ガンバ大阪は「すごく変わった」。中谷進之介が実感するヴィッシング流サッカーの手応え。「いいですね、情熱的で」【コラム】
昨年に続き、再び大阪ダービーから幕を開けるシーズン。その一戦を前に、ガンバ大阪は大きな転換点に立っている。イェンス・ヴィッシング新監督の下で進むチーム改革。守備の要である中谷進之介は、変化の手応えを感じながら、新たなスタイルを背負って開幕を迎えようとしている。(取材・文:元川悦子)
●ヴィッシング新体制で再起を図るガンバ大阪
2015年の天皇杯制覇以降、10年間もタイトルから遠ざかっている名門・ガンバ大阪。ダニエル・ポヤトス監督が指揮を執った2023〜2025年もJ1は16位・4位・9位と優勝には手が届かなかった。
25/26シーズンのAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)には参戦しているものの、2026年はまずJ1百年構想リーグを制し、ACLエリート出場を確保し、夏開幕の26/27シーズンに弾みをつけたいところだ。
今季からはドイツ人のイェンス・ヴィッシング監督が就任。これまで以上にインテンシティとデュエル、縦への速さを強く押し出したチーム作りを進めている。
1月12〜25日までの沖縄キャンプでも連日2部練習を実施。他チームはトレーニングマッチ前後の練習量を落としたり、オフを取ったりする中、ガンバは最終盤まで2部練習を継続。全体練習後には腹筋や腕立て伏せ、懸垂などを一回りしながらフィジカル面を強化するサーキットトレーニングにも取り組んでいたのだ。
「負荷のかけ方はすごいですね」と指揮官と同じ88年生まれの倉田秋も苦笑する。
それでも「2分とか2分半でフルパワーを出すメニューが多いんで、全部出しきれる感じですごくやりがいがある。メッチャ充実してますよ」と37歳のMFは前向きに語っていた。
ポジティブな印象を抱くのは、この大ベテランだけではない。
●中谷進之介が実感する変化「ボールを取られた後…」
守備のリーダーである中谷進之介も「前に速く攻撃的で直線的に行くというところはキャンプを通じて意識づけされています。あとはボールを取られた後のプレッシングもすごく変わった。彼のスタイルが徐々に浸透しつつあるのを感じます」と最終日25日の北海道コンサドーレ札幌戦後に手ごたえをつかんだ様子だった。
ガンバとしては、2025年の9位という不本意な結果を踏まえ、攻守両面をブラッシュアップさせていく必要がある。
昨季の総得点は「53」で、優勝した鹿島アントラーズの「58」、4位・サンフレッチェ広島と5位・ヴィッセル神戸の「46」と比べても、大きな差はなかった。
しかし、失点数「55」というのはリーグワースト6位。2024年に記録した「35」からは「20」も増えてしまっている。
その数字を減らすことは、1つの重要命題と言えるのではないか。
●「まだまだ詰めていかないといけない」こと
「自分はDFなんで、守備をどれだけ構築できるかが最大の役割。監督は相手陣内で支配することを求めていますし、彼がアシスタントコーチをやっていたベンフィカを見ると、自分たちがボールを持つ前提で前からプレッシングに行ってると感じられる。
なので、そこを僕らも継続しつつ、昨年やっていた自陣での守備もうまくミックスできれば、いい方向に行くんじゃないかと思います」
中谷はこう話したが、確かに90分間相手陣内でサッカーをし続けるわけにはいかない。ヴィッシング監督はハイプレスをできるだけ長い時間、実践したいと考えているようだが、どうしても休む時間も必要になる。
そのあたりのメリハリをいかにしてチーム全体で共有し、失点減につなげていくのか。それが百年構想リーグに挑むガンバの必須テーマになってきそうだ。
「(デニス・ヒュメットのゴールで1-0で勝利した)札幌戦の1本目を見ていても分かりますけど、プレスがハマらないと、どうしても体力を消費してしまう。前から行くという意識は強まってきているものの、まだまだ詰めていかないといけない。
前に行く意識だったり、縦に速く違いを作るという部分はゲームを通して見えてきているし、縦にボールが入った後、スピードアップするシーンも増えてきている。あとは、体力を考えつつ、実戦で効果的にやっていけるようにすることが重要ですね」
中谷は大阪ダービーを見据えている様子だった。
●「ドイツ人監督の下でやるのは初めてですけど…」
思い返すと、1年前の2025年J1開幕もセレッソ大阪との大阪ダービーだった。 2024年に築き上げた堅守をベースに、より高い位置でボールを奪うことにトライした結果、まさかの5失点を喫し、チーム全体に暗雲が立ち込めた。その苦い記憶を彼らは忘れたことはないだろう。
今回は昇降格がないリーグではあるが、同じ轍を繰り返すわけにはいかない。ヴィッシング監督の戦術を体現しつつ、結果を残すという難しい作業にトライしなければならないのだ。
「特別大会ですけど、やるからには上を目指したいですし、タイトルはかかってくる。新しい監督になったばかりではあるけど、上にいかないといけないと僕は考えています。
それに僕らはACL2も並行して勝っていかないといけない。2月7日のセレッソ戦の後、12日にはACL2の(ラウンド16・)浦項戦がある。このトーナメントの中で浦項は一番嫌な相手。だからこそ、大事に戦いたいですね」
アジアのタイトルを手にしたいのであれば、チームとしてのギアをここから一気に引き上げていく必要がある。悠長に構えている余裕はないのだ。
中谷自身も2025年J1最終節・東京ヴェルディ戦で左肋骨を骨折。2026年始動後は徐々に状態を見ながら出場時間を伸ばしているところだ。
札幌戦は2本目に登場し、45分間プレー。対戦相手の荒野拓馬に「やっと復活できました」と笑顔を見せるシーンもあり、開幕からフル稼働できるメドは立ちつつある模様だ。
ガンバの最終ラインに背番号「4」がいるかいないかというのは非常に大きなポイント。もちろん三浦弦太や福岡将太、佐々木翔悟といった面々もいるが、統率力とリーダーシップ、安定感という部分では中谷が圧倒的。彼には今季もフル稼働してもらわなければならないのである。
「ドイツ人監督の下でやるのは初めてですけど、いいですね、情熱的で。年齢も若いし、本当にフレッシュさを感じます。
僕は今年、30歳になりますけど、年齢に対する思いは特にない。つねに挑戦者のまま、毎日うまくなりたいという気持ちでやっていきます」
目を輝かせた中谷は新指揮官との出会いで円熟味を増していくはず。Jリーグ屈指のDFが百年構想リーグでどのような進化を遂げるのかが大いに見ものだ。



