【G大阪戦の前後半で“違う顔”を見せた川崎。それでも見せた希望と闘志(1)】相手選手も「フロンターレの強さと魅力が詰まったゴール」と振り返る、“らしい攻撃”を見せた前半
後半を控えたハーフタイム、ロッカールームで怒号が飛んだという。ダニエル・ポヤトス監督に「めちゃめちゃ怒られた」と振り返るのはガンバ大阪の福岡将太。「僕も反発するくらい」と話したうえで、その内容も明かす。
■【動画】“川崎らしさ”を見せたG大阪戦での前半のゴール! 遠野大弥のヒールパス→家長昭博のクロス→右SB瀬川祐輔が決める!■
しかし、これがこの試合のキーポイントにもなった。福岡自身、「でも、あれが自分の中のスイッチを入れた」と振り返るだけでなく、「僕が犠牲になってみんなに喝が入った」とも言うからだ。そして、「チームは今1人じゃないよなっていうのをすごく感じる」とも話し、一人への喝をみんなで受け入れて、一体感を持って川崎フロンターレとの試合の流れを変えたという。
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5月19日にパナソニックスタジアム吹田で対戦した両チームは、ともに、前節で勝てていない。G大阪は東京ヴェルディとアウェイでスコアレスドローとなり、川崎フロンターレはアウェイでサガン鳥栖に5-2で大敗していた。それぞれの置かれた立場は異なるが、勝利に飢えていたことは共通している。
そして、前半のピッチでそれを表現したのはアウェイチームだった。前半のシュート数は9対2。先制したのは右SBながらゴール前に入り込んでいた瀬川祐輔で、そのポジショニングは川崎が“らしい攻撃”を展開できていた何よりの証拠だったといえよう。
実際、ガンバ大阪の攻撃を力強くけん引し、そして、この試合で2つもの高精度のアシストを見せて勝利を手繰り寄せた宇佐美貴史をしても、「フロンターレの強さというか、魅力というか、そういうのが詰まったゴールだった」と振り返っている。
■選手を乗せていった一体感
先制した川崎だったが、ここ数試合でそうだったようにこの試合でも追いつかれてしまう。宇佐美貴史のキックに中谷進之介が合わせる形で同点弾を献上。前半のいい流れの中でリードを広げたかったが、逆に追いつかれてしまう。
そして、宇佐美が「なかなかいい流れができない中で失点してしまって、ガクッとくるようなところでしたけど、前半のうちに追いつけたのは大きかった」と話すように、後半の情勢は違ったものとなる。
先述したように、ロッカールームでの“喝”もあって、G大阪がボールを意図して持てるようになる。また、川崎がうまく前進できなくなったことも要因としてある。DF陣と橘田健人の間のパスコースを坂本 一彩らが寸断。橘田自身、「(坂本が)自分のところに立ったりとか、(相手の)ボランチが自分のところに出てきたりとか、ケアをしてきていた」と振り返り、「そこを動かすような、自分のところから離れないといけないような状況っていうのをチームとして作っていく必要があります」と悔やんだ。
そうしてG大阪がリズムをつかむ中で、後半25分に福岡将太が逆転弾を決める。結果的には、これが決勝ゴールとなった。この日のマッチデーブログラムに、「サポーターに勝利を届けたい」と気持ちを綴っていた福岡が、プロ11年目でのJ1初ゴールで有言実行をしてみせた。
ただし、福岡はこの得点もチーム全体で取ったものだと謙虚な姿勢を崩さない。佐々木旭がマークについていたというが、半田陸がうまく対応してくれたことで決めることができたからだという。そして、そうした一体感の気持ちが、さらに残りの時間でG大阪の選手を乗せていった。ホームゲームという要因も大きければ、その得点がサポーターの前で取れたというのも大きかった。福岡自身、「サポーター側に向けて点を取れたことが嬉しい」と笑顔を見せているからだ。