中村敬斗が誘発OG サッカー日本代表25試合連続得点の記録更新…三笘と初の同時出場で華麗ドリブル披露
◆北中米W杯アジア最終予選▽第4戦 日本1―1オーストラリア(15日・埼玉スタジアム)
8大会連続のW杯出場を目指す日本代表(FIFAランク16位)は、ホームでオーストラリア代表(同25位)と1―1で引き分けた。最終予選開幕からの連勝は3で止まったが、勝ち点10でC組首位は守った。後半13分にDF谷口彰悟(33)のオウンゴール(OG)で2次も含めて今予選初失点も、途中出場したMF中村敬斗(24)が同31分にOGを誘発。得点は両チームともOGの“珍事”で、日本は25試合連続得点の代表記録を更新した。11月にはインドネシア、中国と敵地2連戦に臨む。
前へ、前へ。中村の積極性がゴールをこじ開けた。後半31分。左サイドでパスを受けると、一度バックパスを送るかのような体の向きから切り返して、持ち味のキレのあるドリブル。DFが寄せてきたが、右足アウトサイドで中へ切り込むと見せかけて、縦へ。タッチライン際から送った左足クロスが、相手のOGを誘った。「負けていたので、とにかく前に行こうと」。得点への思いが、チームを救った。
1点を追う後半25分、MF久保に代わって途中出場し、左ウィングバック(中盤のサイド)へ。同ポジションで先発したMF三笘がシャドー(1トップ後方)へ移り、三笘と初の同時出場が実現した。スピードを生かして縦に一気に持ち出すドリブルが特徴の三笘に対し、細かいタッチと緩急で相手を翻弄(ほんろう)するドリブルの中村。三笘が相手DFを引きつけ「僕をフリーにしてくれた」(中村)という連係もあり、5バックで堅い守備を見せた相手を左サイドで切り崩した。
フランス1部Sランスでは4戦連続得点と、好調をキープして代表へ。しかし代表では三笘とポジションを争い、最終予選では出場機会が限られてきた。「レベルが高い選手が多い中で、出場機会が短いことは理解していました。出た時に結果、ゴールにつながるプレーをしていくしかない」と穏やかに語ったが、少しでも長くピッチに立ちたいという欲は当然、胸に秘めている。
久保が「ドリブラー2人が一緒に組むのも面白い。初めまして(の競演)で、2人がシンクロするのは面白かった」と話したように、新たな可能性を示した中村&三笘の「ドリブラー×ドリブラー」。右サイドでも堂安×久保の左利きコンビなど、さまざまな可能性にトライしてきた森保ジャパン。左サイドで生まれた新たなオプションは、連勝が止まった悔しいドローの中で貴重な収穫となった。(金川 誉)
◆中村 敬斗(なかむら・けいと)2000年7月28日、千葉県生まれ。24歳。柏ジュニア―三菱養和SCを経て、17年12月に高校2年生でG大阪と契約。18年の開幕戦でJ1デビュー。19年夏にはオランダ1部・トウェンテに期限付き移籍。ベルギー1部・シントトロイデン、オーストリア2部・ジュニアーズ、同国1部のLASKを経てフランス1部・Sランス所属。フル代表デビューは23年3月のウルグアイ戦。通算13試合8得点。180センチ、73キロ。