番記者が解説~深層 〝シン・Jリーグ〟の監督事情に異変 C大阪&G大阪の指揮官が電撃退団
各競技で話題のトピックや疑問点に担当記者が切り込む企画「番記者が解説~深層」。今回は8月7日に開幕を迎えるJリーグの監督事情に焦点を当てる。J1のC大阪とG大阪は新シーズンの準備に入る7月に監督が電撃退任。サウジアラビアのクラブに〝引き抜き〟を受けた。対応に追われた両クラブの見解とシーズン移行の影響を探った。(取材構成・邨田直人)
シーズン移行に伴い来月開幕を迎える〝シン・Jリーグ〟の監督事情に異変が起こった。7月に入ってC大阪、G大阪が相次いで監督の電撃退団を発表した。
2025年シーズンから指揮を執っていたC大阪のパパス監督はサウジアラビア1部アルイテファクの監督に就任。オファーが届いたのは百年構想リーグ終了直後の6月中旬で、ほぼ交渉の余地なく退団が決まった。百年構想リーグから指揮を執っていたG大阪のビッシング監督も6月下旬から動きがあり、サウジアラビア1部アルイテハドの監督に就任した。
ともに契約を残していた中、複数の関係者によると、両監督に提示された年俸は前所属の3倍から4倍とみられる。パパス監督は若手を育成しながら百年構想リーグで3位、ビッシング監督はアジア・チャンピオンズリーグ2を制覇した実績が評価されての高額オファーが流出の一因となった。
これまで選手の中東移籍は数多くあった中、監督の引き抜きは珍しい。両クラブは〝無策〟だったわけではなく、C大阪は百年構想リーグの開幕前から有事に備えて後任候補のリスト作りを進めていた。G大阪もビッシング監督を迎えた段階で将来の欧州進出を見越しており、関係者の中には「イェンス(ビッシング監督)に選手を連れて行ってもらい、一緒にヨーロッパで戦う関係が築ければ理想」という話も上がっていた。
それでも誤算だったのは、結果を残してから退団までの速度感だ。C大阪の雨野裕介スポーツダイレクターは「突然であったことは確か」と話し、G大阪の三上大勝フットボール本部長も「タイミングだけが想定していなかった」と語る。
Jリーグのシーズン移行は欧州リーグやアジアの国際大会と日程を合わせ、世界で競争力を高めることが狙いの一つ。一方、日本のクラブに資金力で勝る中東クラブともシーズンが重なったことが、選手ではなくスタッフの早期引き抜きにもつながった。今後も各クラブは想定外の流出に備える必要がある。
雨野SDは「契約の高度化はまだまだこれから」と違約金やインセンティブを安定して確保できる契約のあり方を目指すと同時に「どうやってより魅力あるクラブにするか」を追求すると語った。三上FB本部長は「契約のテクニックよりもクラブのサイズを大きくしていくことが重要」と話し、「今回起きたことを共有してJリーグや日本サッカーの発展につなげていかないといけない」とリーグ全体に警鐘を鳴らした。
★G大阪は欧州の指導者を中心に選定中
C大阪はスペイン出身のマチン監督を新たに加えて新シーズンに臨む。かねてリストアップしていた監督の一人で、北海道で行われているキャンプに合流済み。「選手がピッチで最も輝けるような最高のシステムを構築していく」と意気込んでいる。G大阪は欧州の指導者を中心に新監督の選定を進めており、オーストリアでのキャンプは明神智和コーチが中心で指導している。



