J1中間審査「今季の“ハズレ補強”ワースト10」 期待値以下の働き、奮起を求めたい新戦力は?
熱戦が続くJ1リーグは、5月24、25日に第18節が行われた。中盤戦に突入している中、今季から新天地でのプレーする選手たちの働きぶりを評価。「アタリ」補強とは反対に「ハズレ」とは言いたくないが、ここまで獲得時の「期待値」を下回る働きで、今後の奮起を求めたい選手たち“ワースト10”を報告したい。
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10位:菊池流帆(FC町田ゼルビア←ヴィッセル神戸)
気迫溢れる守備と空中戦の強さが魅力のCB。5シーズン過ごした神戸を後にし、青森山田高校時代に恩師である黒田剛監督率いる昨季3位の町田への移籍を決断したが、2月16日の開幕戦の後半8分に右足を痛めて負傷交代。3月29日の第7節でスタメン復帰したのも束の間、4月9日のルヴァン杯で今度は左足を痛め、前半29分にピッチを去った。怪我は仕方ない面があるが、リーグ戦出場2試合でその2試合は1分け1敗とここまではチームの力になれていないのは事実だ。
9位:鈴木海音(東京ヴェルディ←ジュビロ磐田)
高い守備力と足元の技術を持ち、昨夏のパリ五輪にも出場した若手CB。アカデミー時代から過ごした磐田がJ2降格となり、緑色のユニフォームに着替えたが、レギュラー陣の牙城を崩せず、ここまでリーグ戦途中出場3試合(出場時間30分)のみ。今季公式戦初スタメンだった4月16日のルヴァン杯ではハーフタイムに交代を告げられるなど悩める日々を過ごした。ただ、5月21日の同じくルヴァン杯の新潟戦で移籍後初のスタメンフル出場で好感触を得た。チームの水にも慣れた夏場以降の活躍に期待したい。
8位:小池裕太(ヴィッセル神戸←横浜F・マリノス)
流通経済大4年時にベルギーに渡った経験を持つ左利きの左サイドバック。鹿島、C大阪、横浜FMと渡り歩き、今季は神戸の一員となり、J1リーグ開幕前のスーパーカップ、開幕直後のACLEと2試合にスタメン出場したが、2試合ともに黒星で個人としても周囲を納得させることができず。その後、出番がなくなり、リーグ戦は出場0試合となっている。元々、バックアップ要因としての意味合いが強い獲得ではあったが、もう少し試合に絡んでもらいたいところだ。
7位:早川隼平(浦和レッズ←ファジアーノ岡山)
ジュニアユースからの生え抜き。2023年に17歳でリーグ戦11試合に出場し、ルヴァン杯でニューヒーロー賞を受賞した誰もがその才能を認めるテクニシャン。当時J2岡山への半年間の期限付き移籍(15試合出場2得点)を経て復帰して期待を集めているが、ここまでリーグ戦2試合にベンチ入りしたのみで出場0試合とレギュラー争いに絡めていない。現在19歳。チームの2列目の層が厚いのは仕方ない。成長を停滞させないためにも真剣勝負のプレータイムを確保する方法を考えるべきだろう。
6位:宮大樹(名古屋グランパス←アビスパ福岡)
空中戦に強く、左足でのフィード能力も高い左利きのCB。福岡で4シーズンに渡って主力として働き、経験を積んだ上での移籍となり、第2節から4試合連続でスタメン出場を果たしたが、チームは2分け2敗で4試合で計8失点。その責任すべてが宮にある訳ではないが、富山に敗れたルヴァン杯では失点に繋がるパスミスもあり、福岡時代に見せていたパフォーマンスレベルから下がってしまっている。信頼を取り戻すことができるだろうか。28歳という年齢的にも早い段階での巻き返しが求められる。
5位:グスタボ・クリスマン(ヴィッセル神戸←サンタクララ)
ポルトガルで活躍していたブラジル人セントラルMF。ACLEの過密日程の影響もあって開幕前から怪我人が続出したチーム事情の中、リーグ戦開幕4戦未勝利(3分け1敗)となった後の3月3日に期限付き移籍で加わった。サンタクララで主力として働いていた実績もあって“即活躍”が期待されたが、今季ここまでリーグ戦での途中出場5試合のみでプレータイムは計75分。デビュー直後は期待感を膨らませるプレーぶりを見せていたが、思うように出番を得られていない。その間にチームも調子を取り戻し、現状では井手口陽介と宮代大聖の控えとなっている。
4位:名和田我空(ガンバ大阪←神村学園高校)
2023年のU17アジア杯で大会MVPと得点王に輝いた世代屈指のタレント。黄金ルーキーとして期待を集めてリーグ開幕スタメンを飾ったが、インパクトを残せず、その後は途中出場2試合のみ。チャンスを与えられたルヴァン杯でも、好プレーを見せたシーンはあったものの数が少なく、プレーの“軽さ”の方が気になり、勝負すべきバイタルエリアでの精度も欠いた。まだ高卒1年目の18歳に多くを望むべきではないだろうが、直近のルヴァン杯・磐田戦では同学年の川合徳孟が輝きを放っていただけに、その対比もあって厳しい評価を下さざるを得ない。開幕前は「2ケタゴール」を目標に掲げていたが、まずは1ゴール。そこから変われるか。
3位:アフメド・アフメドフ(清水エスパルス←FCスパルタク・ヴァルナ)
現役ブルガリア代表の肩書を引っ提げて加わった本格派ストライカー。直近のブルガリアリーグ半年間で19試合16得点という実績、さらに1月の入団会見当日の練習試合で出場15分間で2得点という“挨拶”で期待が高まったが、リーグ戦開幕後は9試合(スタメン3試合)、計244分に出場してノーゴール。4月9日のルヴァン杯・ジュビロ磐田戦の開始直後にゴールを決めた場面以外、精彩を欠いている。清水の新外国人としてはマテウス・ブエノが“大アタリ”で、1トップのFWとして北川航也が頼もしい活躍を見せていることで大きな問題にはなっていないが、ここまでは「野比のび太的な名前」でしかファンを喜ばすことができていない。日本の生活に慣れた夏場以降の爆発に期待だ。
2位:奥抜侃志(ガンバ大阪←ニュルンベルク)
大宮育ちでドイツで鍛錬を積み、日本代表にも選ばれた経験を持つウインガー。左サイドからの切れ味鋭いドリブルを武器とし、昨季4位からのタイトル獲得を目指すG大阪の補強の目玉として大きな期待を集めたが、デビュー戦となった開幕戦での大阪ダービーで見せ場を作れず。戦術理解度の低さ、守備の甘さを指摘され、大量5失点の原因として厳しい声が寄せられた。名誉挽回したいところだったが、第2節以降はメンバー外になり、4月17日に左足首を手術して長期離脱の状況となっている。怪我の全治は不明。大きな誤算だ。
1位:ミゲル・シルヴェイラ(アルビレックス新潟←PFCソチ)
母国ブラジルで「神童」として騒がれた逸材MF。名門フルミネンセで16歳の時にトップデビューを果たし、U-15、U-17のブラジル代表歴も持つ。実際にピッチ上を走る雰囲気、ボールタッチの非凡さは感じさせるが、如何せん、プレータイムが少ない。ここまでリーグ戦出場5試合に途中出場したのみで、出場時間は計68分となっている。ただ、チームがなかなか勝てない状況が続いた中では一部ファンから「ミゲルを使え!」との声も多く聞かれる。起用法次第で能力を発揮できるはず。今後の巻き返し、奮起を促す意味を込めて、ワースト1位としたい。



