【G大阪】安部柊斗が新生ガンバを『前へ』進める!「(新監督の)サッカーは自分の特徴に合っていると思う」◎開幕直前・連続インタビュー

加入2年目の充実「僕は気持ちよくやれています」

沖縄キャンプも半分の日程を過ぎた1月の午後。昨年以上に強度の高い、ハードなトレーニングが続いている状況にも、安部柊斗の表情は晴れやかだった。 「疲労感は意外と全然、ないです。ベルギーでプレーしていたときのシーズン前のキャンプはもっとキツかったというか。素走りのメニューも多くて『こんなに走るんだ』と驚いた自分もいたんですけど、その免疫があるからか、みんながキツいと言っているメニューも僕は意外と気持ちよくやれています」

思えば昨年5月、モレンベークからガンバ大阪に完全移籍をした直後は、日本特有の『暑さ』にやや手こずっている印象もあった。だが、そこから半年以上の時間が過ぎ、環境への適応はもちろん『日本で戦う体』を取り戻した上で新シーズンを迎えられているのも大きいという。

「去年の入りはコンディション的にも正直、難しかったというか。約2年ぶりに体感する日本特有の夏の暑さとか、湿度に慣れるのに2ヶ月くらいかかってしまった。その間も試合には出してもらっていたんですけど、僕自身は『全然自分のプレーを出せていない』みたいな感覚もあって、レッドカードでの退場が2度続いたのもそういった気持ち的な焦りみたいなのが影響していた気もします。

ただ、シーズンが進んでいく中では体も含めてうまく順応していけたし、個人的に1年半の長いシーズンになったとはいえ、終盤も体の疲労感も感じずに戦い抜けた。これは、こまめに続けていたセルフケアがうまくいったのもあるかも。というのも、ベルギー時代は基本的にトレーナーに体をほぐしてもらうとなると、オイルを塗ってリンパを流すというマッサージがほとんどだったんですけど、それが自分には合わなかったんです。英語で痛い箇所を細かく説明するのが難しかったのもありました。

なので、家でストレッチを中心としたセルフケアを念入りにするようになり、ガンバに加入してからもずっと続けていたら、それが自分に合っているようで、今も体の状態がすごくいい。ストレッチなら自宅でも、遠征先でも、こうしたキャンプ地でも場所を問わずに出来ますしね。そことケガ予防のための筋トレは今シーズンも続けていこうと思っています」

昨年はシーズン途中の加入で、今回のようにチームを作り込んでいくキャンプを過ごせなかったのに対して、今年は仲間と寝食を共にしながらチームをイチから構築する時間を過ごせている。加えて、今シーズンのガンバはイェンス・ヴィッシング新監督が就任し、『前線からのハイプレス』『縦へ、前への意識づけ』が強調されている印象で、そのサッカーに安部自身のプレースタイルがマッチしていることも、体をより軽くさせているのかもしれない。

「イェンス(監督)には、とにかくボールを下げるな、と。ハイプレスでボールを奪った後も、とにかく前に、縦に、ということを常に求められているし、チーム全体に『前向き』のプレーが要求されます。もちろん、守備のリスク管理というか、ダブルボランチには前への意識を強めた中でも2人のバランス、約束事がいくつか提示されていますし、そこは僕自身も意識しなきゃいけないところだと思っていますが、いずれにせよ、気持ちもプレーもまずは前へ、というサッカーは自分の特徴にも合っている気がするので。今はとにかくそこをより前面に出していこうという意識で取り組んでいます」

新体制での競争とターゲット

ヴィッシング監督のもとで始まった新たな『ポジション争い』にも、昨年の戦いを完全にリセットした上で、フレッシュに向き合っているという。始動からここまで、ボランチでプレーしたのは、安部をはじめ、鈴木徳真美藤倫倉田秋名和田我空、吉原優輝、山本天翔ら。紅白戦や練習試合でもさまざまな組み合わせが試されている中で「監督のファーストチョイスになること」が目下の目標だ。

「昨シーズンからメンバーとしては大きく変わったわけではなく、既存のメンバーに新しい選手が何人か加わったという印象が強いので。お互いのプレースタイルもよくわかっている慣れ親しんだ仲間ばかりで、ピッチ上はもちろん、ピッチ外のところもたくさんコミュニケーションが取れているし、いい関係性ができているのは感じます。ただ去年は、退場しても復帰すれば使ってもらえるという感じで、僕自身はかなりダニ(ダニエル・ポヤトス前監督)に助けられたシーズンでもあったんですけど、今年はまたフラットな状況からの競争になる。実際に今もいろんな組み合わせを試している感じもある中で、その中で自分が監督のファーストチョイスになっていくためにも、練習の中では一番、目立たなければいけないと思っています。

でも、それは単に自分らしいプレーを出すだけでは足りないというか。今年で29歳になることを考えても周りへの声掛けとか、チームをどう鼓舞するかみたいなところも合わせてやっていかないと、評価には繋がらないはずなので。まして今のガンバは、別メニューでの調整が続いている(林)大地を含め、(山下)諒也、(初瀬)亮、(鈴木)徳真、(岸本)武流ら同世代も多いですから。僕らの年代がしっかりチームを押し上げていかないと『タイトル』も見えてこないんじゃないかと思っています」

その『タイトル』を求める上で、チームに備えたいと考えているのが、セットプレーでの得点力と、『盛り返す力』だ。昨年の戦いをもとに、また、常に優位に試合を進められるばかりではないからこそ、それらを備えることで着実に勝点を積み上げられるチームを目指す。

「昨年はセットプレーからの得点が少なかっただけに、そこが増えればもう少し楽に試合を進められることも出てくるのかな、と。また、昨年、僕が加入してから試合で、劣勢の内容から、あるいはビハインドを負った展開から、しっかり盛り返せたと思えた試合は、アルビレックス新潟戦(第32節)くらいでした。実際、先制できれば自分たちの戦いができるけど、そうじゃない展開を強いられた試合は自分たちで勢いを掴み返していくことがあまりできなかった。選手の顔ぶれを見れば、仮に先に失点しても逆転まで持っていけるパワーはあるはずなのに、なかなかチームとしてギアが上がらないというか、上がったとしても仕留め切れない、という反省が残りました。

そこは今シーズン、より突き詰めていきたいし、そのためにも中心選手がしっかり試合に出続けることも大事なのかなと思っています。もちろん、シーズンの中では移籍があったり、ケガ人が出ることもあるとは思いますが、中心選手がコンスタントに試合に出続けることよって、チームとして積み上げられるものも増えていくはずなので。自分もその一人になれるようにしっかりとアピールを続けていこうと思います」

そして、そのためには個人的に目に見える形、つまり数字でも貢献したいと言葉を続ける。

「去年のJ1リーグは15試合に出場して2ゴール1アシストと、ボランチとしては不甲斐ない数字に終わっただけに、百年構想リーグでは最低でも5ゴール5アシスト以上は意識したい。そのくらい絡めなきゃダメだと思っていますし、自分ならやれるとも思っているので達成したいです」

山下諒也に注目してほしい

数字をしっかり残すのは、ガンバとして初タイトルを狙う、AFCチャンピオンズリーグ2(以下、ACL2)においても意識していることだという。昨年に行われたグループステージでは6戦全勝と力の差を示してノックアウトステージ進出を決めたガンバだが、ここから先の戦いはより厳しさを増していくことが予想される。グループステージもそうだったように、特にアウェー戦は環境の違いもあり、苦しむ試合が増えるはずだ。そうした戦いが想定されるからこそ、自身の武器であるプレー強度を示し、粘り強く戦って結果を求めたいという。

「今はまだチームからこの半年の目標をどこに置くのか、伝えられていないですけど、選手間ではACL2は絶対に優勝したいと気持ちを揃えています。そのためにキーになるのはアウェーでの粘り強さかな、と。振り返ると、グループステージでもアウェーは……特にタイでの試合は移動を含めてすっごく苦労しましたけど、チームとしてしっかり耐えられたから後半の得点にもつながりました。それと同じようにノックアウトステージも、特にアウェーは環境の違いもある中で、苦しい時間を耐え抜くとか、粘り強さみたいなところが間違いなく勝負を分ける。そこはチームとして共通認識を持ちながら戦いたいし、どういう展開になったとしても最後は、チームとしてしっかり盛り返して、勝ち点に繋げていくために、僕自身も中盤でパワフルに走って戦って、チームを前に進められるようにしていきたい」

タフな戦いを意識する中で、安部は今シーズンのガンバの『見どころ』に、山下諒也の存在を挙げる。昨年のJ1リーグにおけるトップスピードランキングでもトップ3に入った、ガンバきってのスピードスターだ。

「先日、チームでスピードテストをしたら諒也(山下)がダントツの1位でフィジカルコーチも『あいつはドイツ人か?』って驚いていました(笑)。そのくらい本当に速いし、あのスピードは間違いなく僕らの武器。去年のACL2、アウェーでの東方戦では僕からパスを出して諒也が決めてくれたシーンもありましたが、今年はああいったシーンを数多く作りたいし、ファン・サポーターの皆さんにもそこは注目してほしいです。あとはピッチ外でも、彼がいるおかげでチームの雰囲気がすごく明るくなるので。

他の選手からも24年に諒也やシンくん(中谷進之介)が入ってからガンバがすごく明るくなったってよく聞きますけど、諒也は良くも悪くもうるさくて(笑)、みんなのマスコットというか。ムードメーカーとしての役割も担ってくれているので、そこも合わせて注目してほしい。間違いなく今年のガンバのキープレーヤーになってくれると信じています!」

もちろん、その山下を最大限に生かし、かつガンバをより『前へ』進めるために、安部のパフォーマンスにも注目が集まるシーズンになる。

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