特別リーグで“開花”したルーキー「衝撃的な活躍」 開幕から1か月…識者が厳選した8人の逸材
J1百年構想リーグの序盤戦で開花した選手たち
2026-2027シーズンを前に、半年間で行われる百年構想リーグは、多くのタレントのブレイクが期待される大会でもある。序盤戦での開花が目立ったJ1の選手を筆者の目線でピックアップしたい。
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全体で最も衝撃的な活躍を見せている一人が、大卒ルーキーの肥田野蓮治(浦和レッズ)だ。昨年は特別指定選手として、11月30日のファジアーノ岡山戦で、Jリーグのデビュー戦ゴールを記録して話題を集めた。正式にプロとして迎えたJ1百年構想リーグにおいて、ここまで4試合にスタメン起用されて3得点。EASTの2位に付ける浦和の攻撃を引っ張っている。
デビュー戦は右サイドだったが、この百年構想リーグではFWとして起用されており、高い位置からの守備や相手ディフェンスを背負ってのポストプレーもこなしながら、ゴール前でも危険な存在になっている。武器は瞬間的な背後への動き出しの速さと正確なフィニッシュだ。ここまで6本のシュートで3得点をあげており、ゴール前でボールを受ければ、迷いなくゴールを狙える冷静さはストライカーとしての特別な才能を感じさせる。
「試合を通して個人的にやれることがどんどん増えているので、すごくやっていて楽しいですし、成長を実感できている。今はそういう中でやれているので、すごくいい感じかなと思います」と語る肥田野だが、フィジカル面では筋肉に不安を抱えていることもあり、マチェイ・スコルジャ監督もメディカルと相談しながら、出場時間をセーブしているのが現状だ。
そうした事情に加えて、肥田野は「後半にパワーダウンしてしまうところがあって、得点も今季は全て前半の得点なので。後半にシュート数が減ったりとか、得点がないというところが自分の課題かなと思う」と課題を認める。現状に全く満足していないという肥田野の当面の目標は、浦和を百年構想リーグの優勝とACLに導くことだ。
同じEASTでは常盤亨太(FC東京)のパフォーマンスも目を見張る。アカデミー出身で、大卒2年目のボランチは開幕戦からスタメンで出続けており、高宇洋、橋本拳人といったチームのリーダー格の選手たちと中盤を組んでも、堂々と攻守をオーガナイズしている。元々の強みであるボールを奪う能力の高さは言わずもがな、状況判断の良さと機を逃さない攻め上がりが、現在EAST3位の東京に質、量の両面をもたらしている。
EAST首位の鹿島アントラーズでは左サイドバックの溝口修平が、鬼木達監督に使われながら存在感を高めている。ユース時代から各年代の代表に選ばれるタレントだったが、トップでも評価を高めていた2023年秋に左膝の大怪我で長期離脱となり、本来の“出世街道”から外れてしまった。そこから厳しい時期を乗り越えながら心身の成長を見せると、昨年はサイドハーフでもアピールして、鬼木監督の評価を高めた。
開幕直後に22歳となった今シーズンは、第3節の柏レイソル戦から3試合続けて、左サイドバックでスタメン出場。正確なパスや機動力を生かした効果的なサポートで勝利を支えている。まだまだ1対1の守備で不安を見せてしまうこともあるが、直向きに取り組む姿勢が成長につながっていくはず。経験豊富な小川諒也はもちろん、従来の主力である安西幸輝が復帰してくれば、同ポジションの競争が激しくなることは間違いないが、良い意味で鬼木監督を悩ませるだろう。
そのほか、EASTでは鈴木海音(東京ヴェルディ)が3バックの一角を担い、守備で奮闘する姿が目を引く。ジュビロ磐田から加入した昨年は、ベンチ入りしてもなかなか出番がなかったが、オフにディフェンスリーダーだった谷口栄斗が川崎フロンターレに移籍。城福浩監督はパリ五輪代表のセンターバックをブラウブリッツ秋田から復帰した井上竜太、経験豊富な宮原和也と共に起用。鈴木も溌剌としたプレーで応えている。
神戸に現れた大型センターバック
WESTではアメリカ帰りの19歳DF山田海斗(ヴィッセル神戸)が、第4節のアビスパ福岡戦で、出場停止の山川哲史に代わってスタメン起用されると、192センチの恵まれたサイズを生かした対人守備でシャハブ・ザへディを封じた。途中から相手が10人になったことで、攻撃も守備も多少プレッシャーから解放された感はあるが、ロス五輪世代から、また楽しみな大型センターバックが出てきたと言える。
首位のガンバ大阪では21歳のFW南野遥海が、イェンス・ヴィッシング監督のスタイルに向き合いながら、ゴール前で持ち前のセンスを見せつけている。ACL2を含めて、1トップでデニス・ヒュメットと使い分けられるような形ではあるが、FWにも強度の高いプレーが求められる現在のガンバにあって、そうした起用法は適切だろう。第3節の岡山戦では前半にヒュメット、後半に南野がこぼれ球から左足でゴールを決めて、チームを勝利に導いている。また若手ではないが、39歳GK東口順昭の“再ブレイク”も躍進の力になっていることは間違いない。
昇格2年目となる岡山では特別指定選手のMF小倉幸成が、いきなり獅子奮迅の働きで周囲に驚きを与えている。中盤での幅広いポジショニング、鋭いプレス、素早くダイナミックなパス出し、パンチのあるミドルシュートなど。小柄ではあるが、プレーのスケールは大きい。2試合目のスタメンとなった広島戦では老獪な川辺駿との駆け引きに翻弄されて、2枚目のイエローで退場してしまったが、ベンチに戻った前節の京都戦では後半途中からの投入で、松本昌也による決勝ゴールの流れを引き寄せた。大学との活動との兼ね合いもあるが、試合を重ねながら主力として存在感を高めていきそうだ。
“開花”と言えば、セレッソ大阪に注目しないわけにはいかないが、チームとしては序盤戦、WESTの8位と苦しんでいる。ただ、その中でJ2いわきFCへの育成型期限付き移籍から復帰したMF石渡ネルソンが、アーサー・パパス監督の起用に応えて、ボランチのポジションから溌剌とした動きを見せている。前節の清水戦ではスタメンで、終盤まで攻守に躍動。後半37分に、喜田陽との交代で退いたが、0-0からのPK戦勝利に貢献している。石渡はロス五輪代表の主軸候補としても期待される一人。本来もっとゴール前に顔を出せる選手だが、百年構想リーグとはいえ、試合に使われながらJ1の強度に慣れていくことで、26-27シーズンでの本格ブレイクに向けて、良い流れに持っていけそうだ。
[著者プロフィール]
河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。



