢される選手が出てくる可能性もある。だが2得点を挙げたエースの小川は、このチームの柱であることは間違 いない。全体を見ると、小川、冨安、今回は不参加だったCB中山雄太は不動の存在と言えるだろう。しかし、それ以外の主軸は固まっておらず、今回の合宿で は最終予選のメンバー争いが混沌としてきたことを示した。

「バーレーン遠征では、マリ、バーレーン、メキシコと、育成年代でも結果を出しているチームとガチンコ勝負をしたが、まだまだ自分たちは甘いということを認識できたと思う。

コンパクトさが緩んだり簡単なミスをすれば、そこを突かれていくというパターンが多かった。そこをもっと詰めて行かないと、世界を勝ち抜いて行くのが厳 しくなる。たったひとつのミスですべての流れを変えられてしまうので、もっと高い集中力を求めて行きたい。こういう試合を続けて、もっとミスを減らした い」

内山監督がこう今後の抱負を語る一方で、「ガンバの選手はU-23の試合に出ているし、他のチームでもJリーグやナビスコに出ている選手もいる。ただ、 各チームの試合がこれからシーズン佳境に入ってくると、試合に絡める環境がどうなるかという不安はあります。だからこそ、集まった時に質を上げていきた い」と、今後タイトルや残留などが懸かる状況でも出番を掴み続け、その経験値を代表に還元できるかどうかの懸念を示した。

不動と呼べる選手は少なく、今後も目まぐるしく選手のテストが行なわれるであろうU-19日本代表。果たして、最終予選のピッチに立つ選手は誰なのか。 5大会ぶりのU-20ワールドカップ出場に向けて、今回の大阪合宿はチームが良い流れにあることを示した合宿であった。あくまでも、『現時点』では――。

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