<ガンバ大阪・定期便146>池谷銀姿郎と吉原優輝。大学からの新加入組が吹かせる、新たな風。

■プロキャリアのスタートに、二人が口にした『ワクワク』とは。

 池谷銀姿郎と吉原優輝。1月7日に行われた新体制会見で、横浜F・マリノスから加入した植中朝日と共に前列に座った二人は、個性を際立たせ、会場を和ませた。「プロになって英語を勉強して…海外旅行とか行きたいです」と吉原が言えば、「銀とか銀ちゃんと言われています。アピールポイントは情熱溢れるプレーです」と池谷が笑いを誘う。もちろん、プロ1年目に懸ける思いもしっかりと言葉に変えた。

「プロ1年目でワクワクしていますし、たくさんの試合で勝てればいいなと思っています。こんなにたくさんのお客さんが入ったスタジアムで試合をすることは少なかったので、多くのファン・サポーターの皆さんの前でプレーできるのがすごく楽しみです(池谷)」

「憧れていた世界なので、すごくワクワクしています。早く憧れていたパナスタでプレーしたいです(吉原)」

 偶然か、二人揃って口にした「ワクワク」というワードが、彼らが漂わせる雰囲気からも漏れ伝わってくる。会見の後にはその胸の内をより詳しく教えてくれた。

「いくつかのオファーの中からガンバを選んだ理由は、細かいところまで言うといくつかあるんですけど、一番のこれだという決め手は自分がワクワクするチームを選んだということになります。ザックリした言い方ですけど『俺はどこでプレーしたらワクワクするんだ?』と、僕の中にいるリトル銀姿郎に聞いた結果がガンバでした。もちろんどのクラブも魅力的でしたけど、環境などを総合的に考えてもそうだし、ガンバはスタジアムも素晴らしいし、新しい監督が就任されるというのもありましたし、まっさらな状態から自分を評価してくれるんじゃないかとも思ったし…本当にいろんな要素を総合してワクワクしたので決めました。実際、今日が初練習でしたけどいろんな刺激をもらってすごくワクワクしていますし、楽しい時間を過ごせています(池谷)」

「ガンバに帰ってくることができてめっちゃ嬉しいです。過去、ガンバユース出身の数々の先輩方が、大学を経由したとしてもガンバに帰ってくるという目標を立てていたと思うんですけど、僕自身、『この選手は戻れるだろう』と思っていた選手がガンバに帰れなかったのもたくさん見てきました。だからこそ自分がここに戻ってこれたのは自信になります。小学5年生の頃からガンバのスーパーエリートクラスでプレーするようになり、練習もめっちゃ楽しくて、ジュニアユースにも入れて、ユースにも昇格できて、絶対にガンバでプロになりたいと思っていたからこそ、そのチャンスが拓けると決まった時はめっちゃ嬉しかったです。もちろん、まだまだここからですけど、今日の練習でもユース時代に練習参加をした時のような『必死でやらないと、全然スピードに追いつけない』みたいな感覚ではなく、冷静に判断できるようになっているのを感じられたのは嬉しかったです。拓殖大学の仲間、指導者の皆さんにも感謝しています(吉原)」

 共に、大学3回生でのプロ転向について、今夏からの『Jリーグのシーズン移行』を理由に挙げたのも印象的だ。当然ながら大学に入学した際は、それぞれの大学でプレーを磨き、4年間を戦い切る決意だったはずだが、2回生の時にシーズン移行の話を知り、かつ、1学年上の先輩も3回生を最後にプロの道を切り拓く選手が増えていた流れもあった中で、大学側の理解にも助けられ、予定より早巻きでプロキャリアをスタートしたという。

「入学したときはここで4年間頑張ろうと思っていました。ただ、2年の時にシーズン移行の話を知り、また先輩たちの姿も見ていた中で、もしかしたら自分もそうなる可能性もあるかもなというのは、2年の冬くらいから考えるようになりました。(筑波大サッカー部の)小井戸正亮先生が以前にガンバでコーチをしていたのは知っていたし、小井戸先生からも『当時とは少し変わったところもあるかもしれないけど、環境や指導者、コーチングスタッフの目は間違いない。サッカーだけに打ち込める環境を作ってくれるスタッフもたくさんいる』と言っていただいたし、それは自分がサッカーをするにあたってもすごく心強いです(池谷)」

「このタイミングでシーズン移行するのも自分にとってはタイミングかなと思ったし、よりレベルの高い環境でやる方が成長スピードも上げられるし、刺激もたくさんあるからこそ、話をいただいた時はすぐに行きたい、という気持ちになっていました。思えば、ガンバユースに所属していた高校1年生の時は、(同期の)遥海(南野)や隆大(高橋/グアラニFC)も有名だったし、キャプテンの桒原(陸人/明治大学)も日本でも知られた存在で、自分自身は『すごい選手が揃っているから自分は試合に出られないだろうな』と思っちゃっていたんです。でも、2年生のタイミングで森下仁志監督(東京ヴェルディコーチ)が自信をつけてくれたというか。『お前はやれる』と言ってくれた言葉を信じてやっていたら成功体験もいっぱい得られて自信がついていった。そこにプラスして大学で川勝良一さん(テクニカルアドバイザー)の指導もあって、運動量も増えたし筋力もついて走れるようにもなった。そう考えても全てのキャリアが繋がって今の自分があると思っています(吉原)」

■二人の持ち味。青木良太スカウトが知る、彼らの魅力。

 大学時代、池谷はセンターバックと右サイドバックでプレー。うち、センターバックでプレーした昨年は3年生ながら関東大学1部リーグMVPに選出されるなど大学ナンバーワンディフェンダーとしての呼び声も高い。一方、吉原はアカデミー時代も課題とされていた『守備』に磨きをかけながら、持ち前のキックを武器に長短のパスでタクトを振るうボランチ。右足のキックは大学屈指の威力を示してきた。

 そうした二人の成長をずっと追いかけてきた青木良太スカウトが彼らの魅力を言葉に変える。

「ギンジ(池谷)は足も速く、フィジカルも強い上に、体格的にも恵まれた総合的な能力の高い選手。負けん気の強さや自分に向き合うパワーはもちろん、サイドバックでもセンターバックでもプレーできるのは間違いなく強みだと思います。また、見た目通り、とにかく明るく、お調子者ではあるんですけど(笑)、自分のできること、できないこともきちんと理解していて自信と過信の違いもちゃんとわかって行動している。まだまだ技術は荒いですが今後、プレーの予測やプレー選択の見極め、ベーシックなゲームで使える技術を上げることでプレーの引き出しを増やすことなど、攻撃面でもプラスアルファが示せるようになれば、より怖い選手になると思っています。また優輝(吉原)は、ジュニアユース時代から見てきた選手ですが、180センチの大型ボランチというのは間違いなく魅力の1つ。ユース時代は少し自分の技術に溺れているようなプレーも多かったし、運動量も物足りなかったですが、大学時代にウィークポイントを自覚して、向き合えるようになったからか、筋力もついて体もさらに大きくなったし、プレーの迫力も出せるようになった。昨今のJリーグでは数少なくなったプレーメーカーとしても希少な選手だと思っています。といってもまだまだ課題はありますが、自分の物足りなさとしっかり向き合い続けていればより大きな選手になっていけるんじゃないかと思っています。どのポジションもそうであるように彼らのポジションも厳しい競争が待ち受けますが、二人とも、そこを乗り越えてこそ見出せる成長というのを意欲的に求められる選手。間違いなく、チームにいい競争力を生んでくれるはずだし、それぞれの持つポテンシャルに自信をつけていけば将来的には日本代表も狙える選手だと思っています(青木スカウト)」

 その言葉にある持ち味や課題は、各々も自覚しているようで自身の『今』を受け止めた上で、プロキャリアとしての未来に目を向けた。

「自分がプロサッカー選手として勝負したいのは右サイドバックです。それはクラブにも伝えています。ただセンターバックをやってくれと言われたら断る理由もないし、ガンバの選手としてプレーできるなら喜んでやります。ポジションへのこだわりはあるとはいえ、左サイドバックでやれと言われてできないこともないし、そういうところも自分の長所だと思うので。プレーの幅を広げる意味でもとにかく試合に出ることを第一に考えたいです。というか、開幕スタメンしか狙っていません。そのためには自分のプレーの水準を全体的にさらに上げるということと、自分では守備に長所があると思っているからこそ、攻撃のクオリティはもっともっと上げていけたらと思っています。昨シーズンの戦いを見ていても、ガンバの後ろの4枚はすごい強固な守備陣が揃っているので簡単にスタメンを取れるとは思っていませんが、そこを超えられたら割となんでも超えていけるんじゃないか、とも思うので。素晴らしい選手がいるガンバだからここに飛び込んできたからこそ、自分を成長させながらしっかり競争して、ポジションを掴みたいと思っています(池谷)」

「ゲームメイクをしながら、(パスを)刺すべきところでしっかり刺すというのが僕の強み。そういうプレースタイルの選手は最近のガンバにはいないからこそ、強度や運動量をしっかり発揮しながら、自分らしいプレーで勝負したいと思っています。走れて戦えることはもちろん、攻撃で違いを見せられるというか、『こいつにボールを預けておけばどうにかなるな』と思ってもらえるボランチが理想像。ガンバアカデミー出身でボランチとして活躍している選手はそう多くないと考えても、右足のキックやスルーパス、浮き球のパスといった持ち味をしっかり表現しながらガンバのユニフォームを着て活躍したいと思っています。ユース時代のコーチで守備のことをいろいろ教えていただいたミョウさん(明神智和コーチ)やヤットさん(遠藤保仁コーチ)…って気安く呼んでいいのかわからないですけど(笑)、二人にいろいろアドバイスをもらえるのも魅力しかないです(吉原)」

 背番号は、池谷が高校時代につけていた番号で、誕生日の6月19日にちなんだ『19』を、吉原はユース時代、試合に出場できるようになった時に背負っていた『32』を選んだ。二人とも、1年目からその番号をパナスタのピッチで輝かせる決意でいる。

「去年3月の清水エスパルス戦をパナスタで観戦させてもらったんですが、ファン・サポーターの応援はすごく熱いし、ピッチまでの距離もめちゃめちゃ近いなと思いました。ファン・サポーターの皆さんの前でプレーするのがすごく楽しみです。自分の背ネームが入ったユニフォームを着るのが初めてなので、それもワクワクしています(池谷)」

「パナスタは子供の頃からずっと憧れてきたスタジアム。高校3年生の時にプレミアリーグでプレーしたこともありますが、ここで試合に出て活躍することを描いてガンバに帰ってきたので、できれば自分が点も取って喜びたいです。久しぶりのガンバのユニフォームは…しっくりきます(笑)。本当に格好いいです。家族も喜んでくれているし、試合に出て、活躍して、もっと喜ばせたいです(吉原)」

 ちなみに、池谷によれば「遥海(南野)は世代別代表でも一緒でしたけど、なぜか当時から仲が良かったし、優輝(吉原)も大学は違いましたけどガンバに入る前から仲が良かったです」とのこと。

 同日に取材をした植中朝日が「銀姿郎はマリノスの練習参加に来ていた時からの顔見知りで…2日間くらいしかいなかったのに親友みたいな関わり方をしてくるので一旦、距離を置こうと思っています(笑)」と話していたことを思えば、池谷の言う『仲の良さ』がどの程度のものなのかは計り知れないが(笑)、間違いないのは、練習を見ても、チームへの溶け込み具合からも、彼らの「明るさ」がチームを盛り上げる要素の1つになっているということ。

 それは、冒頭に書いた新体制会見で「アピールポイントは左足のキックです。好きな食べ物はハンバーグです」と笑いを誘った山本天翔を初め、中積爲、當野泰生、横井祐弥らユース出身組も然りだ。

 そんな彼らを要する新生ガンバは明日、1月12日からいよいよ、沖縄キャンプをスタートする。聞けば、早朝ランニング+2部練習の過酷な日々が予定されているそうだが、そうした中でも、新加入の彼らがフレッシュなエネルギーをチームに注ぎ込み続けることができれば、それはきっとガンバの新たなパワーに変わる。

https://news.yahoo.co.jp/users/expert/takamuramisa/articles?page=1

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