「悲しむ必要はない」川島永嗣が背中を押した移籍。角昂志郎、覚悟のG大阪デビュー

■「ジュビロを愛していた」角の移籍を後押しした仲間たち

2026/27明治安田J1リーグ第6節が6日に千葉県のフクダ電子アリーナで行われ、ガンバ大阪はジェフユナイテッド千葉に0-2で敗れた。覚悟の移籍だった。9 月4日、J2のジュビロ磐田からG大阪への完全移籍が発表されたMF角昂志郎は、その2日後に早くも新天地でのデビューを果たした。果敢なドリブル突破で持ち味を示したが、「それだけじゃ意味がない」と言い切る。愛するクラブを離れた24歳は、新天地でさらなる活躍を誓った。

【動画】G大阪、開始約20秒で痛恨の失点

愛するクラブを去る決断は簡単ではない。それは24歳の角にとっても同じだった。

「初めての移籍だったので、抵抗がありました。メンタル的にもきつかった」

FC東京の下部組織から筑波大に進学した角は、特別指定選手を経て2025年シーズンに磐田へ加入した。身長166センチと小柄ながら、キレのあるドリブルと力強いシュートを武器として、プロ初年度にJ2・34試合4得点を記録。ユーティリティ性にも富んだ期待のアタッカーだ。

今季もサックスブルーのユニフォームをまとってリーグ戦2試合に出場していたなか、西の名門からのオファーが舞い込んだ。「まったく予想していなかった。すごくバタバタで怒涛の一週間」と振り返る。

「正直、(G大阪に)行かない理由がなかった。J1で戦っているビッグクラブが自分と一緒に戦いたいと言ってくれた」

伸び盛りの若武者にとって、J1のビッグクラブから届いたオファーはステップアップの大きなチャンスだった。しかし同時に、ジュビロへの熱い想いも心の大きな部分を占めていた。

「大学を卒業してジュビロに入って、すごく愛を感じたクラブでした。そして自分もジュビロを愛していた」

魅力的なオファーであることに間違いなかった。しかし、明治安田J2・J3百年構想リーグではキャプテンも任され、J1復帰に向かって心血を注いでいたからこそ、後ろ髪を引かれた。

そんな悩める男の背中を押したのは、ほかでもない磐田の仲間たちだった。

「ステップアップすることはいいことなんだし、そんなにお前が悲しむ必要はない」

浮かない顔を見せていた角を笑い飛ばすように励ましたのは、同じくチームキャプテンを務めた元日本代表GK川島永嗣だった。今季より就任した秋葉忠宏監督も「頑張ってこいよ。むしろJ1で活躍してくれたら、いまのジュビロにいる若い選手の目標にもなれる。どんどん背中で見せてほしい」と激励。J1復帰の重要なピースを失ったがチームは、角を快く送り出した。

「思い切って臨めるように声をかけてくれた」

「もちろん離れるのは悲しい決断でしたが、ガンバでプレーするチャンスが次にいつくるかは分からない。素直に自分の意思に従って決めました」と、感謝を口にし、愛するクラブに別れを告げた。

■「不思議な感覚」から「ガンバの一員」へ

G大阪への加入は4日に発表され、すぐさま6日に行われた千葉戦への準備を進めた。背番号39は限られた時間でもチームに溶け込もうと練習からアピールし、メンバー入りをつかんだ。

一方で、「きょうも試合が始まる前までちょっと不思議な感覚だったというか。ちょっとは練習を一緒にしましたが、(加入して)数日しか経っていなかったので、気持ちの切り替えは少し難しかった」と本人は語る。

いまのG大阪は苦しい状態が続いている。AFCチャンピオンズリーグ2を制したものの、新シーズン開幕直前にイェンス・ヴィッシング前監督が電撃退任。明神智和監督の下で再スタートを切ったものの、負傷者が相次ぐ不運にも見舞われ、開幕戦以降、勝利できていない。

この日は、 最下位の千葉から是が非でも勝ち点3をもぎ取りたい一戦だったが、キックオフ直後、わずか約20秒で痛恨の失点。その後もホームチームに主導権を握られる苦しい展開が続いた。さらに52分にはさらに1得点を追加された。

「負けている状況でしたし、押し込まれていた。とにかく自分たちの時間を増やすことと、1点を返すところを大事にして試合に入りました」

明神監督は局面を打開しようと59分に一気に3枚替え。その一人が加入して間もない角だった。

期待の新戦力は「とにかく中途半端なプレーはやめようと思っていた。クロスを上げるとか、仕掛ける姿勢を見せるとか、簡単に後ろに下げたりはせずに、前向きなプレーをしようとしていました」と、左サイドから果敢に仕掛けた。磐田で磨いたドリブル突破はこの日も健在だった。しかし、何とかして逆転を目指したものの、そのまま0-2で敗戦。サポーターからはブーイングが起こった。

角自身は、31分間の出場でシュート2本を放つなど、難しい展開のなかでも奮闘していた。だが、「それだけじゃ意味ない。自分が点を取ってチームを助けたかった」とキッパリと言い切る。

「結果を出すことができれば、チームの一員として認められるし、自分の自信にもつながる。難しい状況ですが、ガンバの一員として次の試合も頑張りたいです」

次戦への意気込みを語る表情は力強かった。試合前に感じていたという「不思議な感覚」は、苦境に立たされているG大阪を助けたいという決意に変わっていた。

「まずはガンバが勝つために自分もプレーします。その先に自分のサッカー人生のいい未来が待っていると思います。そして、自分のためにプレーしつつも、今まで応援してくれた人や一緒にプレーしてくれた人のためにも、ここで結果を出すことが大事だと思っている」

愛する磐田から旅発つ決断を下した男の覚悟は大きい。角は自分を送り出してくれた人々のためにも、J1での活躍を約束する。

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