【全メンバー予想】U-23日本代表、OA含むパリ五輪本大会の登録枠18名は?招集発表前最後の活動が終了
パリ五輪に向けて強化を進めるU-23日本代表は、6月のU-23アメリカ代表との連戦で本大会招集メンバー発表前最後の活動を終えた。これまでの活動から、オーバーエイジ(OA)含む登録枠18名を予想する。【文=林遼平】
メンバー発表は7月3日
6月11日、パリ五輪のメンバー発表前、最後の試合となるU-23アメリカ代表戦が開催された。チームの強化を図ることに加え、最後のアピールの場となった試合は、ピッチに立った選手たちが攻守にアグレッシブなプレーを披露。立ち上がりに藤尾翔太のPKで先制すると、後半には細谷真大にもゴールが生まれて2-0の勝利を飾った。
これでメンバー発表前、最後の活動が終了。7月3日のメンバー発表記者会見でパリ五輪に臨む18人が決まり、同17日にU-23フランス代表と最後の強化試合を終えた後、本大会へと挑むことになる。
GK/2名
・鈴木彩艶(シント=トロイデン/ベルギー)
・小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)
GKはすでにA代表でプレーする鈴木彩艶と、AFC U-23アジアカップ2024でMVP級のパフォーマンスを見せた小久保玲央ブライアンの二人が当確だろう。小久保はメンバー発表前、最後の試合となったアメリカ戦でも気の利いたプレーを披露。自身の力がパリ五輪出場国にも通用するところを見せつけた。一方、鈴木彩はA代表でのアジア杯こそ安定感を欠くところがあったが、3月の2026年ワールドカップ(W杯)アジア2次予選・北朝鮮代表戦では安定したプレーを見せた。世代をけん引してきたGKとして本大会でのプレーに大きな期待がかかる。
次点としては野澤大志ブランドンが候補となるが、U-23アジアはいでの出場機会の少なさを鑑みるに二人を押し退けてのメンバー入りは難しく、バックアッパーに回ることが濃厚と見られる。
DF(センターバック、サイドバック)/6名
・高井幸大(川崎フロンターレ)
・西尾隆矢(セレッソ大阪)
・板倉滉:OA(ボルシアMG/ドイツ)
・関根大輝(柏レイソル)
・大畑歩夢(浦和レッズ)
・半田陸(ガンバ大阪)
この世代のタレントが中盤から前線にかけて集中していることを踏まえれば、OAの力を是が非でも借りたくなるのが守備陣だ。候補となるのはCB。現状、一番手としては板倉滉が有力か。A代表でも主軸を務める板倉は、周りとのコミュニケーション力にも長け、若い選手たちとの融合もすんなりとできるはず。チームを支えるという点でも欲しい存在だ。
また、残りのCBは11日のアメリカ戦に先発した西尾隆矢と高井幸大の二人を予想。U-23アジア杯では木村誠二が評価を高めたが、ケガが多いのがネガティブな点。パリ五輪の過密なスケジュールを踏まえ、タフさの面で西尾と高井が濃厚と考えた。
SBはU-23アジア杯で急激な成長を遂げた関根大輝が当確。左はアメリカ遠征で負傷離脱したバングーナガンデ佳史扶を木村と同様の理由で外し、U-23アジア杯で存在感を放った大畑歩夢を選んだ。もう一人は両SBをこなせる人材として内野貴史と悩んだ結果、アメリカ戦でキレのある動きを見せていた半田陸と予想した。
MF(ボランチ、インサイドハーフ)/5名
・藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー)
・遠藤航:OA(リヴァプール/イングランド)
・松木玖生(FC東京)
・山本理仁(シント=トロイデン/ベルギー)
・荒木遼太郎(FC東京)
タレントの多い中盤は選考が非常に難しいポジションだ。報道を見る限り、世代をけん引してきたアタッカーの鈴木唯人が招集困難な状況であることは残念でならない。一方で、OA枠として遠藤航を招集する可能性が高まっているのはプラス。リオ五輪、東京五輪だけでなく、リヴァプールというビッグクラブでの経験を若い選手たちに還元してもらいたいところだ。
中盤では藤田譲瑠チマが唯一の当確と言っていいだろう。ダブルボランチ、アンカー、インサイドハーフもできるユーティリティ性も価値が大きい。続くのはタフさとハードワークを備える松木玖生と、ゲームをクリエイトできる山本理人。特徴の違う二人の選手は、これまでの活動でも違いを見せており、メンバー入りが濃厚と見る。
最後の一枚は抜群の攻撃センスを備える荒木遼太郎。U-23アジア杯ではジョーカー的な役割としても存在感を発揮。ゲームの状況を変えられる選手として重宝したい。
FW(センターフォワード、サイドアタッカー)/5名
・細谷真大(柏レイソル)
・藤尾翔太(FC町田ゼルビア)
・斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)
・三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)
・平河悠(FC町田ゼルビア)
まずCFから考えると世代屈指のストライカーである細谷真大は当確だろう。すでにA代表で得点も記録している細谷は、U-23アジア杯でも力強いパフォーマンスを披露。得点感覚やポストプレーを含め、チームにとって替えのきかない存在だ。続くのは藤尾翔太。前線からのハードワークやワイドでもプレーできるポリバレントな能力を踏まえても、メンバー入りすると考える。
ワイドは久々の招集となったアメリカ遠征で抜群の存在感を見せた斉藤光毅とFC町田ゼルビアやU-23アジア杯での活躍が光る平河悠。そして、ワイドだけでなく中央でもフレキシブルにプレーできることを証明した三戸舜介と予想した。メンバー発表前、最後の試合となったアメリカ戦でも起用され、及第点以上のパフォーマンスを見せた三人。個で打開できる力は、本大会でもチームの武器となるはずだ。
海外組&OAは招集難航か
海外組の招集、特にOA枠の招集に対する交渉が難航している状況を踏まえ、今回はOAを最大となる三人呼べない可能性も考慮する必要があると考えた。もし呼べる状況なのだとしたら最終ライン、中盤、最前線のどこかに入ってくる可能性が高いだろう。
チーム全体を見ると、やはりフレキシブルに活躍できる選手が多く選出されると予想した。パリ五輪は過密なスケジュールの中を18人で戦わないといけない。毎試合、同じメンバーで挑むことは無理があるため、一人ひとりが複数ポジションをこなすだけの技量を求められることになる。アメリカ戦の三戸や半田の起用を見ても、大会を想定した中で複数のポジションを試しており、柔軟にピッチの中で対応を変えられる選手がメンバー入りしてくるはずだ。
少し心配な点で言えば、左SBの層が薄いところか。両SB起用できる半田のメンバー入りを予想したが、もしOAをさらに選出できるとすれば、SBとCBを使い分けられるような左利きの選手が入るとより隙のない布陣になる。
メンバー発表まであとわずか。残りの期間、大きなケガやコンディション不良になる選手が出ないことを願っている。