それ正気か?執拗抗議に整列&挨拶ボイコット「むちゃくちゃして」敗戦の北朝鮮監督が会見で「日本にフェアプレーの精神があったか?」と訴えるって…
愛知・名古屋アジア大会のサッカー男子準々決勝が26日に豊田スタジアムで行われ、U-21日本代表が1-0でU-23北朝鮮代表を振り切って3大会連続のベスト4進出を決めた。前半39分にFWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄(21、オールボー)が決めた先制ゴールを死守したが、ファウルがあったとして北朝鮮が猛抗議。再開まで約2分間中断した上に試合後も整列や挨拶を拒否するなど後味の悪い一戦となった。
異例の光景が豊田スタジアムのピッチ上に生まれた。
日本の勝利を告げるホイッスルが、雨が降り続く夜空に鳴り響いた直後。戦いを終えた両チームの選手たちと審判団が一列になって挨拶し、握手をかわす万国共通の場面が訪れるはずが、北朝鮮の選手たちの様子が明らかにおかしい。
オーバーエイジ枠で招集されているGKカン・チュヒョクが鬼気迫る表情を浮かべて、一刻も早くピッチから去れと身振り手振りで命じている。選手たちが向かった先はわずかな数の同胞が陣取っていたゴール裏のスタンド前。激しい戦いを演じた日本へのリスペクトをまったく感じさせない行動だった。
韓国の英字メディア『The Korea Times』は、後味の悪さを残した北朝鮮の選手たちの振る舞いを、予想できたと言わんばかりに次のように伝えた。
「決勝で韓国と引き分けて両国優勝した1978年のバンコク大会以来となるアジア競技大会制覇への望みを打ち砕かれた北朝鮮の選手たちは興奮を抑え切れず、試合後には挨拶どころか日本の選手たちと握手すらかわさずにピッチを去った。もっとも今大会の準々決勝で日本との対戦が決まってから、北朝鮮代表は肉体的な戦いに加えて精神的な戦いもエスカレートさせるのではないか、日本と乱闘寸前になった前回杭州大会の準々決勝が再現されるのではないか、といった憶測が飛び交っていた」
ボールを保持する日本がゴール前に迫るたびに相手の激しい守備でチャンスを作れず、逆に北朝鮮がカウンターから何本ものシュートを放つもゴールの枠をとらえられない。ともに無得点で推移した一戦が急変したのは前半39分だった。
自陣からDF佐藤海宏(アルビレックス新潟)がアバウトに蹴った、ロングボールの落ち際の処理をDFキム・ユソンが誤る。
実はこの選手は前回の杭州大会で、日本の選手たちへ水分補給を促していた日本のスタッフからペットボトルをむしり取るように受け取り、さらに左手を振り上げてそのスタッフを威嚇。一連の行為を間近で見ていた主審から前代未聞のイエローカードを提示されていた。
今回は自軍のゴール前に弾んだボールを慌てて追っていった過程で、背後から詰めてきたンワディケとの競り合いでバランスを崩した。その間にナイジェリア人の父親と日本人の母親との間に生まれ、桐蔭横浜大学在学中の今夏にデンマークのオールボーに加入したンワディケが右足を振り抜いて先制ゴールを決めていた。
これが前半に日本が放った2本目のシュートだった。殊勲のヒーローになった身長191cm・体重86kgのストライカーは、フラッシュインタビューで「けっこう厳しい戦いが続いた中で、相手の背後に落ちるボールを狙うのは自分の得意なプレーなので」と笑顔を弾けさせる。対照的に北朝鮮は納得がいかなかった。
競り合いの際にンワディケがキム・ユソンの背中を押すファウルを犯したと抗議。複数の選手がハンナ・ハットタブ主審(シリア)に激しく、かつ執拗に詰め寄る。中には両手で長方形を描いてVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によるチェックを要求する選手もいた。しかし、今大会では準決勝以降にVARが導入されるため、どれだけ食い下がってもハットタブ主審の判断が唯一無二となる。
試合がなかなか再開されない異例の状況を、韓国メディアの『スポーツ朝鮮』は「抗議が続く中で、北朝鮮の過激な行動が明らかになった」とこう続けた。
「日本の選手たちがゴールセレブレーションを終えて、試合再開へ向けた準備を始めようとした間に北朝鮮選手たち全員がベンチ前のピッチに引き揚げてしまった。特に激しく抗議していたのがキーパーのカン・チュヒョクであり、ベンチではリ・グァンチョン監督も審判団へ向けて大声を張り上げている。北朝鮮の選手たちがようやく引き下がり、試合が再開されるまでに2分ほど待たなければいけなかった」
報道によれば指揮官は試合後の公式会見でも怒り心頭だったという。
「失点した場面はフェアプレーの精神に合っていたかどうか理解できない。こうなるとフェアプレーは難しくなる。審判の問題があったのではないか」
ありえない蛮行として欧州でも報じられた杭州大会でのトラブルは、威嚇行為でイエローカードをもらったキム・ユソンの件だけではない。日本の決勝点となったPKを巡る判定に試合中から異を唱えていた北朝鮮の複数の選手が、試合終了とともにウズベキスタン人の主審へ血相を変えて詰め寄っていった。
危険を察知した大会スタッフが審判団を遠ざけたが、それでも選手たちの怒りは収まらない。審判団を体や手で何度も押しのけるなど、殺伐とした光景は当時のシン・ヨンナム監督が選手たちを引き離して暴力行為にまでは発展しなかった。しかし、指揮官も直後の公式会見でPKの判定は誤審だったと主張している。
3年前のアジア大会での対戦でも、北朝鮮は試合中からラフプレーを連発し、最終的に6枚ものイエローカードを提示されている。今回も先制されてイライラ感を募らせた後半だけで3枚をもらった。
そのうち2枚は後半42分の決定的なシュートをGK荒木琉偉(ガンバ大阪)がセーブした直後に、日本の選手にハンドがあったとして再びハットタブ主審に激しく抗議してもらったものだ。
そのなかで韓国メディアの『NEWSIS』は北朝鮮の敗因を単刀直入に指摘した。
「北朝鮮は最終的に日本の10本を上回る18本ものシュートを放ったが、そのうちゴールの枠内をとらえたのはわずか3本で、日本の4本を下回った。フィニッシュにおけるミスを克服できないまま、日本の軍門に下った」
アジア競技大会の男子サッカーは2002年の釜山大会から23歳以下の年齢制限と、最大3人のオーバーエイジを招集できるレギュレーションになった。その中で日本はアジア競技大会の2年後に開催される五輪へ向けた強化策の一環として21歳以下の陣容で臨み、2010年の広州大会では初優勝を果たした。
2014年の仁川大会以降はフルのレギュレーションで臨み、優勝すれば兵役が免除されるU-23韓国代表が3連覇を継続中だ。そして直近の2大会では、U-21日本代表が準優勝している。すでにU-23韓国代表がベスト4進出を決めている中で、別の韓国メディア『STAR NEWS』は今後の展開を次のように予測している。
「永遠のライバルである日本と、3大会連続でアジア競技大会の決勝を戦うシナリオが現実のものになりつつある」
中3日の30日には舞台を大阪・長居陸上競技場に変えて、U-23韓国代表対U-23中国代表、そしてU-21日本代表対U-23ウズベキスタン代表の顔合わせで準決勝が行われ、10月3日に再び豊田スタジアムで行われる決勝のカードが決まる。



