【G大阪】キャプテン中谷進之介が語った新シーズンへの決意「監督交代は言い訳にならない。結果が出せなければ、ツケは全部、自分たちに回ってくる」
8月開始、翌年6月終了にカレンダーを変更したJリーグの新シーズンがいよいよスタートする。オフに監督が交代したガンバ大阪は8月7日、ホームに浦和レッズを迎え、開幕戦を戦う(19時30分開始/@パナスタ)。キャプテンを務める中谷進之介に話を聞いた。
ACL2優勝がもたらした大きな意味
百年構想リーグに続き、2026−27シーズンも中谷進之介はガンバ大阪のキャプテンに任命された。24年に加入したときから周りを引きつけるパーソナリティと明るいキャラクターでリーダーシップを発揮してきた。『キャプテン』の肩書きを背負ってもそれは変わらず、太陽のように仲間を明るく照らし、エネルギーを振り注いできた印象だ。
「プロの世界では初めての『キャプテン』ですが、リーダーシップはそもそも僕の持ち味。それで自分のペースを握ってきた気もします。ただ、キャプテンとなればより広い範囲に目を行き届かせて、チームメイト全員を取りこぼさないような働きかけも必要になってくると思うので。その部分はこれまで意識していなかったところで、新たなチャレンジになりますけど、兎にも角にも、まずは僕自身が普段の練習から自分をしっかり表現すること、試合に出て活躍することが大前提だと思うので。行動が伴わなければ何を言っても説得力がないからこそ、まずはそこを自分にもしっかりと求めながら日々を過ごしていきたいです」
これはキャプテン就任時に聞いた言葉だが、この半年はまさにそれを体現すべく存在感を示してきたといっていい。宇佐美貴史や東口順昭、倉田秋ら豊富なキャリアを誇るクラブのレジェンドも在籍する中で、当然、重責もあったはずだが、中谷の誰に対しても『壁』のない大らかな性格は、自然と仲間をチームという輪の中に引き込み、選手各々が放つ熱を結束させた。ACL2で手にしたクラブ10個目の『タイトル』もそれを象徴するものだったと言っていい。
「僕が言わずとも、試合前の声掛けは亮(初瀬)とか諒也(山下)たちが積極的にやってくれたし、僕はありのままの姿でキャプテンをやらせてもらいました。イェンス(ヴィッシング監督)が強烈なリーダーシップを持っていた人で、そこに乗っかっていきやすかったのもあります。唯一、外国籍選手がチームの輪からこぼれないようにとか、そこはちょっと気にしましたけど、彼らも日本での初めてのシーズンではなかったし、ちゃんと自主性を持ってやってくれていた。僕一人が何か大きく変えたとは思っていません。キャプテンに就任したシーズンにタイトルを獲れたのもラッキーでした。
ただ、チームにとってこのタイトルは間違いなく、大きな意味を持つものだったと思います。(タイトルを)初めて経験した選手も多かった中で、それがどれだけ嬉しいものかを知れたのはもちろん、チームとしてそこにたどり着くための基準や必要な厳しさを感じられたのは大きな財産になりました」
2026-27シーズンのスタートに際し、前指揮官がキャンプを目前に控えて離脱するという前代未聞の激震に見舞われても、チームとしては「何をすべきか」が明確だったからだろう。明神智和・新監督のもと、動揺することなく日々に向き合ってきた。
「今回の監督交代が、この先の『結果』に対する言い訳になるかといえば、そうじゃない。仮に結果が出せなければ、そのツケは全部、自分たちに回ってくる。だからこそ、そこに気を取られず、やるべきことをしっかりやって開幕に向けた準備をしようというのが合言葉でした」
その中では中谷自身もキャプテンとしてやるべきこと、担うべき責務が明確になったところもあったそうだ。
「このハーフシーズンは、前監督の厳しさに引っ張られて僕たち選手もついていくという感じでしたけど、その厳しさを自分たちがピッチで作り出していけるようになったら、間違いなくチームは成長できる。そのための僕の振る舞いみたいなところも、ミョウさん(明神監督)とのバランスを見ながら考えていきたいと思っています。ただ、僕は基本的に周りを叱咤してピリッとさせるキャプテンというより、みんなと手を取り合っていい雰囲気を作っていきたいタイプなので、変に背伸びしすぎても、みんなにすぐバレちゃうし、頑張っている感が出ちゃうと思う(笑)。とにかくしっかり全体を見渡して、必要なときに、必要な厳しさを求めたいし、それがガンバの新たな強さになっていけばいいなと思っています」
加えて、中谷が自身に求めるのはピッチでのパフォーマンスだ。前言通り、彼のプロ サッカー選手としてのベースはあくまで「まずは僕自身が普段の練習から自分をしっかり表現すること、試合に出て活躍すること」にある。
「特別シーズンはACL2を並行して戦うハードスケジュールにも苦しめられ、リーグ戦でパフォーマンスを出し切れなかったり、勝ちきれない試合もありました。でも、サッカーをしている感覚は悪くなかった。しっかりと前線からのプレスに連動して(ラインを)押し上げられた試合はチームとしてまとまりのある試合になっていたからこそ、今シーズンもそこの『いく、いかないの判断』は僕ら後ろがしっかりと主導権を持ってチームを動かしていきたいです。
あとは、チャンスをしっかり仕留め切る力と、セットプレー崩れからの失点ですね。一発で合わされて決められたというより、そのあとのシーンで各々の集中力が瞬間的に切れてしまって崩れた失点が多かったところは改善しなくちゃいけない。そんなふうに攻守が噛み合っていけば、今シーズンはより確実に勝点を積み上げていけるんじゃないかと思っています」
明るく、元気にチームをけん引する
個人の成長への欲も尽きない。
思えば、特別シーズンはそのほとんどの試合で三浦弦太とコンビを組んできた中谷だが、今シーズンはケガで離脱していた福岡将太、佐々木翔悟も戦列に復帰。センターバック争いはより熾烈を極めている。そこに打ち勝っていく自分をどう描いているのか。
「右センターバック(CB)でやるのか、左CBでやるのかまだわからないけど、左なら、将太や翔悟の方がクオリティはあると考えても、自分のセンターバックとしての総合力はより高めなくちゃいけないと思っています。そういう意味ではこの半年、左CBを預かることで意識してきた、 左足の精度や左サイドでいかにボールを扱えるかといった幅は引き続き追求していきたい。それプラス、やっぱり大事なのは結果というか。自分のパフォーマンスが失点数や得点数にどう貢献できているのかを含め、チームの結果を意識しながら戦っていきたいです」
チームとしての目標は、タイトルだ。ガンバの過去の歴史を振り返っても「継続してタイトルを積み上げてこそ本当の意味でチームは強くなれるし、自信も膨らんでいく」と中谷はいう。
「これだけ暑い中でのシーズン開幕で、いきなりすべてを100パーセントに持っていくのは難しいからこそ、チームとしてのピークをシーズンのどこに置くのかはタイトルを目指す上ですごく大事になると思っています。最初にピークがきても後がガクンと下がっちゃうかも知れないし、スタートは少し尻込みしても右肩上がりにピークを見出せることもあるかもしれない。ずっとピークが来ないままシーズンが進んでしまったらそれこそ残留争いに巻き込まれてしまいますしね。そこはチームによっていろんな考え方はあると思いますけど、日程や流れ、チームの性質みたいなものを考慮しながらピークをどこに合わせるのか。それが明確なら、結果にとらわれすぎずに落ち着いてチームを構築していけるのかな、と。
ただし、ガンバはJリーグの開幕戦直後にACLEのプレーオフが控えている。だから、そこはピーク云々に関係なく、死ぬ気で勝ち取らなければいけないと思っています」
特に、クラブが14年以来、長らく遠ざかっているJリーグとACLEのタイトルには強い思いを持っている。彼の言葉にもある通り、後者はまず8月11日のプレーオフ・江原FC戦に勝利するのが大前提になるが、それらを獲りにいくことで得られる刺激が、30代に突入した自身のキャリアをより強く進めるものになる。
「キャリアが長くなるほど、外部的な刺激がすごく大事になってくる。どれだけ自分の中で新しいものを作り出そうとしても、自分の範囲内を超えていかないことが増えるから。だからこそ、ACL2決勝のアルナスルFC戦のように、訳がわからないくらい強い相手と対峙して抜かれてしまう自分を実感したり、抑え切る喜びをたくさん味わいたい。それによって サッカー選手としての喜びを得ることはもちろん、もっと大きな括りの人生の楽しみとか刺激みたいなものを自分の進化に繋げたいと思っています。 あとはなんといってもJリーグタイトル。この2つを現実的に考えられるシーズンになれば、必然的にカップ戦にも勢いが出るはずだし、チームとしてももう1ランク上の強さを備えられると思っています」
目標を実現するために、今シーズンも中谷は「明るく、元気に」チームを牽引するという。ともすれば、楽観的にも映る言葉だが、彼が口にするとそれこそがガンバの強さに繋がる大事な要素に思えてくるから不思議だ。
取材・文◎高村美砂[フリーランスライター]




