【町田】昌子源が小学1年生に下敷き贈呈 トゥールーズ時代の記憶「今でも思い出すとウルっと」
FC町田ゼルビアDF昌子源主将(31)が18日、町田市立大蔵小を訪問し、クラブオリジナルの下敷きを1年生94人に贈呈した。
同市内にある全小学校に毎年配布しているのもので、今回で7年目。歓喜する子ども1人、1人に直接手渡しした。自身にも1年生の子どもがいる昌子は笑顔で対応し、質問にも優しく答えた。
交流を終えると「僕が元気をもらいにきました。子どもたちの力を借りながらのこの順位(1位)だと思う。ゼルビアを応援しに行こう、ゼルビアの選手になりたいと思ってもらえるようにピッチで活躍したい。まずは僕がパワーをもらいました」と満足そうに話した。
プロアスリートとして、こういう地域活動の大切さを知る。
「僕が小学校の頃にもありました。リフティングを披露してくれるパフォーマーの方とか来てくれて、サーカスチックなことを見ました。あの方が来てくれただけで僕自身そうでした。うわ、すごー!って。僕もやってみようとなるし、サッカー興味なくてもすごい、ってなる。だから一緒にサッカーする機会なども作ってもらえたら」と言う。
鹿島所属時代も小学校に出向きドッジボールや駆けっこなど、さまざまな交流活動をしてきた。20年から所属していたG大阪にも地域活動はあったが、ちょうどコロナ禍だったため活動は制限されたという。
そして昌子には、プロ選手として忘れられない地域活動がある。フランスのトゥールーズに所属時に、選手たちで病院を慰問した時のことだという。
重症を患っている子どもたちのところに訪れた。重装備の無菌室用の衣服を着るような病気を患っていた。コートジボワール代表の英雄で当時トゥールーズ主将のグラデルと一緒だった。何十本という管につながれ、ベッドに横になっていた。グラデルの顔を見ると、表情が変わったという。
「今でも思い出すとウルッとなる。僕らを見てあんなに笑うんだと思った。お母さんも泣いて喜んでくれた。僕らにもできることってあるんだなって感動した。感動と言っていいのか分かりませんが、泣きそうになった。何て言葉を言っていいか分からないけど。楽しんでくれていたのを見た時に、こういう活動の意味に気づきました。あの光景は忘れません」
心優しきキャプテンは、病気で戦っている子がいれば、力強く「シーズン中でも飛んでいって応援したい」と言う。サッカークラブ、プロサッカー選手とは、さまざまな人に支えられて成り立っている。だからこそ、自分たちも苦しんでいる人がいれば、その人たちの支えになりたい。
18年ワールドカップ(W杯)でも活躍した日本を代表する男の言葉は、Jリーガーの付加価値を示すものだった。【佐藤隆志】