指導者転身でも貫く岡田武史の金言、ストライカー育成は「全然できる」 Jクラブ名将から習得中…大黒将志が描く未来

連載「青の魂、次代に繋ぐバトン」:大黒将志(川崎フロンターレコーチ)第5回

日本サッカーは1990年代にJリーグ創設、ワールドカップ(W杯)初出場と歴史的な転換点を迎え、飛躍的な進化の道を歩んできた。その戦いのなかでは数多くの日の丸戦士が躍動。一時代を築いた彼らは今、各地で若き才能へ“青のバトン”を繋いでいる。指導者として、育成年代に携わる一員として、歴代の日本代表選手たちが次代へ託すそれぞれの想いとは――。

【動画】Jリーグ178得点の圧倒的な決定力…大黒将志の華麗ゴール集

FOOTBALL ZONEのインタビュー新連載「青の魂、次代に繋ぐバトン」。2021年の現役引退直後から指導者の道へ進んだ大黒将志は、ガンバ大阪アカデミーのストライカーコーチ、FCティアモ枚方ヘッドコーチを経て今季から川崎フロンターレのトップチームのコーチに就任した。確固たる点取り屋の哲学を持つ男は今、どんな未来を思い描き、川崎での日々を過ごしているのか。その胸の内に迫った。(取材・文=二宮寿朗/全5回の5回目)

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大黒将志はプロキャリアにおいて国内外で12クラブを渡り歩き、公式戦で200以上のゴールを叩き出してきた。

現役最後のゴールとなったのが、J2栃木SC時代の2019年8月10日、古巣でもある京都サンガF.C.戦。バックパスを受け取った相手のセンターバックに猛烈なプレッシャーをかけて奪い取るや否やロングレンジから左足を振り抜き、前に出ていたGKの横を狙うように放り込んだ。

バックパスが出て相手がどう受け取るかの先読み、GKの位置取りの把握、かつ狙った場所に蹴り込む技術。彼の真髄が詰まったスーパーゴールであった。

数え切れないほどのゴールを積み上げてきたなかで、どのゴールが強く印象に残っているのか――。そう問うと「いや、全部ですよ」と彼は言う。日本代表だろうが、クラブだろうが、どのゴールも同じという価値観を持つ人らしい返答であった。

ただ「好きなゴールで言うのであれば」と1つ挙げてくれたのが、残留争いの渦中にあったFC東京時代の2010年11月23日、前節に優勝を決めた名古屋グランパスとのアウェーマッチで決めた一発だ。前半27分、右コーナーキックの流れから梶山陽平が中央にドリブルで持ち出して縦パスを送り、ペナルティーエリア内で攻め残っていた森重真人のワンタッチパスから、大黒がそのまま相手GK楢﨑正剛の頭上を越すループシュートで奪ったゴールが決勝点となった。

大黒の記憶は鮮明だ。

「右サイドでリカルジーニョがボールを持っていて、こねてこねて(ボールが)出てこないのでオフサイドポジションでフラフラしていました。闘莉王、増川さんが僕をマークするのを捨てたのが分かって、ボールが来そうなタイミングでオフからオンに戻ったんです。たまたまオフサイドポジションにいたのではなくて、わざとオフサイドポジションにいました。相手の誰かが『たまたま』って言っていましたけど、“自分はずっとこういう練習してるのに”って心の中で思っていました(笑)。それにループシュートはFC東京の練習のなかでも決めまくっていたので、試合でも決めることができたと思っています」

指導者になった今も貫く試合をイメージした練習

長谷部監督の下で「学ばせてもらっている」

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