【解説】G大阪の強化最高責任を担う松田浩氏らがポヤトス体制支えられるか、24年は正念場

ガンバ大阪は20日、来季からフットボール本部を新設し、前監督の松田浩氏(63)の同本部本部長就任を正式に発表した。トップチーム、下部組織(アカデミー)、普及(スクール)の強化を一本化にした新組織になる。15年度の天皇杯優勝を最後に8年間無冠が続くクラブは、大きな転換期を迎えたことになる。

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今回の組織改革は、秋から準備が本格化していた。強化の最高責任者だった和田取締役が、今季限りで退任する可能性が浮上した10月頃、クラブは同時期にJ3宮崎の監督を退任した松田氏との接触を始めた。

松田氏はあくまで現場で指揮を執ることを優先したため、G大阪への復帰決定がずれ込んだものの、既定路線通りの着地となった。

松田氏はJリーグ広島で育ち、神戸監督など他クラブで過ごした時間が圧倒的に長い。G大阪に在籍したのは、昨年8月からの約4カ月だけ。クラブ出身者以外からの最重要ポストへの起用は極めて異例だが、それだけクラブ内も人材難に陥っていた。

今季16位に終わったG大阪は、8年も無冠が続き、ここ3年は残留争いに巻き込まれた。シーズン途中での監督交代も、21、22年と連続した。

Jリーグ創生期から宮本恒靖、稲本潤一、大黒将志、宇佐美貴史、堂安律ら世界に通じる人材を輩出してきた下部組織も、指導者の入れ替わりでサッカーのスタイルが変わり、低迷するようになった。

そんなG大阪にとって、のべ7クラブで監督を務めるなど、常に現場やその近くで競技にかかわってきた松田氏の見識、経験の多さを生かさない手はないだろう。強化部門すべてを統括する責任者になることで、クラブの方向性が再整備され、再び浮上のきっかけになるかもしれない。

喫緊の問題は、やはりトップチームの再建だ。スペイン人のポヤトス監督を招いた今季、一時は最下位に沈み、最後は10戦未勝利、7連敗で全日程を終えた。

現監督を招聘(しょうへい)した強化担当者も今季限りで退団し、前監督の松田氏ら新組織がどこまで支えられるのか。下位3クラブがJ2に自動降格する24年は、早くも正念場のスタートになる。【横田和幸】

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