サッカーコラム G大阪が長いトンネルから脱出 リーグ戦の巻き返しと天皇杯へ高まる期待
【No Ball、No Life】劇的な幕切れだった。また白星が遠いのか、そう思われた空気を主将が一気に振り払った。試合終了間際の追加タイムに、G大阪は宇佐美が同点弾となるPK、そして逆転ゴールを決めた。一瞬で逆転。約2カ月半ぶりにつかんだリーグ戦白星に、ヒーローは感情を爆発させ涙を流した。
【写真】10月5日の札幌戦。G大阪・宇佐美は試合終了間際に決勝ゴールを決め雄たけびを上げる
「昔、ガンバが勝てていない時にヤット(遠藤コーチ)さんが決めたときがあったんですけど、そのときのゴールと自分が決めたゴールが重なって、スタジアムの重い空気が弾ける瞬間を肌で感じて、リアルでいままで一番、感極まりました」
10月5日の札幌戦(パナスタ)だった。0-1の後半20分から途中出場。試合終了間際にビデオアシスタントレフェリー(VAR)の結果得たPKをゴール左へ決めて同点。その直後にもペナルティーエリア手前でパスを受けると、冷静に相手選手を2人交わして右足で逆転弾を決めた。
リーグ戦では7月14日の鳥栖戦(駅スタ)以来、10試合ぶりの勝利(この間の9試合は6分け3敗)。結果に結びつかない期間を「非常に苦しかったので。全員苦しかった」と振り返った。4強まで進出した天皇杯とは対照的だった。
「僕らは負けていないというメンタリティーでプレーしている。僕たちはまだまだ強いチームではない」と口にしていたこともあった。だが、やはり、いい内容でプレーしても、勝ち切れない試合が続くとチームとしては苦しいものだった。宇佐美は「ここ数カ月僕らも苦しい思いをしていました。きょう勝ててすべてがチャラになるわけじゃない」ともコメントした。
ポヤトス監督は「ここまでもいい試合、選手が雰囲気を作ってブレずにやってくれた。選手が本当によくやってくれたし、選手を褒めてあげたい」と評価した。負の連鎖を断ち切ったことで、5位からのリーグ戦巻き返し、27日の天皇杯準決勝・横浜M戦(パナスタ)に好影響がもたらされそうだ。ブレずに戦ってきたスタンスを変えず、これからも戦っていく。(西垣戸理大)