子供たちを伸ばす喜び 「僕は『下へ下へ』を目指して名コーチになるのも面白いかな」【松井大輔が激白】#最終回
引退後も多忙な日々を過ごしているが、将来的には指導者の道に進む可能性が高そうだ。「みんなは上のカテゴリーを目指すけど、自分は下の世代でもいいのかな。名監督ではなく、名コーチになりたいですね」と育成年代に強い興味を抱いている。
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引退から半年近くが経過し、横浜FCのスクールと浦和レッズのユースで技術指導を進めるにつれ、コーチ業に対する意欲は、日に日に高まっている様子だ。
「自分とほぼ同時期に引退したヤットさん(遠藤保仁)が、ガンバ大阪のトップコーチ、ハセ(長谷部誠=フランクフルトU21コーチ)とオカ(岡崎慎司=バサラ・マインツ監督)は海外で指導と、セカンドキャリアはいろいろですけど、ハセたちみたいに欧州で指導者ライセンスを取得するというのは、今後の日本サッカーのレベルアップに不可欠だと思います。自分も長くフランスにいたから分かりますが、外国語で指導するのみならず、講習会に参加して学ぶことも難易度が高い。宗教や哲学、政治まで理解するのは本当に大変です。でも、そのハードルを越える人材が出てくれば、日本も強くなる。彼らには期待しかないです」
代表仲間の動向に刺激を受けている。自身は、育成年代への興味と関心が高まっているという。
「子供たちを伸ばす喜びを感じるようになりましたね。実際、小学生の成長はメチャメチャ早いし、驚かされることも少なくない。多くの元選手が『上へ上へ』のカテゴリーを目指すスタンスだけど、僕は『下へ下へ』でも面白いのかな。もっと指導の勉強をしてから進むべき方向を決めたいです」と本音を吐露する。
現在、保持しているのはJFA公認A級ジェネラルというライセンス。
次は最上位のS級だけだ。今年は中村俊輔(横浜FCトップコーチ)や阿部勇樹(浦和ユースコーチ)らが受講中だが、誰でも受けられるというものではない。 昨今は100人近い応募者の中から、20人程度に絞られているという。
元日本代表クラスでも「継続的に現場指導に携わっていない」という理由で落とされるケースもあるようで、高いハードルを越える必要がある。
しかも年間60日以上の集中講習に参加しなければならず、Jクラブで1週間以上、海外クラブで2週間以上のインターンシップも必須。この時間的な問題も、やはりクリアしなければならない。
「それでも近い将来にS級を取りたい」と熱望している。その上で最終的な身の振り方を決めることになるだろう。
いずれにせよ、日本以外で5カ国9クラブという類いまれな国際経験を持ち、幾多の修羅場をくぐってきた松井にしかできないことがあるはず。
ちゃめっ気たっぷりのキャラクターも含め、稀有な能力を生かせる場は必ずある。サッカー指導者という枠組みにとらわれることなく、幅広い角度から彼らしくサッカー界を盛り上げる–。
これからの松井に託されているタスクである。(おわり)