絶体絶命のピンチを救ったスライディング。鈴木淳之介の勇気あるプレーが湘南を勝点3に導く
「“退場覚悟で行くしかないかな”とも」
7月20日、湘南ベルマーレはJ1第24節でガンバ大阪と敵地で対戦し、1-0の勝利を収めた。
この日のMOMは誰か、と問われれば、83分に見事なコントロールショットで決勝ゴールを挙げた畑大雅になるのかもしれない。ただ、湘南には、もうひとり勝点に直結するようなプレーを見せた選手がいた。3-5-2の左ストッパーで先発した鈴木淳之介だ。
69分、ハーフウェーライン付近で右ストッパーの髙橋直也が相手FWウェルトンにボールを奪われると、このブラジリアンアタッカーが持ち前のスピードで独走し、湘南陣地のゴール前へ。GKソン・ボムグンと1対1で、絶体絶命のピンチだったと言えるだろう。
シュートを打つために若干スピードを緩めたウェルトンに対し、鈴木淳はエリア内で右斜めうしろからスライディングタックル。伸ばした足は相手に接触することなくボールを捉え、こぼれ球を帰陣したキム・ミンテがクリアした。
無理に飛び込めばファウルとなりかねない。エリア内で、かつGKと1対1だったため、PKやレッドカードの危険性もあった。DFにとって難しい状況だったはずだ。
それでも鈴木淳はタイミングを見計らいながら、スライディングを試みる。21歳の勇気ある守備で難を逃れた。
試合後、鈴木淳がウェルトンとの一幕を次のように回想した。
「ウェルトンの後ろから走っている時は“退場覚悟で行くしかないかな”とも思った。ただ、シュートを打つためか、少しスピードを緩めた時に追いつけた感覚があったので、スライディングを選択しました」
昨季まではサイドボランチ(インサイドハーフ)やアンカーを主戦場としていた鈴木淳だが、今季の16節・G大阪戦(0-1)でCBにコンバート。リベロを務めるキム・ミンテから「守備はまだこれから」と課題を指摘される試合もあったなかで、G大阪戦では、自身の成長を誇示するような巧みなディフェンスでチームを救った。
コンバート以降、着実に成長曲線を描いている鈴木淳。G大阪戦での躍動が偶然でないことを、8月7日の次節・アビスパ福岡戦で証明したい。