<U-21ガンバ大阪/次世代のNEW HERO①>中積爲が2ゴール。持ち続けた『裏』への意識。

 プレシーズンマッチのツエーゲン金沢戦に始まって、途中出場でJ1リーグデビューを飾った第3節・名古屋グランパス戦や、同じく途中出場の天皇杯・レイラック滋賀FC戦。さらに、J1リーグに初先発した第5節・V・ファーレン長崎戦。

 与えられた出場時間に違いはあれど、それぞれに得点チャンスがなかったわけでもなかった中で、そのすべての試合で露呈されたビッグチャンスで決めきれなかった事実は、中積爲に原点に立ち返る必要性を突きつけた。

「金沢戦でも決定機をものにできず、その後、非公開での練習試合でもビッグチャンスがあったのに決めきれなかった。その状態で開幕を迎えても名古屋戦、滋賀戦、長崎戦とチャンスをもらえたのにそれを活かせなかった。その自分を見た時に明らかに物足りないと感じたし、U-21Jリーグからしっかりアピールしていかないとこの先もチャンスはそう簡単にもらえないと痛感しました。ただ、自分の持ち味ではないところで勝負しても、結果はついてこないと思うので。もう一度、練習から自分の良さは何なのか、どういうプレーが数字に繋がるのかを整理してやっていこうと思っています」

 再びチャンスを引き寄せるには、明神智和監督やチームメイトの信頼を得るためには、目に見えた『数字』が必要だとリマインドしていたことも良かったのかもしれない。それは9月13日に戦ったU-21Jリーグ第2節・U-21ヴィッセル神戸戦の立ち上がりからゴールへの貪欲さとして表現された。

「もちろん、僕の目標はここでプレーすることではなくJ1リーグで活躍すること。それを目標にトップチームに昇格しましたけど、トップも選手層が厚い中、明神(智和)監督に自分を使ってみようって思ってもらうためには明確な数字を残すしかない。今はなかなかトップチームのギアが上がりきらない状況が続いていて、だからこそ、自分たちにこの序盤からチャンスが巡ってきているのも事実ですけど、それを活かすも殺すも自分次第なので。とにかくU-21で点を取って、チームを勝たせられる選手だと示そうと思っていました。また試合が始まってからもずっと内山篤コーチに言われていた『神戸のセンターバックがずっとボールウォッチャーになっている。背後は必ず空いてくるからその隙をひたすら狙い続けろ』という役割は自分の良さでもあるからこそ、今日はとにかくそこを全力で狙い続けることを自分に課していました」

 その精力的な姿がゴールに繋がったのは30分だ。20分前後から続いた神戸の猛攻を、東口順昭を中心に、守備陣が粘って凌いだ直後のシーン。左サイドバックの嶋岡陽大が敵陣を目掛けて大きく蹴り入れたロングボールに反応した中積は、相手DFの方が優位な体勢であるのは承知の上で執拗にボールを追いかけ、ミスを誘い出す。最後は、飛び出していたGKとの1対1を冷静に交わしゴールに流し込んだ。

「相手のミスもあってのことですけど、ストライカーとしてああいうところまでしっかり狙っておくのが僕の仕事。GKを抜ければ必ず決められるなと思ってドリブルで抜きに行って、ちょっと足が引っかかった時は焦りましたけど、最後、ちゃんと決め切ることができてよかったです」

 さらに0-1で折り返した63分にも、強く意識していた『背後』への動き出しから2点目に繋げる。

「内山さんが言っていた通り、まさに相手がボールウォッチャーになったところで、城阪(光喜)くんから背後へのいいボールが来た。相手GKが飛び出してきているのも見えていたので、ループで狙えば入るかなと思って打ちました。普段からヒガシさん(東口)、純くん(一森)、奥林くん(張)や琉偉(荒木)といったレベルの高いGKを相手に練習ができていることがああいう場面でも活かされたのかなと思いますし、とにかく立ち上がりからチャンスがあればシュートをどんどん狙っていこうと意識していたことも良かったのかもしれない」

 特に2点目は先に書いた長崎戦で決めきれなかった9分のビッグチャンスと似たようなシーンだったが、その経験も活かしつつ、相手GKの動きを見極めながら技ありのループシュートでゴールネットを揺らした。

「長崎戦(J1リーグ第5節)でも似たような形でイーライ(アダムス)からパスをもらって抜け出したシーンがあったんですけど、あの時は相手DFに寄せられていたのもあって、少し自分の中で焦りもあったというか。長崎のGKは飛び出さずに構えていたのに対して、今日は相手GKが前に出てきたという違いもありましたけど、長崎戦の反省をもとに冷静に状況を判断しつつ、ループシュートというガンバユースだからこそ備えられたアイデアみたいなものを表現して点を取れたのは1つ、自信になりました。U-21の試合は即席でというか、メンバーが直前に決まる中で試合をする難しさもありますけど、今日一緒に先発した選手のうち、右サイドバックの竹原玲音くん以外は僕が高校3年生だったユース時代に一緒に出ていたメンバーだったので。分かり合えていた部分も多かったし、ユースの選手からはそれぞれにトップチーム昇格にもつながっていく大会ということもあって『やってやろう』という気持ちをすごく感じた。それがチームとしてのいいコンビネーションとか勝利につながった部分もあるのかなと思っています」

 この試合を2-0で勝利した2日後、中積は9月15日のAFC チャンピオンズリーグ・エリート2026/27初戦、コンアン・ハノイ戦で公式戦で2試合ぶりとなるメンバー入りを果たしている。残念ながら出場こそなかったものの、U-21ヴィッセル神戸戦は明神智和監督もスタンドから観戦していたことを思えば、いいアピールになったのかもしれない。

 実際、かつてガンバU-23がJ3リーグを戦っていた時代(2016〜2020年)に、この舞台で経験を積んだ今大会のアンバサダーを務める堂安律(フランクフルト)をはじめ、食野亮太郎や中村敬斗(リヨン)、高宇洋(FC東京)らがプロサッカー選手として大きく成長を遂げたように、アカデミー世代を含めた若い選手たちにとっては、U-21Jリーグで明確な数字、存在感を示すことが、キャリアを切り拓くきっかけになることも大いにありうるだろう。

 中積のこの日の『2発』や、若い選手たちが示した貪欲に勝利を求める姿は、あらためてその可能性を感じさせるものだった。

https://news.yahoo.co.jp/users/expert/takamuramisa