G大阪が天皇杯決勝へ 延長後半20分にFW坂本が劇的な決勝弾 11・23決勝は神戸と関西決戦
◇天皇杯準決勝 G大阪3―2横浜(2024年10月27日 パナソニックスタジアム吹田)
準決勝2試合が行われ、決勝(11月23日・国立競技場)はG大阪と神戸の顔合わせに決まった。G大阪は延長の末に3―2で横浜に競り勝ち、準優勝だった第100回大会以来4年ぶりの決勝進出。2―2の延長後半アディショナルタイムに途中出場のFW坂本一彩(いさ、21)が決勝ゴールを奪った。神戸は京都を2―1で下し、初優勝した第99回大会以来の決勝進出。関西勢による決勝は全関学と大阪クラブが対戦した第33回大会以来71年ぶりとなる。
最後の最後に歓喜の瞬間が訪れた。2―2のままPK戦もちらつく延長後半20分。G大阪の坂本が相手DFをかわして放った左足のシュートは、ゴール右下に吸い込まれた。地響きがするような大歓声を全身に浴びた21歳は誇らしげだった。
「(2得点した)前節のJリーグでヒーローになれなかったので、今回ヒーローになれてうれしいです」
センターライン付近からFW宇佐美が倒れ込みながら前方へスルーパス。坂本はこれに反応したが、思ったようにスピードが乗らない。「もう足がつりそうって感じだったからスピードを上げてっていうよりは左右に相手を振って、タイミングでシュートというイメージでした。シュートを決めた後(足が)つりました…」。殊勲の男は、喜びと痛さが交ざった複雑な表情を浮かべながらサポーターの元へ駆け寄った。
点取り屋として将来を嘱望されながら、今季途中からやや得点が伸びなかった下部組織育ちの坂本。腐らずに練習に取り組めたのは、夏場に「宇佐美さんに“自分の色を出していいんだよ”と言われたのが大きかった」という。
先制ゴールを決めたMF山田が負傷して、坂本は後半開始からピッチに立った。「どっかで一つ何かを起こしたいと思ってたので、それが点になって良かった。ゴール前の仕掛けが武器と言いながら試合ではあんまりつくれてなかったので、今日はそれが見せられた」。次代のチームを担う気概を示す、鮮やかな仕事ぶりだった。
G大阪のユニホームの胸元にはこれまでのタイトル獲得を示す、9つの星が刻まれている。決勝点をアシストした主将の宇佐美は「10個目の星をつけるチャンスですし、決勝も勝ってみなさんと喜びたいなと思います」と言葉に力を込めた。第95回大会以来の頂点まで、あと1勝だ。 (千田 篤史)
≪中谷が「震えた」同点ヘッド!!≫1点を追う後半48分、DF中谷が値千金の同点弾を頭で叩き込んだ。アディショナルタイムの劇的弾に「(鈴木)徳真がほんといいボールをくれましたね。最後まで諦めないという姿勢を出せて、震えました。はい」と興奮さめやらぬ様子だった。絶妙クロスでアシストしたMF鈴木は「時間帯も時間帯だったし、信じて上げるだけだった。僕のキックからシン君(中谷)の点で合わすヘディング。求められているものを忠実に努力して取り組んでいる結果」と胸を張った。