北中米W杯で現役バリバリ「W杯2006年デビュー組」の奇跡(1)「わずか2試合で5得点」39歳のメッシ!「配球能力に衰えなし」41歳のモドリッチ
北中米ワールドカップで世界中がサッカーの喜びに沸き立つ中、現地で精力的に取材を続けるサッカージャーナリストの大住良之氏。現地からの直送レポート前編となる今回は、20年前のドイツ大会でデビューした「2006年組」の現在をフォーカスする。
現JFA会長の宮本恒靖氏をはじめ、中田英寿氏や中村俊輔氏ら黄金世代がプレーしていたあの時代。そこから20年という時を経て、40歳前後となった今も強豪国を牽引し、W杯のピッチで現役で活躍を続けるリオネル・メッシ(アルゼンチン)、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)、ルカ・モドリッチ(クロアチア)の3人。
特に、得点記録を更新し続け、もはやチームメイトから“信仰の対象”とまで化している39歳メッシの圧巻のプレーと底知れぬ凄みに、大住氏が鋭く迫る!
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■3人の2006年組
17日の「イングランド×クロアチア」でルカ・モドリッチ(クロアチア)を、22日の「アルゼンチン×オーストリア」でリオネル・メッシ(アルゼンチン)を、そして23日の「ポルトガル×ウズベキスタン」でクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)を見ることができたのは、大会前半のグループステージ取材での収穫だった。
3人とも2010年代の欧州サッカーの巨大スターであり、ワールドカップには2006年のドイツ大会でデビューを飾り、ともに40歳前後という年齢になりながらもそれぞれの代表チームをけん引し、20年後の今大会も活躍している。
メッシとロナウドは6大会連続出場という新しい記録を樹立し、2010年南アフリカ大会は欧州予選で敗退したクロアチアのモドリッチも、5大会出場という偉大な記録となった。私の調べでは、今大会に登録されている「2006年組」は、他にメキシコのGKギジェルモ・オチョアがいるだけであるが、オチョアは今大会ではまだ出番がない。
■現JFA会長が現役選手だった時代
「6大会連続」「20年間」ワールドカップ出場というのはすごい。時代感覚を得るために、2006年大会の日本代表を見てみよう。
1 GK 楢崎正剛(30歳、名古屋グランパス)
2 DF 茂庭照幸(24歳、FC東京)
3 DF 駒野友一(24歳、サンフレッチェ広島)
4 MF 遠藤保仁(26歳、ガンバ大阪)
5 DF 宮本恒靖(29歳、ガンバ大阪)
6 DF 中田浩二(26歳、バーゼル)
7 MF 中田英寿(29歳、ボルトン・ワンダラーズ)
8 MF 小笠原満男(27歳、鹿島アントラーズ)
9 FW 高原直泰(27歳、ハンブルガーSV)
10 MF 中村俊輔(27歳、セルティック)
11 FW 巻誠一郎(25歳、ジェフユナイテッド千葉)
12 GK 土肥洋一(32歳、FC東京)
13 FW 柳沢敦(29歳、鹿島アントラーズ)
14 DF 三都主アレサンドロ(28歳、浦和レッズ)
15 MF 福西崇史(29歳、ジュビロ磐田)
16 FW 大黒将志(26歳、グルノーブル)
17 MF 稲本潤一(26歳、ウエストブロミッジ・アルビオン)
18 MF 小野伸二(26歳、浦和レッズ)
19 DF 坪井慶介(26歳、浦和レッズ)
20 FW 玉田圭司(26歳、名古屋グランパス)
21 DF 加地亮(26歳、ガンバ大阪)
22 DF 中澤佑二(28歳、横浜F・マリノス
) 23 GK 川口能活(30歳、ジュビロ磐田)
この時代に最初のワールドカップを戦った3人が、現在もクロアチア、アルゼンチン、ポルトガルと、強豪国の中心選手であることが、どんなに「奇跡」に近いか、理解できるだろう。
■もはや信仰の対象
クロアチアのモドリッチはイングランドに2-4で敗れた試合でボランチとしてプレー、深い位置を取ることが多く、たびたび最終ラインに入ってビルドアップの役割を果たしていた。レアル・マドリードでプレーしていたころのように、あるいは2018年ワールドカップ・ロシア大会で祖国を準優勝に導いたときのように、相手ペナルティーエリアに近づいたところで鋭いドリブルを駆使してチャンスをつくるプレーは見られなかったが、前線への配球能力にさすがと思わせるものがあった。
メッシは別格である。アルジェリアとの初戦ではいきなりハットトリックを演じてチームを3-0の勝利に導くと、私が見たオーストリア戦でも2得点(2-0)。これまでのアルゼンチンの5得点を1人で稼ぎだし、それまでのワールドカップの通算得点記録(ドイツのミロスラフ・クローゼが持っていた16得点)をあっという間に抜き去って18得点となった。ワールドカップ出場28試合、通算出場時間2489分も最多/最長記録という。
もともとハードワークをするタイプではなく、2014年のブラジル大会では試合の大半の時間をピッチ内で散歩するように動き、アルゼンチンが最後まで得点できないと、いきなりボールを持って前進し、強烈なシュートを叩き込むような印象があった。しかし今大会のメッシは相手へのプレスなど守備面でも「ある程度」の働きをしていた。
だが何と言っても圧巻なのはその決定力だ。オーストリア戦では左からの突破に合わせて中央に入り、1タッチで先制点。後半アディショナルタイムにはペナルティーエリア内を右から左に移動しながらシュートを放ち、足を止めずにリバウンドを決めるという「荒技」でスタジアムを熱狂させた。
アルゼンチンは、他のフィールドプレーヤーたちが「働きアリ」のように動き、メッシを支える働きをするのは優勝した2022年カタール大会と同様だが、他の選手のメッシに対する信頼感は、「信仰心」とまで呼べるものに高まっているように見える。パスを受け、キープし、フリーな味方にチャンスをつくるメッシのプレーに衰えはなく、43歳で迎えるはずの2030年大会も十分いけるのではないかとさえ思われた。



