【番記者の視点】開幕4戦負けなしG大阪 「理想」と「現実」の間で際立つ粘り強さ

◆明治安田J1リーグ▽第5節 広島 1―1 G大阪(30日・エディオンピースウイング広島

【G大阪担当・種村 亮】G大阪はアウェーで広島と1―1でドローに終わった。3連勝は逃したが、開幕から4戦負けなし(2勝2分け)。主将のFW宇佐美貴史は無得点に終わり、Jリーグ史上2位に並ぶ開幕4試合連続ゴールとはならなかった。

2年連続リーグ3位で、今季は優勝候補の一角にあげられる広島とドロー。「去年ならもっと簡単にやられていたと思う。全体的に粘り強く戦えた」。試合後の宇佐美は「妥当な結果」と力強く手応えを口にした。

別クラブを担当していた昨季、試合で見るG大阪の印象はポゼッション、パスサッカーへのこだわりが強いチームだった。が、今年から担当として取材するなかで感じたことは守備への意識の高さ。セカンドボールへの反応や、攻撃→守備時の切り替えの重要さを多くの選手が強調する。それは昨季の反省から生まれたのか、元々昨年から意識していたものなのか。最初は分からなかったが、先日、取材で聞いた宇佐美の話は興味深かった。

「例えば前半うまくボールを回していたとしても、点が取れずに前半終わり際や後半の頭に失点、というのは去年一番負けてきたパターン。攻撃的な理想を掲げてはいるけど、まずは守備で失点しないこと。こういうサッカーがしたい、とか色々あるけど理想を掲げるばっかりではよくないんで。時には愚直にやらないといけないシーンはある。理想を掲げてそこに向かいながらも、それ以外のところで勝っていかないと理想すら掲げられない」。

理想と現実を冷静に見つめたうえでの発言に思えたが、宇佐美はこう続けた。「理想としているサッカーができない、というわけではないです。理想としている部分もできるけど、理想としているボール回し、見た目的にはきれいなサッカーって、それ以外のところで現実を見ないといけない。ボールを奪うところから始めないといけないし、失点してはいけないし。守る時は全員で守って我慢強くしないといけない」。主将の言葉と、ここまでの泥臭い戦いぶりとがしっくり当てはまった瞬間だった。

広島戦も、チームは“現実的”に戦った。前半から強度の高いプレーで広島に真っ向から挑み、後半は押し込まれる時間が長かったが、自陣ゴール前での体を張った守備は圧巻だった。開幕からの4試合は2勝2分け。近年にない好発進を果たせた要因の1つは、間違いなくハードワークにあると言っていい。

華やかなパスサッカーは見ていても楽しい。そうしたスタイルを目指し、結果がついてこなかったチームもある。理想をどう追うか、は色んな考え方があり、すべてにおいて絶対的な正解というのはないと思う。G大阪のアプローチも同様だ。ただ、今年のガンバは簡単には崩れないのではないか、と強く感じている。

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