【G大阪に苦杯で5連勝ストップの浦和。固定メンバーで上がった完成度と連戦の壁(2)】「途中出場組が違いを見せなければいけなかった」と関根も反省。ここからチームの幅をどう広げていく?

4月13日の町田ゼルビア戦から5月3日の東京ヴェルディ戦までの5連勝がストップし、今一度、ギアを上げなければいけなくなった浦和レッズ

キャプテン・関根貴大も「今、大事なのは連敗しないこと。いいサッカーはできてたので、それがまた出せるか。今日も出せてはいたけど負けてしまった。負けが続くと、今までやってきたことにちょっとヒビが入る可能性もあるので、次が重要ですね」と強調していた。

実際、5月はここからアルビレックス新潟、FC東京、川崎フロンターレ名古屋グランパスセレッソ大阪と5試合を消化しなければならない。6月1日の横浜FC戦を含めて、クラブワールドカップ(アメリカ)前の6戦でどこまでチームの幅を広げられるかは、チームにとって非常に重要な命題ではないか。
ここまでは1トップ・松尾佑介、2列目の金子拓郎、渡邊凌磨、マテウス・サヴィオという4人のコンビネーションと決定力で乗り切ってきたが、ずっとそのままというわけにはいかないだろう。近日中にはチアゴ・サンタナも復帰する見通しで、中島翔哉や関根も復調傾向にある。

ボランチにしても、直近2試合を欠場したサミュエル・グスタフソンが間もなく戻る見通しで、長期離脱していた柴戸海もピッチに立てる状態になるだろう。安居海渡と松本泰志を含め、彼らをどのように使いこなし、チームの幅を広げていくか。それは指揮官にとって大きな課題と言えるだろう。

■悔やまれる途中出場選手のパフォーマンス

連勝ストップとなった5月6日のガンバ大阪戦を見る限りだと、後半に失点した後、ピッチに送り出された中島、関根、荻原拓也、高橋利樹というジョーカーたちが主力組を上回るパフォーマンスを見せたとは言い切れない部分があった。

「スタメンの選手たちはハードワークをして、チャンスを作って、自分たちが点を取れば…というところまでは行っていたので。(途中出場の)僕らの仕事は試合の中でギアを上げる役目だった。そこで違いを見せないといけなかった」と関根も悔やんでいたが、できることなら選手を入れ替えながら戦えるようになるのが理想的だ。

「チームとしてはもちろんローテーションしながら勝っていくことが一番疲れもないですけど、(5連勝の間に)これだけいいサッカーをしていたんで、判断が難しいのも理解できるので。次の連戦で監督がどう決断するか分からないですけど、出た選手がやるだけ。特にサブの選手はいい準備をしないといけないと思います」と関根も改めて強調していた。本当にそういった集団になっていかなければ、クラブW杯、その後のJ1優勝争いを乗り切ることは難しそうだ。

■ピッチ上で最適解を見出すスピード

チームのバリエーションを広げるという意味では、メンバー変更のみならず、既存戦力の中で臨機応変な対応やポジションの入れ替えもより推し進めていく必要があるだろう。それは松尾も語っていたことだ。

「中央のスペースを監視されてましたし、僕たちもどこが空いてるのかチームとして共有できていなかった。サイドにランニングに特徴のある選手がいなかったので、だったら僕が行ったらよかったなと思いました。

途中で監督からサヴィオとポジションを変えるようには言われましたけど、僕がサイドで幅を取る方が相手は嫌だった。そういう改善点を試合が終わった後、選手何人かで話しましたけど、もう少し共有していけたらいいと思います」

そうやってピッチ上で最適解を見出すスピードを速くしていくことも、幅広い戦いのできるチームに近づくためのポイントだ。ここまでは連戦だったため、練習で意思疎通を図ったり、新たなトライをする時間もなかっただろうが、このタイミングを有効活用し、今一度、ギアを上げていくことが肝要だ。

今季初めて出番なしに終わった原口元気もこのままでいいはずがない。9日に34歳の誕生日を迎えるベテランのベストな起用法を模索することも含め、指揮官には積極的なチャレンジをお願いしたいところ。浦和がさらに上の領域に辿り着けるか否か。今は重要な分岐点に立っていると言っていい。

(取材・文/元川悦子)

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