G大阪、好タレント加入で戦力充実。新スタ元年、目指すは“ユベントス・モデル”か【2016補強診断】

フットボールチャンネルでは、Jリーグ開幕に向けて、Jクラブの補強動向を診断していく。今季の目標に向けて、効果的な補強を行うことができたクラブはどこなのか。今回はCSで準優勝したガンバ大阪を占う。

60試合を戦った2015年。あと一歩を詰めるための2016年

 一昨季リーグ、天皇杯、ヤマザキナビスコカップの三冠を達成した王者G大阪。2015年はより厳しい戦いが待っていた。国内の公式戦に加えAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)が加わり、年間を通して60試合をこなす超過密日程だ。
しかしG大阪はすべての公式戦に全力を注ぎ、その結果天皇杯優勝に加え2つのタイトル獲得目前まで迫った。ACLは広州恒大の前に散ったが、勇敢な戦いぶりで優勝するだけの力を秘めていることを証明して見せた。
今季はリーグタイトルの奪還に挑むとともに、悲願のアジア制覇を狙い、同時に若手たちはJ3を戦う。昨年以上に厳しい戦いが待っていそうだが、長谷川健太監督が豪華な陣容をどのように生かすか注目だ。

エース宇佐美失速も…総合力で見事カバー。長谷川采配冴え渡る

 シーズンを通してリーグ戦で19得点を挙げながら日本代表にも継続して招集されていたエースの宇佐美貴史は、後半戦で急失速した。2トップの一角から左 サイドやトップ下へポジションを移した影響もあったが、長くゴールに絡めない時期が続いた。もしこの停滞がなければ…と考えてしまうが、他の選手たちの奮 闘に光るものがあった。
相棒パトリックが前線をけん引すれば、東口順昭がゴールに蓋をし、丹羽大輝らDF陣も懸命に体を張る。シーズン後半に加入し控えだった長沢駿も要所で結 果を残し、19歳の井手口陽介も物怖じしないプレーで飛躍的に成長。ベテランの遠藤保仁と今野泰幸は相変わらず安定感抜群のプレーで中盤を支えた。
そういった周囲のサポートもありながら終盤に持ち直した宇佐美はエースとしての責務を果たしたと言える。またメンバー選考や絶妙な交代タイミングで的確にメッセージを伝え、選手たちが最大限の力を発揮できる環境を作り出した長谷川監督の好采配も非常にポジティブだった。
今季は厳しく長いシーズンを戦い抜いたほとんどの選手が残留し、新戦力も充実。確実に戦力アップした状態で開幕を迎える。U-23チームはJ3を戦うた め難しい選手起用を強いられる時がくるかもしれないが、過密日程を戦い抜けるだけ質と量を備えたチームはタイトルだけを見据えている。

攻撃陣の破壊力は抜群。目指すは日本での“ユベントス・モデル”構築か

 今季の補強における2つのポイントは過密日程を戦い抜けるだけの戦力拡充とJ3に参戦するU-23チームの強化だった。

1つ目に関しては大成功と言えるだろう。昨季の主力クラスで退団した選手はほぼおらず、レンタル復帰組も多くいる。さらに横浜F・マリノスで猛威を振るったアデミウソンを引き入れ、パトリックや宇佐美とともに構成する攻撃陣の破壊力はJ屈指へと飛躍した。
一方で若手への投資も欠かさない。高校サッカーや大学サッカーで名の知れた逸材に加え、ユースからの昇格組にも将来が楽しみな才能が揃っている。もはやJ1とJ3で完全にチームを分けてもそれぞれでしっかりと結果を残せるだけの陣容だろう。 U-23チームをJ3に参戦させた初年度で結果を残せば、日本中の若手がG大阪入団を目指してプレーするかもしれない。そして日本中の才能を囲い込むことで、選手の供給に困らず安定した好成績を期待できるユベントスのようなビッグクラブ化も夢ではない。
新スタジアムで迎える“改革元年”。G大阪はトップレベルでのタイトルだけでなく、長期的な目線で未来を見据えた育成プランのもとにチーム強化を始めている。

補強面と総合力それぞれの診断結果

補強診断 A+
純粋な戦力アップ
今季の補強は純粋な戦力アップ。昨季を下回るポジションはどこにも見当たらない。アデミウソンの爆発だけでなく、J3を経験する若手の成長など楽しみが尽きない。
総合力診断 A+
非常事態に襲われても十分に対処できる陣容が整った
負傷者続出など非常事態に襲われても十分に対処できる陣容が整った。トップチームは誰が出ても遜色ない活躍を披露し、若手にはアピールチャンスがそこら中に転がる。これだけの素晴らしい状態でタイトルを逃すわけにはいかない。

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