【直近4戦未勝利で14位に後退。ガンバ大阪はなぜ苦しんでいるのか?(1)】「あそこまで持たれるのは想定外。明らかに守備がハマっていない」と中谷。昨季の堅守をどう取り戻す?
ダニエル・ポヤトス監督就任2年目だった2024年は4位に躍進し、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2の権利を手にするところまで辿り着いたガンバ大阪。いい感触で昨季を終えただけに、今季はより一層、チーム成熟度を高められるという期待も大きかった。
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しかしながら、2月14日のセレッソ大阪とのダービーマッチで2-5という大敗を喫してから風向きが一変してしまう。その後も失点が続き、4月6日の柏レイソル戦でも小泉佳穂の一撃を食らって0-1で敗戦。ここまで9試合のうちクリーンシートは2試合だけで、総失点15という数字もJ1で下から2番目。この現状は明らかに違和感を拭えない。
柏戦でも序盤からボールポゼッションを重視する相手に回され、ズルズルと自陣にひかされてしまった。リカルド・ロドリゲス監督の戦い方はポヤトス監督も選手たちも理解していたはずだったが、前半は長い時間、守勢に回ることになり、耐え忍んでカウンターを繰り出すという構図になってしまった。
「あそこまで持たれるのは想定外。正直、もう少しプレッシャーがかかると思っていましたし、うまく守備できるかなと思ったんですけど、なかなかハマらずに前半は本当に耐えるだけになってしまった。ゼロで抑えたからまだよかったんですけど、耐えるだけというのは改善しないといけない」と守備リーダーの中谷進之介も不完全燃焼感を吐露した。
■掲げていた「より高い位置でボールを奪う」のテーマ
スコアレスで迎えた後半。ガンバはベンチに置いていた宇佐美貴史や山下諒也を投入。攻撃のギアを上げようとしたが、後半20分に一瞬のスキを突かれて失点してしまう。
柏の売り出し中の大型ボランチ・熊坂光希がドリブルで持ち上がり、出したタテパスが半田陸に当たって垣田裕暉が収める形になり、小泉が飛び込んで右足を振り抜く形になったのだ。フィニッシュの瞬間、小泉にはマークがついておらず、フリーの状態に。黒川圭介が遅れてマークに行ったが、間に合わなかった。
「こぼれたところに人がいないというのは今年のガンバにはよくあって、危険なエリアに人がいなくて最後のところで防ぎきれないって場面は多いです。ホントにうまく噛み合っていないし、明らかに守備がハマっていない。何とも言えない感じです」とこの一撃に沈んだ中谷もモヤモヤ感を口にしていたが、守備を改善し、堅守を取り戻さなければ、浮上への道筋は見えてこないだろう。
そもそも今季のガンバは「より高い位置でボールを奪う」というテーマを掲げて、スタートしたはずだった。それは2024年J1で敵陣でのボール奪取率が下位だというデータに基づいたものだった。キャンプでもハイプレスに繰り返しトライし、ある程度の手ごたえをつかんで開幕を迎えた。が、そのシナリオがセレッソ戦の5失点敗戦で崩れ去り、今もなお模索が続いている印象が強いのだ。
「前で奪うというのは、セレッソ戦でコテンパンにやられた後に1回リセットされた。僕らのメンバーを見た時に、前からガンガン行くよりかは、ある程度、後ろで構えて行った方がいいということになり、そういう形でやっています」と中谷は軌道修正したことを明かす。が、GK一森純や最終ラインの顔ぶれは昨季と同じ。彼らの連携を再確認することも重要だが、やはり前との関係性をもっと詰めていくことが必要なのだろう。
■中谷進之介「自分たちの形を見つけるのが大事」
今のガンバは「ダワン(北京国安)がいなくなったことが響いている」という見方をされることも多いが、それを嘆いていても始まらない。ネタ・ラヴィとともにボランチやインサイドハーフを担うことの多い美藤倫も「『誰々がいなくいなくなったから』というのはもう言わせない。今、現状は負けてますけど、『絶対に自分がやる』って気持ちがあるので、頑張りたいと思います」と目をぎらつかせていたが、彼のような若く伸び盛りの選手がよりリーダーシップを発揮して、前と後ろのつなぎ役になってくれれば一番いい。
「今は迷いがある中でプレーしてて、一歩一歩遅れちゃって、後手後手で守備をしているという状況なので。まずは結果が出るのが一番ですけど、自分たちの形を見つけるのが大事かなと思います」と中谷も話したが、それをチーム全員で共有して、同じ方向を見て進んでいくしかない。
今は苦しいかもしれないが、ガンバには戦力もいるし、流れを変えられる人材もいる。何とか踏みとどまってほしいものである。 (取材・文/中地拓也)
(後編へつづく)



