【セルジオ越後の天国と地獄】ACL8強は、W杯2次予選を突破したようなもの。手放しでは喜べないよ SOCCER DIGEST Web 5月28日(木)18時34分配信

レイソルもガンバも横綱相撲で勝ち上がってきたわけではない。

 レイソルとガンバがACLでベスト8入りを決めたね。

ラウンド16で水原三星と対戦したレイソルは、敵地で戦った第1戦を3-2で勝利。ホームでの第2戦は、一時は0-2と追い詰められたけど、小林のゴールで1点を返してトータルスコアを4-4とし、アウェーゴール数で上回って辛うじてベスト8進出を決めた。

一方のガンバはFCソウルと対戦し、同じくアウェーで戦った第1戦を3-1で勝ち、ホームでの第2戦も3-2で退けて、連勝を飾って8強入りを手繰り寄せた。

ベスト8に2チームを送り込んだのは、日本勢だけ。昨季の“三冠王者”と、プレーオフで滑り込んだチームという、両極端な両者ではあるけれど、いずれにしても、この段階で手放しで喜べないのは当たり前だよね。

正直に言って、ACLはベスト4ぐらいからの戦いを見なければ、どこが本当に実力のあるチームなのかが分かりにくい。群雄割拠というか、昨季のチャンピ オンであるウェスタン・シドニーが今季はグループリーグで早々と姿を消していることからも、ヨーロッパのように“本命”と言えるチームはなきに等しい。

ラウンド16突破は、ワールドカップ予選で言えば2次予選を突破したようなものじゃないかな。

レイソルとガンバのここまでの戦いぶりを見れば、横綱相撲で勝ち上がってきたわけではない。

レイソルは、レアンドロやクリスティアーノといった外国籍選手がポイントになっているけど、水原三星戦のように、負けてもおかしくない試合があった。

8強に駒を進めたとはいえ、リーグ戦での低調な出来と重ね合せてみても、“レイソルらしい”感じではある。レアンドロに頼り過ぎている感があるのも否め ない。今後、チームとして今以上の力を発揮できるかどうかは分からないけど、アジアの舞台でもどれだけ逞しく戦っていけるかには注目していきたい。

ガンバはグループリーグでの出足は良くなかったけど、今野の復帰などもあり、途中出場の選手の奮闘もあって盛り返してきた。ただし、失点が目立つのは気がかりだね。準々決勝以降のより厳しい戦いのなかで、どれだけ根競べで勝てるか。

昨季の“三冠王者”ガンバにはJリーグの面子がかかっているんだ。

 とにかく、ガンバには日本のチャンピオンとして、そのプライドを持って戦ってほしい。日本を代表するクラブとして、背負うべきものの大きさ、ステータスを感じながらピッチに立ってほしいと思う。

そういう意味では、レイソルとは置かれている立場が多少、違うと思うんだ。今季のリーグ戦での順位を見てもそうだけど、ガンバは上位にいるよね。もちろん、レイソルにも勝ってほしいし、期待しているけど、彼らの敗退とガンバのそれは、微妙に意味合いが異なると思うんだ。

日本のリーグ王者の敗戦――。アジアというカテゴリーで考えた時、その事実がなにを示すのかを、ガンバの選手たちは今一度、肝に銘じてほしい。ガンバには、Jリーグの面子がかかっているとも言えるんだ。

日本代表にも名を連ねる宇佐美に関しては、たしかに勝利に貢献するパフォーマンスを見せてはいるけど、ガンバは彼だけのチームではない。

それでも、彼のゴールがニュースになるのは良いとして、アシストしてもその事実ばかりが紙面を賑わせる。でも宇佐美のゴールを誰がアシストしたかは、ほとんど取り上げられない。相変わらず、偏った報道には違和感を覚えるよ。

そうやってアイドルを作るのはいいけど、これまで何度も言っているように、錯覚しないでほしいね。宇佐美の頑張りは認めるけど、ガンバは彼だけが支えているわけではない。レイソルのレアンドロほどの存在感ではないと思うよ。

もっとも、今回はチャンスでもあるだろうから、さらなる奮起を楽しみにしている。

チームとしては、ガンバにせよ、レイソルにせよ、いくら善戦したからといって、優勝しなければ意味がない。クラブ・ワールドカップに出場できるのは、大会を制した1チームだけ。本当の戦いはこれからだよ。

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