「屈辱的」「考えれば考えるほどスタメンじゃないことにムカついて」今なお強烈に残る町田との開幕戦の記憶「【宇佐美貴史の独占告白】
「チクショー!」みたいな気持ちはあった
ガンバ大阪の宇佐美貴史(32歳)は、FC町田ゼルビアとの今季J1リーグ開幕戦のことを鮮明に覚えている。
「あの試合はスタメンじゃなかったので、それで余計覚えています。『チクショー!』みたいな気持ちはあったので。もちろんキャプテンなのでチームのことを回さないといけない意識は持っています。ただ、キャプテンで開幕スタメンじゃないって屈辱的で、その記憶は強烈に残っています」
歳を重ねると「隠すことに慣れていく」自分がいる。
「自分の中で感情の押し引きが上手くなる分、試合に出られない悔しさ、プレーが上手く行かない悔しさが薄れていく感覚があります」
だから、宇佐美は「チクショー!」という感情を忘れてはいけないと強調する。
「あの苛立ちとか屈辱がなければ、(町田戦で)フリーキックは入ってなかったかもしれません。そもそも蹴りに行かなかったかもしれません。年齢やキャリアを重ねても、サッカーを始めた時に持っていた根本的な感情は絶対に忘れたらあかんな思いました」
やはりギラギラした感情を持つことは重要だ。
「自分を言いくるめられようになるんですよ。でも、そんなものいらないなと思いました。コントロールできない感情の部分がエネルギーとして出るので、そういうギラギラしたものは持ってないとあかんと。『去年のパフォーマンならベンチも仕方ない』となった時に『いやいや、去年関係ないじゃん、今季の戦いは始まっているし』って、考えれば考えるほど(町田戦で)スタメンじゃないことにムカついて(笑)」
当時の苛立ちは半端なかったという。そうした感情がありながらも、チームとも自分とも上手く付き合いながらキャプテンの役割を果たす。どちらかと言えば「クソッ」という気持ちをややリードさせた宇佐美は、2節のアルビレックス新潟戦からスタメンに復帰した。
若手選手のように「本気の勘違いができる強さ」も時に必要だという。
「1プレー成功するとグッと乗る選手がいるじゃないですか、若手で。そういうアンバランスな感情を持つのも重要です。ずっと整えられた状態ではダメだなと」