今野泰幸が語るオランダ代表。W杯での再戦を前に振り返るザック・ジャパン/インタビュー
元日本代表で、現在は南葛SCでプレーする今野泰幸が、今夏のワールドカップ初戦で激突するオランダ代表との試合を振り返った。
今夏の2026ワールドカップ北中米大会を前に、スカパー!は日本代表の熱戦をフルマッチで振り返る「日本代表名勝負アーカイブ」を放送・配信している。21日から配信中のシリーズ3回目では、元日本代表の今野泰幸と細貝萌氏(ザスパ群馬代表取締役社長)のダブル解説で、2013年11月16日にベルギーのクリスタル・アレナで行われた国際親善試合・オランダ代表戦を取り上げている。
GOALではこの試合に出場した今野にインタビューを実施。2014年のW杯ブラジル大会を前にした当時の空気感と、オランダ代表について話を聞いた。(取材・文=浅野凜太郎)
オランダにも「やれていた」
「久しぶりにこうやって試合を観ると、ぜんぜんやれていましたね」
同試合で先発フル出場した今野は笑みを浮かべる。2010年のW杯で準優勝した強豪とも互角に渡り合えるほど、アルベルト・ザッケローニ監督が率いる、このときの日本代表は魅力的だった。
「ザッケローニさんのマネジメントがすごく上手で、戦術もしっかり僕らに示してくれました。だからこのオランダ代表戦でも、いい攻撃につながっていたと思います」
前半のうちにオランダ代表FWアリエン・ロッベンのカットインシュートなどで失点し、2点のビハインドを負った日本代表。しかし、今野が「つないできてくれるから、やりやすかった」と話すように、日本は粘り強い守備とパスサッカーで応戦した。今野自身も出足の速いインターセプトとボール奪取で、カウンターにつなげた。
細貝氏も絶賛するように、この試合で存在感を放った今野は、当時J2だったガンバ大阪に所属。この時の日本代表は、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司やインテルの長友佑都、この試合の直後にミランへ移籍が決まった本田圭佑をはじめ、欧州の強豪でプレーする選手たちがいた。
引け目をまったく感じていないわけではなかったという。「差はあったとは思います。だけど、自分がJリーグでやっていることをネガティブに感じたくなかったので、あまり考えないようにしていました」と当時の心境について明かす。
G大阪では2013年のJ2リーグで32試合に出場し、1年でのJ1復帰に貢献。日本代表の仲間たちへの競争心が、活躍の原動力にもなっていたと振り返る。
「海外組の選手たちと紅白戦で当たるときには、負けたくないという気持ちでした。海外に行かずに、Jリーグで頑張っていれば、日本代表として世界に勝てるんだぞというのを見せたかった。だからすごくがむしゃらに練習していたし、海外組に負けないプレーをしなきゃいけないと思っていました」
ザック・ジャパンの魅力
そんな今野を、代表のチームメイトたちもリスペクト。本田をはじめ、海外組の選手たちからアドバイスを求められることも多かった。もちろん逆も然りで、今野が相談をしに行くこともあったという。
「いろいろな人と話しました。何かを吸収しようとする選手が、日本代表では多かった。仲も良かったし、チーム一丸でした。ネガティブな部分や弱点も言い合える関係。お互いに認め合いながら、『成長したい』という気持ちでトレーニングしていました」と、チームの魅力を振り返った。
試合はオランダに2点を先行されていたが、前半終了間際の44分に⼤迫勇也のゴールで1点差に迫る。後半に入ってもアグレッシブな攻撃を続けると、60分に右サイドでのパスワークから相手ボックス内に侵入。最後は本田が左足で流し込み、見事な同点弾を決めた。
試合はそのまま2-2で終了。それまで1度も得点がなかったオランダ相手に価値ある引き分けをつかみ取った。
翌年に迫ったブラジルW杯を前に上々の出来。しかし今野は首をかしげながら、口を開く。
「このときはすごくいい試合ができているけど、モノにできない時期だったんですよね」
年明けて2014年W杯ブラジル大会に臨んだ日本代表は、グループリーグで1勝もできず、予選敗退。ザック・ジャパンに対しては、周囲の期待値が高かっただけに、失望の大きさも比例した。
いまの日本代表は、オランダよりも強い
あれから12年。日本代表は“優勝を目指す”W杯の初戦でオランダと再戦する。
これまで一度も勝てていないオランダ相手に、日本は勝利できるのか。今野に直球で聞いてみると、「僕から見たいまの日本代表は、オランダよりも強い」と言い切った。
「やっぱりメンタリティが違いますよ。僕のときの日本代表は、強豪国に対して前半から圧倒されてしまうと、結構へこむことも多かった。『これ、耐えるので精一杯だな』みたいな。でもいまの日本代表は普段からそういう試合をしているし、世界のレベルを知っている。前半はやられていても、『後半に巻き返せばいいでしょ』というメンタリティを、みんなが持っています」
前回の2022年W杯カタール大会では、強豪のドイツ代表やスペイン代表を撃破し、昨年はサッカー王国のブラジル代表をついに破った。
今野自身が「日本人離れしている」とメンタリティを評価する堂安律をはじめ、スタメンのほとんどが欧州でプレーしている日本代表。今野は「大丈夫」と力を込める。
とはいえ、油断は禁物だ。初戦のカメルーン代表戦で白星を挙げて、決勝トーナメントまで進んだ2010年と、自身にとっても苦い思い出がある2014年のW杯を経験している今野は、初戦の重要性を理解している。
「やっぱりサッカーって何が起こるか分からない。オランダもメンバーはそろっているし、簡単には崩せないと思います。だから本当に万全の準備をして、こっちも100パーセントのコンディションを作る必要がある。でもその上で思いっきりぶつかれば、勝ち点は取れるはず。試合に出ている11人だけじゃなくて、途中から入るメンバーを含めた総力戦でチャンスをモノにしてほしいですね」
今野が太鼓判を押す。オランダ代表は確かに強い。それでも、いまの日本代表はもっと強いとーー。
ザック・ジャパンが挙げられなかった歴史的な1勝は、W杯の初戦で実現するのか? オランダ代表との初戦は今年6月15日の午前5時にキックオフする。



