NumberWeb版、2016年J1順位予想!戦力的には3強状態、残留争いは?

2016年のJ1開幕が間近に迫ってきました。
昨年も最後の最後まで順位が入れ替わる激しい展開で、
「世界で最も予想が難しい」という称号を再認識したJリーグ。
Numberが誇る3人のJリーグウォッチャーがその予想に挑みました!

●佐藤俊 スポーツライター

1位:ガンバ大阪
2位:サンフレッチェ広島
3位:浦和レッズ
4位:鹿島アントラーズ
5位:川崎フロンターレ
6位:FC東京
7位:サガン鳥栖
8位:横浜F・マリノス
9位:ヴィッセル神戸
10位:ジュビロ磐田
11位:ベガルタ仙台
12位:湘南ベルマーレ
13位:アルビレックス新潟
14位:名古屋グランパス
15位:大宮アルディージャ
16位:柏レイソル
17位:アビスパ福岡
18位:ヴァンフォーレ甲府

J1優勝を予想する上でポイントになるのが(1)分厚い戦力、(2)強いメンタル(モチベーション)、(3)経験値(優勝経験)、(4)継続性、(5)伸びしろ(チーム&個人)の5つの要素です。

それらを総合すると優勝を争う大本命は、ガンバ大阪とサンフレッチェ広島でしょう。

ガンバ大阪が昨年、リーグ戦、カップ戦、ACLを惜しいところで失ったのは、パトリック頼みで攻撃に変化とバリエーションが少なく、大事な試合に勝ち切れなかったからです。

その課題を解消するために獲得したのが、アデミウソンと藤本淳吾。元々能力が高い攻撃陣に彼らが完全にフィットした場合、チーム力の伸びしろは広島以上 でしょう。井手口陽介ら若手が伸びてきていますし、「新スタジアムで優勝を」というモチベーションも高い。5つのポイントが満点に近いガンバが、優勝候補 の筆頭です。

広島は昨年優勝を果たし、12月にCS、CWCなど8試合を戦った経験が活きており、チームの完成度が非常に高いです。

昨年73得点中21得点を挙げたドウグラスの穴が唯一の懸念でしたが、新外国人選手のピーター・ウタカが機能しそうですし、浅野拓磨ら若手も着実に成長 しています。主力にケガ人が出て長期離脱などアクシデントがない限り、今年も優勝争いに絡んでくるのは確実。ただ完成度が高い分、伸びしろが気になるとこ ろ。連覇をするには、チーム力をもうワンランク上げる必要があるでしょう。

浦和はチャンス、FC東京は攻撃スタイルが鍵。

 浦和は昨年、武藤雄樹、ズラタン、石原直樹ら攻撃陣を強化しましたが逆に失点が増え、賜杯を逃す要因になりました。その反省から今年は「守備の強化」を お題目に遠藤航、イリッチらを獲得。鉄板だった3バックにメスを入れたところにペトロヴィッチ監督の優勝への本気度がうかがえます。攻守にバランスが取 れ、選手も「終盤失速のイメージを覆す」と優勝への気持ちが強いので、今年はそのチャンスが訪れそうです。

鹿島は昨年セカンドステージで活躍した金崎夢生の再加入が大きそう。また湘南でキャプテンだった永木亮太を獲得し、ボランチの次世代対策も講じています。強い鹿島のバロメーターである「粘り強さ」が出てきていますので、優勝するチャンスは十分あるでしょう。

FC東京は昨年、33失点の数字が示すように守備は機能しましたが、「ここぞ」という試合に勝てませんでした。城福浩監督の下、昨年の堅い守備を軸に攻撃的なスタイルとの融合がうまくいくと、昨年の4位から一気にトップに飛躍できる可能性があります。

川崎は例年失点の多さに泣いているため、今年は奈良竜樹、GKチョン・ソンリョンらを獲得し、守備の整備に力を入れました。それでも攻めて勝つスタイル に変化はありません。仮に失点が昨年程度(48点)でも、攻撃陣が奮起して2005年に優勝したガンバのように80点以上を取れば、相手を圧倒する攻撃的 サッカーでの優勝が現実味を帯びてきます。

隠れ降格候補は横浜F・マリノス!?

 今年、予想が難しいのが下位(残留争い)のチームです。5つの要素に当てはめて考えてみると、今シーズンJ1残留を争うことになるチームは甲府、福岡、柏、大宮、名古屋、新潟、湘南でしょうか。

甲府は、選手層が薄い上に攻撃の再構築が課題になりますので、昨年以上に厳しいシーズンになるでしょう。福岡は堅守ですが総合力で劣り、夏以降勝ち点を どのくらい伸ばせるかがカギになります。柏は守備の要だったGK菅野孝憲と鈴木大輔が移籍し、さらに昨年46得点中24点を稼いだクリスティアーノ、工藤 壮人が抜けました。攻撃の再構築が急務でメンデス監督も日本初采配なので厳しい戦いになりそうです。大宮は家長昭博が軸ですが、それが強みであり、弱みに もなります。攻撃のバリエーションをいかに増やしていくかが生き残りのポイントになるでしょう。

名古屋は小倉隆史監督への期待感がありますが、チーム作りと結果が同時に求められるので序盤戦で苦しむと残留争いにつかまる可能性があります。新潟は昨 年15位とギリギリでの残留でしたが、積極的な補強がありません。吉田達磨監督の手腕が試されるとはいえ、鈴木武蔵ら若手と日本人選手の奮起がないと厳し い秋になりそうです。湘南はGK秋元陽太、遠藤、永木、古林将太らレギュラー4人が抜けた穴をどれだけ埋められるか。

そして“隠れ降格候補”は横浜F・マリノス。アデミウソンをロスした影響は非常に大きく、FWが手薄なのでそこをどう補っていくか。

今シーズンは、戦力格差からトップグループと下位グループの2極分化が進行するような気がします。リーグ戦を盛り上げるためには下位グループが下剋上を起こすしかありません。ステージ優勝の勝ち点が30点程度になれば、混戦になります。

その一方で、昨年のファーストステージの浦和のように首位を快走するチームが出てくるかもしれません。単純に戦力補強だけでは読めないところがサッカー の面白いところですが、上位6チームを喰うチームがどのくらい出てくるか。その中で期待したいのが名波浩監督率いる磐田。昨年の湘南のような存在感を見せ てほしいと思います。

広島、G大阪、浦和の3強に割って入るのは……。

 ●飯尾篤史 サッカーライター

1位:鹿島アントラーズ
2位:FC東京
3位:サンフレッチェ広島
4位:ガンバ大阪
5位:浦和レッズ
6位:川崎フロンターレ
7位:横浜F・マリノス
8位:大宮アルディージャ
9位:ジュビロ磐田
10位:湘南ベルマーレ
11位:柏レイソル
12位:ヴィッセル神戸
13位:ベガルタ仙台
14位:アビスパ福岡
15位:名古屋グランパス
16位:アルビレックス新潟
17位:サガン鳥栖
18位:ヴァンフォーレ甲府

昨季チャンピオンシップに出場した広島、G大阪、浦和の3チームが今季もチーム力、継続性、選手層、完成度においてトップにいるのは間違いない。そこに割って入るとしたら、どこか――。

そんな視点で考えたとき、有力なのが鹿島とFC東京だ。鹿島は大きな戦力ダウンがない上に、金崎夢生の残留が土壇場で決まり(昨季はレンタル加入、今季 はいったん所属元のポルティモネンセに復帰したのち完全移籍で復帰)、期待の助っ人ストライカー、ジネイのケガも完治。永木亮太や三竿健斗、櫛引政敏と いった中堅、若手の獲得にも余念がない。シーズン途中からチームを立て直した石井正忠監督がキャンプからチーム作りに着手できたこと、ACLに出場しない ため、スケジュール面でのアドバンテージがあることなど、プラスの材料ばかりだ。

FC東京は戦力面ではここ数年、優勝を狙える選手層を誇っている。そこに、かつて解任された古巣に復帰する城福浩監督の覚悟、昨季の最終節で引き分け、 得失点差でチャンピオンシップ出場を逃した選手たちの悔しさが掛け合わされるのだから、十分ダークホースになり得る。そこにもう一つ、夏の移籍市場で外国 籍枠を整理し、新たに助っ人ストライカーを獲得できれば、チャンピオンシップ出場も見えてくる。

昇格組の大宮と磐田はいずれも昨季のJ2で戦術面のベースが築かれており、そこに大宮はネイツ・ペチュニク、岩上祐三、磐田は山本康裕、中村太亮ら計算 できる選手たちが加わり、戦力が整った印象だ。その2チームと比べ、福岡はやや戦力面で劣るが、井原正巳監督のもと戦術ベースがすでに構築されている点は 大宮、磐田と同じ。一からチームを作り直そうとしているいくつかのJ1チームよりも上位に行けるだろう。

名古屋、鳥栖、甲府は降格の危機に。

 下位に予想したのは、その一から作り直そうとしているいくつかのチームと、大きな戦力ダウンを感じさせるチーム。

名古屋の小倉隆史新監督は勉強熱心で、欧州サッカーへの造詣が深いのは間違いないが、レジェンドの満を持しての就任にもかかわらず、クラブによる本気の サポートが感じられない。また、期待の新助っ人、FWのシモビッチが小倉監督の目指す「5人目まで連動するサッカー」とどうもフィットしていない印象があ る。

昨季15位だった新潟は、山本康裕、大井健太郎が移籍したにもかかわらず、目だった補強がないのが気になるところ。また、吉田達磨新監督は、昨季柏でもスタイルの構築に時間がかかったため、苦戦が予想される。

フィッカデンティ監督を招聘した鳥栖は「マガト騒動」に振り回され、監督決定が越年したこと、新監督のサッカーに最も必要だと思われたふたり、水沼宏太 と藤田直之が移籍してしまったことが痛恨。フィッカデンティ監督自身、選手から人望を集めるタイプではないし、守備に重きを置くスタイルと言っても、ユ ン・ジョンファン監督時代のようにボールを奪いにいく守備ではなく、自陣でブロックを築く守備で、守るスタイルは大きく異なるため、苦戦を予想した。

3年連続J1残留を成し遂げた甲府は、阿部拓馬、阿部翔平、伊東純也、下田北斗といったレギュラー陣の移籍があまりに多く、それを補う補強もできていな い。また、外国籍選手が刷新され、とりわけFWのニウソンは未知数。クリスティアーノは2年ぶりの復帰となるが、前回在籍時はまるで輝きを放てていなかっ たのも懸念材料だ。

最後の1人は広島のウタカに大注目。

 ●細江克弥 サッカーライター

1位:鹿島アントラーズ
2位:サンフレッチェ広島
3位:浦和レッズ
4位:ガンバ大阪
5位:FC東京
6位:川崎フロンターレ
7位:横浜F・マリノス
8位:柏レイソル
9位:ジュビロ磐田
10位:湘南ベルマーレ
11位:アルビレックス新潟
12位:大宮アルディージャ
13位:サガン鳥栖
14位:ヴィッセル神戸
15位:アビスパ福岡
16位:名古屋グランパス
17位:ベガルタ仙台
18位:ヴァンフォーレ甲府

さて、張り切って今シーズンの順位を予想する前に、そういや昨シーズンはどんな予想をしたんだっけ……と1年前の記事を見返してみると、なんとびっく り、素晴らしいサッカーで“チャンピオンシップ復活元年”を制した広島を「10位」と予想していて「ウソだ!」と独りごちた。その結果(=見る目のなさ) をエクスキューズとして、新シーズンのJ1を予想する。

おそらくどの専門家に聞いても、今季の優勝候補に挙げられるのは広島、浦和、G大阪の3チームに絞られるだろう。

昨季、「10位になってもおかしくない」と思わせるほど絶対的な戦力を引き抜かれながら、それでもチームとしての“完成度”で他を圧倒した広島は、もち ろん今季もリーグの主役を張る。ゼロックス杯はどちらかと言えばG大阪の“未完成さ”が際立ち、さらに微妙な判定も手伝ったとはいえ、ゲームの流れを引き 寄せて90分の駆け引きに勝つ強さは、もはや疑いようもなくホンモノである。

この絶妙な調和を乱しかねない存在といえば、清水から加入した新戦力のピーター・ウタカしか見当たらないが、昨季における清水でのプレー、あるいはその表情や仕草から察するところ、むしろ新たな武器となる気しかしない。

森保一監督及びチーム強化部の敏腕ぶりは、チームにフィットすると確信した外国籍選手しか獲得せず、それを本当にフィットさせてしまうところにも表れて いる。ウタカもまた“ドウグラスのように”フィットするならば、ゴールにおいてもチャンスメイクにおいても、ポテンシャルは間違いなくドウグラス以上。昨 季はドウグラスが21得点、佐藤寿人が12得点、浅野拓磨が8得点とバラつきがあったが、これがウタカの加入によって「それぞれ14得点」となるなら、そ れはこのチームがもう一段階進化したことを意味するに違いない。そうなれば、もちろん必然的に再び頂点に立つだろう。

G大阪のアデミウソンは馴染むのに苦労するか。

 一方、ウタカに対するポジティブな印象に対して、G大阪のアデミウソンに“調和”を期待できないのはなぜだろうかと考えた。その一つは、G大阪にとって 最大の武器は、宇佐美貴史とパトリックの2枚(あるいはアデミウソンを加えた3枚)でも広島のような総合力でもなく、いまだ遠藤保仁の“攻”と今野泰幸の “守”にあると思うこと。そのバランスは非常に繊細で、個人スキルの高過ぎる新戦力、しかも外国籍選手がそう簡単にプラス効果を生めるとは思えない。

いつになく冷静な補強が「完成形」への急接近を予感させる浦和については、むしろその冷静さがアダとなる気がしてならない。昨季をほぼ棒に振った石原直 樹への期待感は大きいが、攻撃陣は昨季とほぼ同じ顔ぶれ。対戦相手にとって参照すべきデータはもはや十分に蓄積されており、対策は昨季よりもはるかに講じ やすい。浦和にとっては、それを跳ね返して取りこぼし癖を克服できるかどうかがポイントとなる。

さて、しかし予想として順位表の頂点に記したのは、絶対的な優勝候補の3チームではなく、昨季5位の鹿島である。開幕前から柴崎岳の離脱や永木亮太のケ ガなど不安材料もあるが、昨季終盤戦で見せた素晴らしい内容はもちろん、今Jリーグで最も怖いアタッカーと断言したい金崎夢生の完全移籍、いよいよ脂が 乗ってきた若手の存在、石井正忠監督から漂う知将の雰囲気など、ポジティブな側面を並べて覚える“そろそろ鹿島かも! 感”をどうしても無視できない。

だから、こう予想する。勝点によって争われる年間1位は、間違いなく広島。しかしチャンピオンシップ決勝で、何とか舞台に滑り込んだ鹿島が広島を倒す。もちろん、金崎夢生のゴールで。この予想、今のところ当たる気しかしないのだが、思えば1年前だってそうだった。

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