ガンバのための角昂志郎講座。「ドリブラー」だけでは説明できない、サッカーIQが武器の万能アタッカー

 ジュビロ磐田からガンバ大阪への完全移籍が決まった角昂志郎。筆者は「サッカーの羅針盤」(磐田の歓喜)を通じて2年間、数十試合にわたり角のプレーを見届け、取材してきた。

2002年8月13日生まれの24歳で、FC東京U-18、筑波大学を経て磐田入り。166センチと小柄ながら、一瞬のスピードとキレを生かしたドリブルに加え、相手と味方の動きを見ながら立ち位置を変え、ライン間と背後を使い分ける判断力を備えたアタッカーだ。

 磐田加入前の特別指定時代から継続的に取材してきた中で感じるのは、角を単純な「ドリブラー」として捉えるだけでは、その特徴を十分に説明できないということだ。

ボールを持っていない時にも表れる「サッカーIQ」

 角自身、プロ入り時から足元の技術、一瞬のスピードとキレとともに、「サッカーIQ」を自分の武器に挙げてきた。

 トップ下、シャドー、左右のサイドに対応できるが、ポジション表に書かれた場所にとどまるタイプではない。ライン間へ入り、相手が付いてくれば背後へ走る。味方が幅を取れば中央へ入り、必要に応じて自分がサイドへ流れるなど、周囲との関係によって立ち位置を変えていく。

 過去の仙台戦後には、「いかに相手が迷う、自分の味方が楽になるポジション」を探していると説明していた。相手が自分に付いてくれば、その背後を味方が使える。付いてこなければ、自分がライン間で受ける。ボールを受けることだけではなく、自分の立ち位置によって相手の判断に影響を与え、味方がプレーするスペースを作ることも意識している。

足元と背後、中央とサイドを使い分ける

 左右のサイドでプレーできる角だが、タッチライン際に張り続けて1対1を仕掛けるタイプとは少し異なる。

 2025年に磐田で右サイドへ入った際には、「右サイドで張るより、中と外をうまく使い分けようと思っていた」と振り返っている。トップ下でプレーしてきた経験も生かし、周囲とポジションを交換しながら中央でもボールに関わっていた。

 一方で、足元でボールを受けるだけではなく、背後へのランニングも選択肢に持つ。2025年のプロ初ゴールでは、相手DFがマテウス・ペイショットへ寄ったことで生まれた背後のスペースへ抜け出し、DFとの1対1から自ら仕掛けてゴールを決めた。

 ライン間で受ける、背後へ走る、サイドへ流れる。相手と味方の配置に応じて、こうしたプレーを選択できることが角の特徴になる。

ガンバとの直接対決でも見せた特徴

 ガンバサポーターにとって参考になるのが、2025年の直接対決だ。

 磐田が3-4-2-1で戦ったこの試合で、角はシャドーに入った。足元でボールを受けながら背後も狙い、右へ流れてパスコースを作るなど、中央とサイドを行き来しながらプレー。当時ガンバの中盤にいたネタ・ラヴィとも駆け引きを繰り返した。

 角自身も「普段J2ではできないような個人の駆け引き」があったとして、その攻防を「すごく楽しかった」と振り返っている。また、シャドーの役割についても「すごくやりやすかった」「生き生きプレーできた」と話していた。

 トップ下、シャドー、左右のサイドのどこで起用されるかだけでなく、そのポジションから周囲との関係によってどこへ動くのかが、ガンバでの起用を考える上でもポイントになる。

セカンドボールへの反応も特徴の一つ

 攻撃だけでなく、セカンドボールへの反応も角が意識してきた部分だ。

 トップ下でプレーしていた時期には、「セカンドボールを回収するための立ち位置」を意識しており、自身の素早さが回収能力につながるという認識も持っていた。

 相手が前へ蹴ったボールや、競り合いから生まれたこぼれ球に反応し、回収後にもう一度攻撃へつなげる。ボールを受けるためのポジショニングだけでなく、攻守が切り替わる局面でも立ち位置を考えている選手だ。

ガンバで求められる「数字」

 一方で、今後の課題として挙げられるのが得点とアシストだ。

 プロ入り時には「10ゴール、10アシスト」を目標に掲げ、2025年はJ2で34試合4得点。複数のポジションで攻撃に関わり、ボールの前進やスペース作りに貢献できる一方、それを得点やアシストという結果へ結び付けることは、本人も継続して意識してきた。

 シュートについても「見えたら打つ」ことを意識し、外した後も打つことをやめない姿勢について語っている。ガンバで出場機会を得ていく上でも、これまで担ってきた複数の役割に加え、ゴール前でどれだけ数字を残せるかは一つの評価基準になるだろう。

 また、2026年には磐田で川島永嗣とともにキャプテンも経験した。本人は自分を積極的に声で引っ張るタイプとは捉えておらず、若手とベテランをつなぎながら、ピッチでは結果やプレーで示すことを意識していた。それでも気負いすぎてしまうところはあり、のちに「考えすぎないことが大事だと思った」と振り返っている。

 角はドリブル、ライン間でのプレー、背後へのランニング、複数ポジションへの対応、セカンドボールへの反応。一つのプレーに特化するというより、状況に応じて複数の選択肢を使い分けるタイプのアタッカーだ。

 ガンバでどのポジションを任され、周囲の選手との関係をどう作るのか。そして、そうしたプレーを得点やアシストへどこまで結び付けられるのか。新天地で角を見る上では、この二つが主な注目点になりそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/users/expert/kawajiyoshiyuki

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