堂安律、小学6年時に「ブラジルに行きたい」憧れた地の代表と対戦へ
サッカーW杯北中米3カ国大会1次リーグF組(25日、日本1―1スウェーデン、米国・ダラス)1次リーグF組最終第3戦で、国際サッカー連盟(FIFA)ランキング18位(6月11日付、以下同)の日本は同38位のスウェーデンと1―1で引き分け、1勝2分けの勝ち点5として2位で決勝トーナメント(T)に進出した。後半11分にMF前田大然(28)=セルティック=が先制。MF堂安律(28)=アイントラハト・フランクフルト=がアシストした。前田は2大会連続ゴールで、日本代表史上3人目の快挙。日本は29日正午(日本時間30日午前2時)の決勝T1回戦で16強入りを懸け、同6位でC組1位のブラジルと対戦する。
チームにその身をささげ続けた背番号10が、1列前のポジションで羽ばたいた。MF堂安が絶妙なパスで日本の先制点をお膳立てし、ネットを揺らしたMF前田に真っ先に駆け寄った。
「非常にやりがいを感じながらプレーしていた。シャドーからでもいい守備をする自分の良さが出せた。いい感覚はあった」
チームの中心が満面の笑みを見せた。今大会は3戦連続で先発。この日は守備に奔走してきた過去2戦の右ウイングバックではなく、攻撃的な右のシャドー(2列目)で出場、後半11分に斜めに走る前田へラストパスを届けた。「彼が見えた瞬間に、絶対背後だと思った」。呼吸を合わせ、力を見せつけた。
前回大会でドイツ、スペインからゴールを奪ったものの、今大会は得点なし。それでもアシストという結果を残してF組の2位突破に貢献。ブラジルとの決戦への道を切り開いた。本気の〝王国〟が相手でも、一歩も引かずに勝利を見据える。
「最高ですね。W杯でブラジルとやれるなんて。どこか好きな国を選べといわれたらブラジルを選ぶ。めちゃくちゃ楽しみ」
最多5度の優勝を誇るカナリア軍団には、自身も大きな影響を受けている。プロを目指して進路に真剣に向き合った小学6年時。「ブラジルに行きたい」と当時所属チームのコーチらに相談しビザの取り方まで調べた。
相談を受けたクーバーコーチング尼崎校の鈴木大人(ひろと)さんは「日本のほうが環境がいい」と助言。最終的にはG大阪の下部組織に入る道を選んだが、幼いころに憧れた地の代表と最高の舞台で相まみえるのは選手冥利(みょうり)につきるだろう。これ以上ないシチュエーションに胸を高鳴らせる。
初の8強、そしてその先の「最高の景色」を目指す日本にとっていきなり強豪とあたるのは不運だろうか。誰ひとりとしてそう考えてはいない。FW上田は「環境や相手は言い訳でしかない。『あたりが良ければ優勝できた』なんて(言うチームは)あたりが良くても優勝できない」と力を込める。ジーコ氏をはじめ多くのブラジル人とともに隆盛を極めたJ1鹿島出身のストライカーは「ブラジルに勝てると信じてくれている日本のサポーターの人も多くいると思う。僕らも自信を持ってプレーできる」と真っ向から立ち向かう覚悟だ。
挑戦者のマインドを持ちながらも、憧れすぎてはいけない。強敵だが、倒すべき相手だ。堂安もひるむ様子は全くない。「ここからW杯が始まる。一発勝負を楽しめる国にやっとなってきた」。心躍る戦いが待っている。
★両手を挙げて怒りをあらわに
堂安は後半21分の交代時、両手を挙げて怒りをあらわにするようなしぐさを見せた。ベンチに戻ってからも不満気な様子だったが、試合後「監督に怒っていないし、ちょっと怒っていた理由がある」と言及。直後の給水タイムでは輪に加わってチームを鼓舞しており、交代策を含めた味方への不満ではなかったことを強調した。理由は「大会が終わった後に話す」と語るにとどめた。



