【番記者の視点】G大阪低迷の2023年<前編>ポヤトス監督1年目は連敗→連勝→連敗の異質なシーズンに

【G大阪担当・金川誉】G大阪の2023年は、まるでジェットコースターのように昇降を繰り返した異質なシーズンだった。ポヤトス新監督を迎え、リーグ戦は4、5月に7戦勝ちなし(1分け6敗)で最下位に転落。その後、夏場にかけて調子を上げると8戦負けなし(7勝1分け)で10位まで浮上した。しかし8月以降は結果がまったく出ず、7連敗(2分け含む9戦未勝利)の16位でフィニッシュ。クラブに関係する誰もが「こんなに浮き沈みの激しいシーズンは初めて」と首をひねった。

今季就任したポヤトス監督は、ボール保持をベースにどこにスペースがあるのか認識して攻撃する、というスタイルの構築に挑んだ。シーズン序盤の連敗は適応に時間がかかり、ビルドアップの単純なミスからの失点が続いたことが出遅れの理由だ。8戦負けなしの間には、MF倉田秋の先発起用などでまず前線からの守備強度を上げ、ボールを奪えば相手の陣形をよく見てカウンター、ロングボールも交えながら効果的な攻撃を繰り出し、勝ち点を積み上げた。しかし一度浮上したチームが再び沈んだ理由の解明は、来季に向けた大きな宿題だ。

ポヤトス監督に、シーズン後半“急失速”の理由を聞くと、少し苦々しい表情でいくつかの事象を挙げた。「ルヴァン杯(準々決勝)で浦和を倒すことができなかったことがひとつ、ダメージとしてありました。もう一つは9、10月のポイント数を見て、ある程度(J1)残留が見えていたこと。決してリラックスしたということは誰一人なかったのですが、残留が見えたことでインテンシティー(強度)が落ちたことがあったのではないか、と自分自身思っています」。またDF半田陸、FWジェバリ、MFラビ、アラーノとチームの根幹を担う選手達が負傷離脱、またはコンディションが整わずに調子を落とした時期が長かったことも要因に挙げていた。

クラブは10月27日にポヤトス監督の続投を発表。チームのスタイルを変えたチャレンジを評価した点は理解できるが、終盤にかけてチーム状態を上げることができなかったマネジメント力には疑問も残る。加えて今シーズンが最悪の終わり方をしたことで、来季に向けて選手達に対する求心力が低下するのでは、という点も不安材料だ。

3年連続で残留争いに加わり、13位、15位、16位と順位を落としている近年。計5人(宮本、松波、片野坂、松田、ポヤトス)の監督を迎えても大きく状況が変わらない点をみると、現状の問題点は監督だけではない。特に今年の勝てない時期に感じたのは、攻守における強度不足。しかしそれは、ただフィジカルが弱い、という理由だけで片付けられるものではない。選手達が一体となり、相手に襲いかかるようなうねりが生まれなかったことは、チームにはびこる一体感の不足が原因ではないか。その理由のひとつが、チームがいくつかの“グループ”に分かれていることではないかと推察する。(後編につづく)

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